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2021年11月10日水曜日

ボーイング、エアバスの現況:受注残は着実に減少する中、中国からの発注へ期待できないものの、業績は改善中

  

 

ボーイング 737 MAXの型式証明再取得が実現しても、中国エアライン各社の受注急増は期待できない Credit: Greg Baker/AFP/Getty Images

 

中国向け受注残が減少の中、新規案件がないボーイング、エアバス両社の現況

  • 中国向け受注残が減少の中、新規案件がない

  • エアバス天津工場はA321neo製造に対応

  • ボーイングは737 MAX再型式証明を年末まで取得を期待

ここ数年、ボーイングエアバス両社が前途有望な将来は東にあると指さしてきた。中国で中産階級の旅行需要が拡大する中で同国エアライン各社が旺盛に機体購入してきた。中国市場の成長で機体需要の中心地は東に移動すると見られていた。

2010年代の航空好況で旅客機の五機に一機は中国向けだったが、各社がCOVID-19パンデミック余波に対応する中で機材引き渡しは実質ゼロのまま、発注も減少している。両社の受注残も急速に減少しつつある。

ボーイング、エアバス両社が現在の引き渡し停止状況を抜け出そうとしているが、これまでとちがい中国には期待できない。

ボーイングの現状認識はこうだ。「中国は今後10年の世界規模の需要増加の25%を占める存在だが、中国向け引き渡しが進まないと当社の世界市場での地位が揺らぐ」とCEOデイヴ・カルフーンが6月にAviation Weekに述べていた。

政治も「大きな要素だ」とある幹部がもらしている。米中両国の緊張状態のため、「ボーイングがすぐにでも受注する見込みはない。ヨーロッパにも同様だ。中国は西側の政治発言で動揺している」というのだ。C919が今年末にも中国東方航空に引き渡しとなるが、当面は心配にさせる要因とならない。生産規模が数年は低いままで、中国国内エアライン各社にも同機を積極的に導入する様子がない。

ボーイング民生機部門は営業損失693百万ドルを計上したが、2020年第三四半期の損失の四分の三程度に相当する。民生機の収益が24%増加し45億ドルになるのは、737 MAX 引き渡しによるところが大きい。

短期財務状態では777で貨物機型生産の加速による変化が期待できる。「貨物機需要が底堅いためサプライチェーンと調整し777貨物型を増産することにした」とカルフーンは述べた。「2022年の777引き渡し数は2021年並みと見ている」とし、今年は9月まで777を20機納入した。

777の月産製造数は2機で、型式証明未取得の777-9もここに入る。今後は貨物型の追加で製造数が増えることになる。一方で777-9の型式証明取得と増産対応を進める。カルフーンによれば777新型の引き渡し開始は2023年末。

エアバスは今年9月までに424機を引き渡しし、昨年同期の24%増となった。内訳ではA220(34機)、A320ファミリー(341機)、A330(11機)、A350(36機)、A380(2機)だ。年間目標達成のため同社は残る三カ月であと180機を納入する必要がある。

同社の民生機部門では収益が21%増の246億ユーロになり、2020年の1-9月期の営業損失24億ユーロが今年は29億ドルの営業利益になった。■

Airbus, Boeing China Airline Orders Backlog Shrinking

November 04, 2021

https://aviationweek.com/air-transport/aircraft-propulsion/airbus-boeing-china-airline-orders-backlog-shrinking


2021年8月20日金曜日

米中の冷たい関係はエアラインにも波及。座席数4割上限での運行を両国当局が指示。発端は上海到着後に陽性反応が出たユナイテッド便。

  

 

LAX

Credit: Joe Pries

 

米運輸省(DOT)は中国系エアラインの米国乗り入れ便の総座席提供量を規制する。これは同様の措置を先に行使してきた中国当局への報復だ。

 

今後四週間にわたり、米国へ乗り入れる中国エアライン四社定期便で座席数が4割上限に抑えられる便が出る。影響を受けるエアラインは中国国際中国東方中国南方厦門航空の四社だ。

 

中国政府は7月21日サンフランシスコ発のユナイテッドエアラインズ上海行便にCOVID-19陽性の乗客5名が乗っていたことを理由に制裁措置を行使していた。

 

中国民間航空局(CAAC)は「サーキットブレイカー」ルールでユナイテッドに選択肢三つを選ばせた。サンフランシスコ便三フライトを運航中止する、2便分を無乗客で運航すること、乗客数を4割上限にして4便運航する。ユナイテッドは三番目を選択し、8月11日から上限ルールを適用した。

 

ただし、DOTは米政府は「サーキットブレイカー」措置に反対の意向を繰り返し示しており、「不合理な責任をエアライン側に押し付ける」との理由だと説明している。

 

