ボーイング 737 MAXの型式証明再取得が実現しても、中国エアライン各社の受注急増は期待できない Credit: Greg Baker/AFP/Getty Images
中国向け受注残が減少の中、新規案件がないボーイング、エアバス両社の現況
中国向け受注残が減少の中、新規案件がない
エアバス天津工場はA321neo製造に対応
ボーイングは737 MAX再型式証明を年末まで取得を期待
ここ数年、ボーイング、エアバス両社が前途有望な将来は東にあると指さしてきた。中国で中産階級の旅行需要が拡大する中で同国エアライン各社が旺盛に機体購入してきた。中国市場の成長で機体需要の中心地は東に移動すると見られていた。
2010年代の航空好況で旅客機の五機に一機は中国向けだったが、各社がCOVID-19パンデミック余波に対応する中で機材引き渡しは実質ゼロのまま、発注も減少している。両社の受注残も急速に減少しつつある。
ボーイング、エアバス両社が現在の引き渡し停止状況を抜け出そうとしているが、これまでとちがい中国には期待できない。
ボーイングの現状認識はこうだ。「中国は今後10年の世界規模の需要増加の25%を占める存在だが、中国向け引き渡しが進まないと当社の世界市場での地位が揺らぐ」とCEOデイヴ・カルフーンが6月にAviation Weekに述べていた。
政治も「大きな要素だ」とある幹部がもらしている。米中両国の緊張状態のため、「ボーイングがすぐにでも受注する見込みはない。ヨーロッパにも同様だ。中国は西側の政治発言で動揺している」というのだ。C919が今年末にも中国東方航空に引き渡しとなるが、当面は心配にさせる要因とならない。生産規模が数年は低いままで、中国国内エアライン各社にも同機を積極的に導入する様子がない。
ボーイング民生機部門は営業損失693百万ドルを計上したが、2020年第三四半期の損失の四分の三程度に相当する。民生機の収益が24%増加し45億ドルになるのは、737 MAX 引き渡しによるところが大きい。
短期財務状態では777で貨物機型生産の加速による変化が期待できる。「貨物機需要が底堅いためサプライチェーンと調整し777貨物型を増産することにした」とカルフーンは述べた。「2022年の777引き渡し数は2021年並みと見ている」とし、今年は9月まで777を20機納入した。
777の月産製造数は2機で、型式証明未取得の777-9もここに入る。今後は貨物型の追加で製造数が増えることになる。一方で777-9の型式証明取得と増産対応を進める。カルフーンによれば777新型の引き渡し開始は2023年末。
エアバスは今年9月までに424機を引き渡しし、昨年同期の24%増となった。内訳ではA220(34機)、A320ファミリー(341機)、A330(11機)、A350(36機)、A380(2機)だ。年間目標達成のため同社は残る三カ月であと180機を納入する必要がある。
同社の民生機部門では収益が21%増の246億ユーロになり、2020年の1-9月期の営業損失24億ユーロが今年は29億ドルの営業利益になった。■
Airbus, Boeing China Airline Orders Backlog Shrinking
November 04, 2021