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2021年7月17日土曜日

2021年6月のボーイング受注引き渡し実績は好調ながら、787で品質問題発生など不安材料も....

 MAX

Credit: Flydubai

 

6月のボーイングの受注や引渡しの足を引っ張ったのがフライドバイが737 MAX65機の発注をキャンセルしたこと、および787製造で見つかった品質問題となった。

 

受注は合計219機で、うち200機はユナイテッドエアラインズによる737MAX 発注だった。この規模は2018年6月以来最高となった。また18機は767-300FでFedEx Expressの発注だった。同社は20機発注を発表しており、2機は条件付きとなっている。

 

一方キャンセルは73機にのぼり、フライドバイの存在が大きい。同社は機材を737で統一し、MAX15機を運行中で171機を発注中だ。

 

キャンセルしたのは機材構成の見直しで737 MAXの運行停止措置の影響もあり、同社の乗り入れ国の規制当局の動きを受けている。その中でインドはまだ解除していない。同社は運航停止中の機材から稼働させ、発注分の引き渡しを中止させた。

 

BOC AviationはMAX5機をキャンセルし、名称非公開の顧客がMAXビジネスジェット型一機をキャンセルした。その他英空軍はE-7Aウェッジテイル2機をキャンセルした。RAFは当初5機発注していたが国防体制見直しで二機削減する。

 

結局6月の純受注数は146機となり、五カ月連続で受注数がキャンセル分を上回った。またASC606会計分類では56機追加となり、737が49機、7787を7機の確定発注をうけつつ納入は確定していない。6月30日時点の受注残は4,166機となり、これと別にASC606分で918機がある。

 

6月の引き渡し総数は45機で2019年3月以来最大となった。うち、737 MAXは33機で月間引き渡し数としては2018年12月の実績を上回った。またP-8哨戒機を米海軍へ2機納入している。

 

6月のワイドボディ引き渡しは10機で、ターキッシュエアウェイズ向け787-9が一機あるが、同機の耐空証明は2020年末に出ていたが、引き渡しまで5カ月以上経過したのは製造上の品質問題が関連している。5月に再度引き渡しが止まったのは新規の耐空証明が必要となり、ボーイングはFAAに対し社内にある機材の点検手順の有効性を証明し、引き渡し再開を図っていた。同社は生産関連の問題数点について解明の上、一部は是正措置を施し耐空性能を保証するとしている。

 

787問題は機体構造の接合部にあり、設計仕様を満たしていないことにある。一部では問題解決のためのシム寸法がまちがっており、ギャップが許容限界を超えている。

 

ボーイングは接合問題が各所で発生していると明らかにしており、胴体バレル間もその一部とし、点検の上必要に応じ再作業しているとする。前圧力バルクヘッドでも仕様通りになっていないことが見つかったとし、これはセクション41と呼ぶ機首部分で、製作はスピリットエアロシステムズだった。

 

点検再作業に加え、検証作業が未完了のままで新たに前方バルクヘッド問題が発生したためボーイングは787製造ライン人員を点検再作業に配置している。つまり、787の月産数が少なくとも数週間にわたり低下し、月間5機が守れなくなると同社は発表。

 

問題の山積みによりボーイングは今年末までの787納入予定100機の半分しか達成できなくなると予測している。なお、2021年の787実績は14機となっている。■

 

MAX Cancellations, 787 Issues Dim Boeing’s June Orderbook Momentum

Sean Broderick July 13, 2021

https://aviationweek.com/air-transport/aircraft-propulsion/max-cancellations-787-issues-dim-boeings-june-orderbook-momentum

 


2021年5月14日金曜日

4月のボーイング実績。引き渡しは全17機、正味受注は8機増にとどまる。787が気を吐いても737 MAX引き渡しが停止中なのが痛い。


 

aircraft

Credit: Boeing

 

ーイング民生機部門は4月に17機を納入し、737は4機と低調だったが、787が増加した。

 

737 MAXの納入がボーイングが目指すバランスシート改善のカギを握る。1-3月に58機を納入し、4月第一週で4機を引き渡したものの、電気系統で問題が見つかり新規納入が止まり、約90機が納入できないままになっている。ボーイングは就航中機体とあわせ駐機中およそ300機でこの問題の解決を急いでおり、製造中機材にも対応する。作業が完了しFAAが承認するまで、737MAXの納入は停止する。

 

ボーイング、FAAともに今後の見通しについてコメントしていない。

 

4月に787が9機納入されたのは同社には朗報だった。同機でボーイングが1-3月に2機を引き渡したのは3月末のことだった。引き渡しが低調になったのは2020年10月初めからで、製造後点検で見つかった生産工程での問題の修正作業のためだった。

 