「各エアラインは中国の規制内容をすべて順守していたのに乗客が到着後に陽性と判明して罰則を科すのは不合理だ」というのがDOTの主張だ。

 

「各エアライン側には独自にテストを行う手段がなく、この点で中国当局の主張と異なる。さらに、該当乗客がいつどこでCOVID-19に感染したかは把握しようがない」

 

このため4割上限措置は中国国際の北京-ロサンジェルス(LAX)線、中国東方の上海ニューヨーク線、中国南方の広州LAX線、厦門エアラインズのアモイLAX線が対象に適用される。

 

OAGのSchedules Analyserを見ると、2021年8月16日の週で米中ノンストップ便の合計座席数は往復で4,100となっている。2019年の同月同週では210千だった。■

 

 

U.S. Imposes Capacity Limits On Four Chinese Carriers

David Casey August 19, 2021

https://aviationweek.com/air-transport/airlines-lessors/us-imposes-capacity-limits-four-chinese-carriers


2021年6月23日水曜日

主張 中国市場の行方に黄信号。米中対決の影響で、最大の航空宇宙市場が消滅に向かうのか。

 Boeing aircraft

Credit: Boeing

 

トランプ政権時に始まった米国の対中政策の変化はジョー・バイデン政権で加速している。バイデン政権で対中政策補佐官を務めるカート・キャンベルは「これまでの相互互恵といわれてきた関係は終わった」と述べ、「現在は競合状態だ」としている。英国でのG7サミットの席上では米国は西側諸国による共同行為で中国の政治経済面の動きに対抗しようと提案した。その後の米EU会談で世界貿易機関でのジェット旅客機補助金問題を終結させ、これまで以上の協調体制で中国への対抗で合意した。

 

こうした進展は西側諸国と中国のつながりが逆転したことを示し、ジェット旅客機市場への影響には大きなものがある。

 

逆転現象は昨年すでに現れていた。米中間の海外直接投資は2016年のピークに比べ2020年は75パーセント縮小した。航空宇宙分野も同様で米国際貿易委員会によれば2018年の192億ドルが昨年は51億ドルになっている。

 

他方で中国の経済・社会は急成長時代を終え、政府の統制色、介入度がいっそう高まっている。航空利用客の減少はCOVID-19流行前からすでにはじまっていた。2018年10月の中国国内移動は12.2パーセント増となり、これまで20年近く二けた増が続いていた。だが2019年10月に5.3パーセント増に落ち込んでいた。

 

機体引き渡し数も減少していた。世界の機体引き渡しにおける中国の比重は2018年に23パーセントのピークを記録し、2019年15パーセント、2020年は12パーセントと引き続き減少している。理由の一部には737 MAX生産が止まったことがあるが、エアバスの引き渡しも減少している。

 

こうした数字以外に、米中の航空分野の関係は悪化した。他国の規制当局と異なり、中国の民間航空局は737MAXの型式再証明を発行しておらず、また今後の工程表も公開していない。他方で、米国は中国の航空宇宙企業の大部分を軍事エンドユーザー企業リストに載せ、西側装備の輸出を困難にしている。

 

中国市場の今後のシナリオは三つある。最良のシナリオは平和共存体制の復活でジョージ・H・W・ブッシュからオバマ政権までの時代同様になることだ。中国からのエアバス、ボーイング機材の発注が復活し、737MAXの型式証明が再発行され、米国も中国国内向けの技術輸出の制限を解除することだ。

 

最悪のシナリオはUSSR2.0だ。この場合の中国航空産業は西側と急速に切り離されていく。社会主義経済で成長率は低迷する。西側機材発注は減少し、中古機材の需要が高まる。国内線機材は中国国産機が中心となり、西側製造のエンジン装備等は性能が劣る国産品に代わる。この結果、大きな代償を10-15年にわたり支払うことになる。

 

三番目のシナリオがその中間となる。中国の成長率低下でジェット旅客機需要にも影響が出る。 737 MAXの型式証明を中国は再発行し、米国も中国向けの部品輸出の姿勢を変える。しかし、中国は国産化を急ぎ、航空機への搭載を義務化する。

 

対中国姿勢で同盟各国に共同歩調をとらせる米国の力量次第でシナリオが変わってくる。各国が同調すれば、一番目のシナリオが実現する可能性が出る。中国政府も路線変更しないと本当に孤立してしまうと悟る。米国と同盟各国の歩調が合わないと、中国は米国離れをし、エアバスは受注多数を獲得することになる。

 

