2019年10月13日日曜日

ボーイングが767-X開発を構想中、NMA安価版になればいよいよ737後継機の開発が始まるのか

Boeing examines GEnx-powered 767-X for cargo and passenger roles


10 OCTOBER, 2019
 SOURCE: FLIGHTGLOBAL.COM
https://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-examines-genx-powered-767-x-for-cargo-and-pa-461386/

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767の新規製造はUPS、FedEx向け貨物型で今も続いている。
UPS Airlines


ボーイングがエンジン換装型767を検討している。主に貨物輸送需要を想定し、2020年代中頃の路線就航を期待する。

検討では旅客機型も含まれており、同社が提案中の新型中間市場機(NMA)の安価版になる可能性もある。

FlighGlobalは検討内容を入手し、767-XFの名称で767-400ERを原型としGEエイビエーションのGEnxエンジンを搭載するとある。大口径ファンエンジン搭載のため降着装置が拡大され地上高を稼ぐ。

検討は貨物機需要への対応が中心だ。ボーイングは767-300貨物機をFedEXUPS両社向けに新規生産中で、確定発注残も60機ある。767-XFは-300Fの前方貨物扉を流用する。

エンジン換装と降着装置を除けば、767-XF検討で想定する変更点はわずかで従来の設計を使えるとする。想定する路線就航は2025年頃になっている。

事情に詳しい筋からボーイングは旅客型767-X開発も想定し、実現すれば安価かつ低リスクのNMA機材になるという。NMAでは完全新型機で次世代エンジンを搭載するとされてきた。

ボーイングから767発展型についてコメントはないが、「絶えず市場動向を研究しており、顧客に一番役立つ策を模索している」とのみ伝えてきた。また同社からは昨年の貨物機受注(新規及び改装機含む)は124機で新記録となったと発言があり、うちわけは767が新規製造機材と改装機合わせ32機で「767Fの需要が底堅いことがわかる」としている。

ボーイングは「中間市場」需要への対応およびエアバスのA321LRとA330neo派生型による攻勢への対応策を検討中。767-X派生型がNMA機材になれば同社は財務・技術面の資源を「次世代小型機」開発に振り向けることが可能となる。そうなれば737 Maxの後継機となる完全新型単通路機の開発が早まりそうだ。

767はユナイテッドエアラインズで初の路線就航を1982年にし、これまで1,165機が納入されている。現時点でも受注残が105機あり、767-300Fの60機、767-2C給油機(米国および日本向け)が45機となっている。■

2019年10月3日木曜日

737MAXの運行再開に向け着々と準備を進めるボーイング、路線再投入は2020年か

Aviation Daily

U.S. Carriers Test New MAX Software; Prep For Service Return

Sep 30, 2019Sean Broderick | Aviation Daily

Southwest Airlines
PLANO, Texas—ボーイング737 MAXの新型飛行制御ソフトウェアを体験した米パイロット陣は一様に好意的な反応を示しており、エアラインの一部には徐々にMAXを路線復帰させる予定を立てる会社があることから、今年末までにFAA承認を取得するとのボーイング構想が実現に向かいつつある。
アメリカンエアラインズおよびサウスウェストエアラインズはじめ十数社のパイロットがMAXの完全フライトシミュレーターセッションをマイアミで体験した。「初めてMAXの完全作動、フライトシミュレータにふれることができた」とサウスウェストの機長の一人グレッグ・ボーウェンが語る。この人はサウスウェストのパイロット組合(SWAPA)で訓練と規格標準作成の座長を務める。
SWAPAの国際パイロット組合会議でボーウェンは各パイロットは改良前と開業後のMAX機体制御特性強化システム(MCAS)による操縦性ソフトウェアとともにトリムの手動調整含む飛行制御関係のコンピュータ改良に触れたという。
ボーウェンによれば改良型MCASの作動は想定通りで、自動水平安定版による機首下げインプットが高迎え角AOAでの安定性を補強し、改良前より「ずっとよい」作動を示したという。これは事故調査を反映したボーイングが相当の改良を加えたためであり、そのもとがAOAデータインプットが本来必要でないのに作動となり事故原因となった急降下につながったことだ。「この危険は今や払拭された」とボーウェンは述べた。
ボーイングが開いたセッションには各社パイロットがペアとして参加した。うち、アメリカンからはMAX操縦経験のないパイロットもいたとアメリカンの機長ジョン・デルーが語る。アメリカンで飛行安全を管理する上級管理職でもある。「本人は訓練に満足していたと思いますよ」
ボーイングは今回のセッションで各社パイロットはボーイングが準備した内容すべてを検分したわけではないと強調している。FAAはボーイングとまだ作業中の内容があり、変更を必要とする非通常状態の条件6通りがまだ残っており、MAXの特性以外にパイロットとして対応が必要となる状況も対象とボーウェンは述べた。
FAAが訓練の基本を設定するがエアライン各社がカスタマイズするはずだ。デルーはアメリカンの最終訓練パッケージには2時間分の「技術」訓練以外に「社会的側面」としてMAXの安全性への乗客の懸念にどう答えるべきかも学ぶという。
サウスウェストのパイロットはMAX機種転換訓練の内容を再検討しているとボーウェンは語る。内容はサウスウェストが最終版として想定したものだがFAAが定める訓練内容が判明すれば改定するという。「MAX操縦に戻る際にはちょうどよい訓練機会にないるでしょう」
同社の機材運行再開計画ではボーイングから未引き渡しのままだった40機の受領が中心となっている。その後、運行停止となっていた34機の運行再開にむけ機体の再整備を行う。ボーイングは3月中旬の飛行停止の段階で385機を引き渡ししていたが、以後引き渡しを中止していた。MAXの墜落事故は2018年10月29日のライオン・エア610便のあと、今年3月10日にエチオピアエアラインズ302便でも発生していた。
アメリカンは保存中のMAX2機をニューメキシコ州ロズウェルからオクラホマ州タルサの整備拠点に移動させ機体状況を点検するとデルーが述べている。
「これで全体の状況が見えるようになります」といい、MAXを早く復帰させることが鍵という。「確実に進めたい」
ボーイングはMAX改良とともに訓練内容の改定の最終段階にある。次のステップは最終内容のFAA提出で、FAAの審査は最低でも一ヶ月かかる。だがFAAが承認すれば、耐空証明(AD)が発行される。ただし、FAAから予定はいっさい発表がない。

ボーウェンからはサウスウェストはAD発行後最短でも30日たたないと1号機の復帰がまにあわないという。同社の目論見ではMAX各機に平均200人時間かけないと保管状態から路線投入ができないという。そのうち新版ソフトウェアのインストールはわずか2時間程度とのこと。■

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