4月引き渡し機材にはその他777Fが2機、767-300CF1機、KC-46が1機ある。

 

新規受注は25機で737 MAXが20機を占める。だが発注取り消しが17機で正味受注は8機になった。2021年の受注は累計307機で、取り消し他顧客の発注調整分を入れると77機の純増だ。■

April’s Boeing 787 Boost Not Enough To Offset 737 Delivery Halt

https://aviationweek.com/mro/aircraft-propulsion/aprils-boeing-787-boost-not-enough-offset-737-delivery-halt


Sean Broderick May 11, 2021

2020年12月19日土曜日

737Maxの運行再開が展開中。アメリカンは12月29日より、ユナイテッドは2月、サウスウェストは3月以降。

United to return Boeing 737 Max to service on 11 February

By Pilar Wolfsteller19 December 2020

https://www.flightglobal.com/fleets/united-to-return-boeing-737-max-to-service-on-11-february/141683.article



ナイテッドエアラインズボーイング737 Maxを2021年2月11日のデンバー、ヒューストン両ハブ空港発の便から運行再開する。


ユナイテッド(本社シカゴ)の12月18日発表は同型機で根強い安全性への懸念考慮し、別機種を投入する可能性にも触れた。


737 Maxは墜落事故二件を受け、20ヶ月に渡り運航停止となったが、最近になり有償運航再開の承認を受けた。


United 737 Max

Source: United Airlines

ユナイテッドは737MAX運行を2月に再開する。


同社はFAAが求めるフライトソフトウェアの改修、パイロット訓練、点検に加え1,000時間超の追加作業を行い、運行再開に万全を期すと発表。


またMax投入路線の予定を1月早々に発表する。同機に不安を感じる利用客には無料で予約変更を受付け、返金にも応じる。


Cirium記事データベースでは同社は同型機を運行停止時点で18機運航しており、さらに166機をボーイングに発注している。


ボーイングの設計変更を受け、連邦航空局は2019年3月13日付け「緊急運行停止命令」を11月18日に撤回していた。


カナダ民間航空規制当局も今週になりMax改修内容を承認し、1月にお運行停止措置を解除しそうだ。


ブラジルでは同型機の型式証明再発行を受けLCCのGolが12月9日に有償運航を開始した。


米国で定期運行再開のトップを切るのはアメリカンエアラインズで、マイアミ−ニューヨーク(ラガーディア)路線を12月29日にMaxで運航する。


世界最大規模の737運航会社サウスウェストエアラインズは3月に同型機の運航を再開すると今週発表している。■


2020年10月3日土曜日

ボーイング社内に完成済みMAXが470機、内60機超に買い手がつかない

 

Analysis Shows 13% Of Stored MAX Fleet Has No Customers

Sean Broderick October 01, 2020

https://aviationweek.com/air-transport/aircraft-propulsion/analysis-shows-13-stored-max-fleet-has-no-customers

 

Boeing MAX aircraft

Credit: Boeing

 

ーイングは製造済み737 MAXの13%に新たに顧客を探す必要に迫られている。理由は数々あるが、世界各国でエアライン需要が低迷する中で発注元が受取りを拒んでいるとAviation Weekは分析。.

納入待ちのMAXは8月末時点で同社内に470機ほどあり、大部分が2019年3月中旬以降に生産された機体。この時点で同機は運航停止措置に入りボーイングも納入を停止した。

An Aviation Week Intelligence Network Fleet Dataの分析ではこのうち62機は発注元からキャンセルされており新しい買い手がみつかっていない。うち49機は航空機リース会社、エアラインは11機、のこり2機はボーイングビジネスジェットのVIP仕様だ。

この62機に加え、さらに12機でキャンセルが発生したがその後発注先が見つかった。ロイターによればボーイングはデルタエアラインズに余剰機体のうち最大40機の購入を期待している。デルタはベイキャリヤーでMAX発注が最大規模になっている。

MAX発注の取り消しは2020年1月から8月までで564機に上っており、うち114機がエアライン発注分だ。目立つのはGOLが34機、エアカナダの29機だ。

ボーイングは昨年で270機のMAX受注を失い、なかでもジェットエアウェイズが2019年4月に運航停止したのが大きかった。今年8月31日現在の受注残には同社発注分125機があり、162機のキャンセルの中で目だつ。

ボーイングでは納入実績を毎月発表しているが、納入待ち製造済み機数は公表していない。ここに過去18か月で生産されたMAX完成分が入る。

Aviation Weekの分析では2020年1月に生産を一時停止した時点で納入できないままのMAXが456機あった。その後生産再開したが、ボーイングは正確な数字を公表していない。そのため2020年に入っての生産数は不明だ。Jefferiesのアナリストからは9月中旬時点でスピリットエアロシステムズが737MAXの胴体部分22機分を納入していると伝えていた。