航空業界には大きな転換点となる。10年に一度あるかどうかの外的ショックが、パンデミック、戦争、テロ襲撃や経済不況などで発生すればジェット旅客機需要は2-3年低迷することがある。だが、一番目のシナリオでないと、ジェット旅客機市場は恒久的なショックに見舞われ、最大の輸出市場の消失が現実になってもおかしくない。■

 

Opinion: Big Questions About The World's Largest Jetliner Export Market

Richard Aboulafia June 18, 2021

 

Richard Aboulafia

Contributing columnist Richard Aboulafia is vice president of analysis at Teal Group. He is based in Washington



2020年10月17日土曜日

コロナウィルス発生地の中国で国内エアライン利用客が初めて前年を上回る実績を計上。他国から見れば複雑な気持ちになるのでは。


China’s ‘Big Three’ see full domestic traffic recovery in September

By Alfred Chua17 October 2020

https://www.flightglobal.com/airlines/chinas-big-three-see-full-domestic-traffic-recovery-in-september/140665.article



airbus 50 a350 air china

Source: Airbus.

中国国際の9月国内利用は778万人で対前年比で1.3%増だった。

 

国のエアライン大手三社はコロナウィルス流行後で初めて前年を上回る乗客数になった。


9月実績を発表した中国国際中国南方中国東方の各社で前年同期を上回る利用客が搭乗した。国内ASK、RPKともに対前年比増になった。国内路線はパンデミック前の状況に戻ったが、国際線需要は渡航制限のため依然として低水準だ。 


「ビッグスリー」が間もなく発表する9月30日締めの四半期財務実績は赤字の見込みで黒字基調に戻る予測に反する結果になりそうだ。


9月だけ見ると中国国際は国内線で778万名を運び、対前年比1.3%増だった。今年8月からは7%増となった。路線網全体では782万名で8月比較では6.9%増だが年間では16.6%減に終わった。


スターアライアンス加盟の同社国内ASKは年率5.6%増で、8月比較で4.6%増だった。一方RPKは年率0.1%増、8月比較では9.2%増だった。


中国南方航空国内線は1110万名年率2.5%増とまずまずの実績で8月から8%増となった。路線網全体で1120万名を運び、年率12%減となった。国内ASKは年率6.6%増、8月比較は6.3%増だった。


中国東方航空の9月実績は国内路線890万名、年率1.2%増、8月比で5.1%増だったが路線全体では900万名で対前年比14%減に終わった。スカイチーム加盟の同社は国内ASKの年間伸び率がビッグスリーで最高の8.5%になった。前月からのASK増加は2.5%だった。同月のRPKは年間8.5%増、月間比較でASKは7.6%増加した。


9月の旅客実績は中国国内移動の順調な回復を示しているが、そもそも中国が今回のウィルスの発生地であり、当局は大量発生の事実が判明し移動制限を課してきた。


中国系エアライン各社は10月初めのゴールデンウィークに1300万名の輸送実績を記録し、運航便数はパンデミック前水準に近づいた。■

2020年6月28日日曜日

ユナイテッドのアジア路線再開の動き。中国線は当面制約が残る。

United 777-200

Source: United Airlines

United reinstates flights to Asia

By Pilar Wolfsteller27 June 2020

ユナイテッドエアラインズは米国とアジア各地を結ぶ路線を7月から運航再開する。

サンフランシスコ-上海線(ソウル経由)は週2便で7月8日から再開し、ボーイング777で運用する。▶7月はその後シカゴ-東京線を再開し、香港線、シンガポール行き(香港経由)も再開する。▶上海線の再開は国際路線再構築で重要な一歩と同社国際路線アライアンス担当副社長パトリック・クウェイルが6月26日に述べた。▶上海線は2月から運休中だが、米キャリアでは中国路線で同社は最大規模の、サンフランシスコ、ロサンジェルス、シカゴ、ニューアークから5便をデイリー運行していた。

今回の発表は競合するデルタエアラインズが先に中国路線を再開すると伝えたことに呼応するもの。▶新型コロナウィルスが世界的流行になったと世界保健機関が3月に発表すると中国当局は同国に乗り入れる国際便を制限し、疾病の流入を防ごうとした。▶今回出た布告では各キャリアは3月12日時点の運行実績を上回る規模のフライトを実施できないことになっているが、当日は米国エアライン各社は中国向けフライトは全便運休していた。

5月にデルタ、ユナイテッド両社は中国民用航空局(CAAC)に旅客輸送フライト再開の申請を出したが、CAACは却下していた。▶6月3日、米運輸省(DOT)が中国エアライン各社の米国乗り入れを6月中旬より禁じる措置を出し、これに対抗した。▶CAACはすぐ態度を変え、米各社に合計4便まで中国本土へのフライトを認めてきたとDOTは述べている。DOTも中国各社に同数のフライトを認めた。■