ボーイングの最新予測では737生産は2022年第一四半期に月産31機ペースに回復するとある。MAX納入も規制当局が飛行停止措置の解除に動けば再開の見通しで、FAA他当局が11月ないし12月にボーイングに正式通達すれば2020年中に一部の納入へ道が開く。

FAA長官スティーブ・ディクソンは元エアラインパイロットで737操縦経験があり、9月30日にボーイング所有のテスト機を操縦し、ボーイングが講じた変更内容を自ら試した。飛行後に同長官はボーイングの改良点に高揚した気分を隠さなかったが、FAAの飛行停止措置解除の日付については記者団に語らなかった。.

Aviation WeekのデータではMAXに合計3,993機の受注があり、うち11機がボーイングビジネスジェット仕様だ。Aviation Week のまとめた数字にはジェットエアウェイズ向け機体のように納入可能性が低い機数は入っていない。■


2020年9月27日日曜日

737 Maxの定期運航再開への道筋が見えてきた。

 

FAA head Dickson to pilot the 737 Max next week

By Pilar Wolfsteller26 September 2020



FAAはボーイング 737Max の飛行停止措置解除に先立ち、スティーブ・ディクソン長官が9月30日に同型機を自ら操縦すると米議会に伝えた。


ディクソン長官は民間パイロット出身で今年初め、同機の型式証明再発行の前に同機を操縦すると公言していた。


Boeing 737 Max 8 house colours 1

Source: Max Kingsley-Jones/FlightGlobal


米航空規制当局のFAAはカナダ、欧州、ブラジルの各国当局関係者と会談し、合同運用評価委員会(JOEB)による同機評価内容の最終版を完成させたと9月25日発表している。JOEBの評見内容はFAAの飛行標準化委員会(FSB)報告書に掲載される。FSBが運航再開の前にパイロット訓練の基準をまとめ、技術諮問委員会がMaxの設計書類最終版を精査する。


「FAA長官スティーブ・ディクソンおよびFAA副長官ダン・エルウェルが来週シアトルでJOEB評価が推奨する訓練を受講する。シミュレーター訓練を経て、ディクソン長官はボーイング737 Maxを9月30日に操縦するが、その前にFAAは同機の運航再開を決定する予定」(FAA)


737 Maxは事故二件で乗員乗客計346名の生命を奪ったため、一年半前から世界各地で飛行停止措置に入っている。搭載する操縦特性強化装置(MCAS) が双方の事故で原因と判明した。


今年8月にFAAは同機で設計変更四点を示し、事故原因を除去すると発表していた。耐空証明(AD)の変更点では同機の安全性向上とともにコックピット乗員による解決策の強化を含めるとしていた。


このADへのパブリックコメントは募集期間が終了しており、FAAは寄せられたコメントを検討中だという。


「FAAは判明している問題全部が適正に解決されているとわかるまで同機の定期運航再開は認めない」と議会に伝えている。


今週初めにアメリカンエアラインズ(737 Max24機を地上待機中、76機を別に発注中)が同社パイロットが「特別訓練」を11月に開始し、2021年1月予定の運航再開に備えると発表していた。


米議会の報告書が先週発表され、その中でボーイングの「隠ぺい体質」に触れ、誤った技術想定にFAAの監督不行き届きが重なり、インドネシア(2018年10月)、エチオピア(2019年3月)の悲劇的事故につながったと結論づけている。


「Max墜落事故は単独の不良、技術過誤あるいは制御の過ちから引き起こされたものではない」と9月16日発表の報告書が指摘している。「技術面の誤った想定をボーイング技術部門がしていたこと、ボーイング社内の管理体制に透明性が欠如していたこと、さらに大部分が不十分なFAAの監督が連鎖して悲劇的な事故につながった」「ボーイングを十分監督すべき責任および利用客の安全な飛行移動を実現すべき責任を有するのがFAAである」


ボーイングは駐機中の各社向け450機あまりの737完成機材の大部分は一年以内の納入再開をめざすと言明している。飛行停止措置中も2019年に同機生産は続き、納入できないままの機体が社内に滞留している。■


2020年5月3日日曜日

ボーイング:民間機事業不振で国防事業頼みに


シアトルで生産中のP-8 ポセイドン哨戒機。 Boeing photo.