2020年6月13日土曜日

中国国内線は供給増加中だが、需要は呼応していない模様


Daily Memo: Chinese Domestic Capacity Near 90% Of 2019 Level

Bradley Perrett June 10, 2020

国国内のエアライン各社で利用率が前年の9割近くに回復しており、来週は96%に上昇しそうだ。
ただし、需要は低いままだ。各社は需要に先立ち運航力を再編しているが、従業員の有効活用の意図もあると業界筋は見ている。
直近の国内便の運用力増は4月に始まり、5月に入り安定したとOAG及びCAPA航空センターのデータでわかる。
5月11日に始まる3週間で国内線の定期運行は前年比で80%に達し、3月・4月平均の63%から増加した。
先週は90%になり、今週は88%で推移している。来週の運行予定は前年比96%と最高水準となる。
2019年実績の9割は通常時の9割と意味が異なる。エアライン各社はコロナウィルスの大量流行がなければ大幅な供給増を予定していたためだ。1月に緊急事態の宣言前の8週間は国内便の供給量は前年比で約6%増えていた。
国内線利用客のロードファクターは弱含みだ。5月は平均65.2%で、見かけ上は増加していたと中国データ企業Variflightが説明している。原因は規制ではなかった。国内便で感染予防のためロードファクターの制限を撤廃しており、一方で国際線は75%を上限としていた。
エアラインの大多数が国営企業で従業員削減や出勤停止ができない事情もある。社会安定を最優先とする方針はどこにも書かれていないが、共産党の統治にかかわることなので暗黙の了解がある。
そのため他国のエアラインと比べると中国各社の運航力活用コストは低くなる。西側では従業員のレイオフがあり、業務再開を待って給与手取りは増える。中国系エアラインでも多数の未利用機材がある。
路線運航能力の再開が早まる背景に業務をなるべく通常通りとし利用客を呼び戻したい意向がある。キャンセルをどこまで減らせるかが重要だ。
中国国内の利用率は不明だが、エコノミー席の平日料金を利用が最大の北京上海線で見れば傾向がつかめる。6月中旬はCNY400-500(5,600円-8,000円)だが、3週間前はCNY500-600、さらにパンデミック前はCNY1,000だった。このことから業界は実需要より先に対応していることがわかる。

一方で中国系エアラインの国際線利用状況は4月以来は前年比で5-7%になっている。その後増加、減少いずれの動きもないとOAG、CAPAのデータから読み取れる。■

2020年2月23日日曜日

中国航空需要の急すぎる減少、いまやポルトガル程度の規模へ

ブルームバーグの記事です。今回の事態が今後どんな影響を与えるのか、制限が解除されれば再び人の大移動で中国路線が活況を呈するはずですが、一体いつになるのか興味津々というところですが、キャッシュフローの悪化で整備不良となるエアラインが生まれないことを祈るばかりです

 

China’s Aviation Market Shrinks to Smaller Than Portugal’s

2020年2月18日 12:02 JST

 

2020年代中には米国を追い抜く予測まで出ていた中国の航空需要だが、コロナウィルス流行で急減少し、かつての世界三位が今や25位とポルトガルの次となってしまった。
湖北省を中心には流行が広がったことからエアライン各社が中国運航便を次々に削減し、1月20日から2月17日にかけ170万席およそ8割が運行停止となった。一方で中国国内線では1,040万席分の運行が削減された。いずれもOAGエイビエーション・ワールドワイド調べ。
「コロナウィルスにより壊滅的な効果が生まれている」とOAG上席アナリストのジョン・グラントが記している。「多くの面で改めて中国市場の占める大きさと航空サービスのグローバル化の影響を思い知らされる」
コロナウィルスの封じ込め策で中国路線を運行中止するエアラインは多く、中国から香港、台湾向け路線では5週間で25万席分が消え、中国三大エアラインの国際線では8割から9割が削減された。
その結果、中国南方航空の運行規模はカザフスタンのエア・アスタナをわずか800席上回る規模にまでに落ち込み、中国東方航空チュニスエアをわずかに上回る程度だという。両社の削減規模は週あたり20万席とOAGは把握している。
「ウィルス騒動が落ち着いても今回の影響が長期的成長に効いてくるエアラインがあらわれる」とグラントは見ている。■

お知らせ

 2022年以降こちらでは新しい投稿はしておりません。引越し先は 「航空宇宙ビジネス短信T1(新)」です。 こちらへお越しください。 https://aviationspacebusiness-civilaviation.blogspot.com/ お待ちしております。