ーイング経営陣は業績維持を防衛部門に期待せざるを得なくなっている。民生機事業はCOVID-19の打撃を受けたままだ。

民間航空輸送は前年比95%減となり、同社CEOデイヴ・キャルホーンは各アナリストとの電話会議で第1四半期業績を語っていた。エアライン業界は大幅な業務縮小で機材は地上待機のまま、新規機材発注は先送りされ、機材受領も延期され支払いが遅れたり止まっている。

世界的な経済減速によりボーイングの第1四半期売上は169億ドル、13.5億ドル赤字に転落。前年同期の売上は229億ドルで23.5億ドルの黒字。

「政府向け防衛宇宙事業が今後の業績安定に重要な要素になっています」「政府向け事業は2019年の収益で45パーセントを占めるまでになりました。今年以降の比重が増えるのは明らかです」(キャルホーン)

 以前から737 Max 旅客機の飛行再開が決まらずボーイングの財務環境は厳しく、 737 Max 生産は1月から停止したままだ。

2021会計年度は国防総省事業が同社の防衛部門を後押しし、防衛部門の売上が民生部門を上回る規模に拡大するとキャルホーンは見ている。

直近の業績に貢献が期待される事業に海軍向けMQ-25Aスティングレー無人艦載給油機、海軍向け超大型無人海中機(XLUUV)、空軍向けT-7レッドホーク練習機、同じく空軍向けMH-139グレイウルフヘリコプター(UH-1ヒューイの後継機)がある。

米海軍はMQ-25給油機4機の製造契約をボーイングに2018年に8億ドルで交付した。海軍は同型機を72機配備する。

同年に空軍はT-7レッドホーク練習機製造で92億ドル契約を交付し、グレイウルフヘリコプターでも24億ドルの契約を交付した。各事業でボーイングは他社より低金額を提示したのは、他事業でキャッシュフローを確保し交付前に開発構想を固めることができたためだ。この戦略を打ち立てたデニス・ミュイレンバーグは昨年12月にCEOの座を退いた。

2019年2月には海軍から43百万ドルでオーカXLUUV4隻建造の契約を交付されている。設計はエコーボイジャー無人ディーゼル電気推進潜水艇が原型で、エコーは全長51フィートで母艦から発進し6,500カイリを自律運行できる。

2年前は民生機事業が同社の主力だった。ジェット旅客機事業でキャッシュを確保し研究開発に投入することで他社に差を付けてきたが、国防総省契約がないと売上が安定しなくなるまでになった。

民生機部門の減速で同社の研究開発力にどんな影響が生まれるかは不明だ。ボーイングは16万名の従業員の10%を削減する。また配当支払いを中止するほか、不要不急の支出は見直す。

「研究開発や設備投資を削減、あるいは先送りする」のはコスト削減策の一環とキャルホーンは説明した。ただし、将来に大きな意味がある重要事項や技術には支出を続けるという。■

この記事は以下を再構成したものです。

In Role Reversal, Boeing's Defense Programs Prop Up Commercial Business



April 30, 2020 11:47 AM

2020年1月3日金曜日

737 Maxの補償金交渉の一方、飛行再開はめど立たないまま

American Airlines expects to share 737 Max compensation with employees

By Pilar Wolfsteller3 January 2020
メリカンエアラインズは10ヶ月に入った737 Max運行停止で発生した損害でボーイングと協議を継続中で、補償金の一部は従業員に還元する。
昨年10月に同社CEOダグ・パーカーは同社保有のMax24機の運行停止措置で税前利益540百万ドルが消えたと発言した。アメリカンは76機の発注残をそのままにしている。
「ボーイングと補償の交渉中」とアメリカン広報はFlightGlobalに1月2日述べている。「当社が受け取る補償はチームとして共有すべきものと考えています。ボーイングとの交渉は決着次第、詳細をお伝えできると思います」
今週早くにはターキッシュエアラインズからボーイングと交渉が決着し地上待機と納入未実施による「損失分の補償」で「合意形成」できたと発表があった。同社はMax75機を導入予定だったが12機を受領したところで3月になり運行停止措置が始まった。ターキッシュから補償内容の詳細発表はなく、合意が最終なのか中間措置かも不明だ。
ボーイングはサウスウェストエアラインズにも飛行停止にともなう財務損失の一部補償で合意しており、サウスウェストは補償金のうち125百万ドルを利益分配金として従業員へ還元する。
737 Maxの運行再開はめどが立っておらず、連邦航空局は精査を終えていない。同局は型式証明再発行の予定を発表しておらず、安全が確認されるまで再発行はないとの発言を繰り返している。
アメリカンエアラインズは同機運行を4月6日まで停止しており、ボーイングは見通しがつくことを条件に1月に生産再開の準備に入っている。■

お知らせ

 2022年以降こちらでは新しい投稿はしておりません。引越し先は 「航空宇宙ビジネス短信T1(新)」です。 こちらへお越しください。 https://aviationspacebusiness-civilaviation.blogspot.com/ お待ちしております。