ラベル NMA の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル NMA の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2021年11月13日土曜日

中型長距離機新開発の開始に踏み切れないボーイング。一方でA320XLRがナローボディ長距離線機材需要を独占して今いそうな勢い。ボーイングは新技術の熟成まで待つ気なのか。

  

エアライン、リース元はボーイングに「新しい757」を開発し、エアバスA321XLRへの対抗機種とするよう求めている。Credit: Joepriesaviation.net

 

ボーイングは新型ナローボディ機開発に踏み切るべきか、この質問をエアラインに向ければ、「すぐ始めて欲しい」というのが答えだ。これは Aviation Week Network/Bank of America Global Researchの共同調査で900社から回答を得た結果で、エアラインやリース会社多数を含む。業界はシンガポールの2020年ショー以来久しぶりの本格的航空ショーのあるドバイに集結しつつある。

 

「ボーイングが何らかの動きを示すべきだろう」とバンクオブアメリカのアナリスト、ロン・エプスタインが解説している。「だが同社はバランスシートを改善してから次に移る構えだ」新型中型機(NMA)の検討は2020年初めまで続いていたが、ボーイングは既存機種の生産安定化を優先し、COVID-19による歴史的規模の影響、さらに20カ月続いた 737 MAXの飛行停止措置、787引き渡し中断による影響からの回復が2022年第一四半期まで続くとしている。

 

ボーイング社内のNMA研究の一環として-5Xコンセプトが2020年末に流出しており、エアバスA321XLRに対抗しつつ757後継機がないニッチを埋めるとしていたが、同社はその後787引き渡し再開、777X型式証明へ注力し始めた。新型機投入の大日程を示す兆候は出ていない。

 

社内の新型機立ち上げへ向けた準備が低調なまま、ボーイングはタイミングを見定めようというのだろう。新型機開発業務には専門部署立ち上げから新技術の飛行実証等があり、統合製品チーム(IPT)でデジタルデザイン製造へ道を開き新型機の実現をめざすだろう。近年の軍用機事業で得た知見を投入するはずだ。

 

顧客側の回答でIPTでボーイングは次期機体の実現をきたいしており、73%はボーイングに高性能長距離性能があり座席数が多いナローボディー機でコスト削減の実現を期待している。顧客が期待する新型機は現行の737 MAXより大型の想定で、29%は座席数180から250のファミリー構成を希望。回答の半数以上が4,500カイリ以上とエアバスA321XLRを除けば、現行機のいずれよりも長い航続距離を望んでいる。

 

各社の要望は極めて高く、とはいえ必ずしも非現実的でもなく、運航経費低下を望んでおり、60%は15%削減で十分としつつ、20%削減が望ましいと85%が回答している。

 

調査結果で明らかになったのはエアラインやリース会社がボーイングにエアバスA321XLRの対抗機種の実現を望んでいることで、長距離型A321neoの納入開始が2023年に迫っており、確定発注がすでに500機になっているとの予測がある。エアバスは正確な受注数を公表していない。

 

ボーイング757と同様にXLRはエアライン多数が長距離路線用として大西洋横断あるいはラテンアメリカ路線に投入するだろう。ユナイテッドエアラインズCEOスコット・カービーScott KirbyはAviation Weekに対しXLRをニューアーク、ニュージャージー、ワシントンの参加者で運用すると述べ、北アフリカ路線も視野に入れる。

 

A320neoファミリー生産の半数がA321neoに間もなく切り替えれると、長距離単通路機市場でエアバスの優位性が確立される。この分野がエアバス収益の大きな柱になっており、ボーイングの737-9や-10では競争力が発揮できず苦戦となりそうだ。

 

対照的にに737-8販売がA320neo相手に善戦し、ボーイングに新型機開発の余裕が生まれると見る向きがエプスタインはじめアナリストに多い。

 

環境持続性が今回の回答で重要な視点となったのは驚くに当たらない。71%がこの問題をとても重要あるいは重要と回答した。またボーイングに迅速な対応を期待していることが明白となった。2026年の新型機引き渡しを期待し、29%が2027年、22%が2028年、19%が2030年だった。各社ともボーイングに時間を無駄にする余裕はないと見ている。

 

一つ問題がある。新型エンジン技術だ。回答のほぼ三分の二が新型オープンローター、水素あるいはハイブリッドエンジンの実用化を待つとし、多数がオープンローターに期待している。CFMインターナショナルが画期的イノベーション技術持続可能エンジン(RISE)の研究が進展しており、次世代機への採用が期待される。

 

このRISEでCFMはオープンファン実証を行う。克服すべき騒音と性能の課題がオープンファンにあり、技術設計上でどう解決するかが問題だ。

 

今年に出た同社発表では目標を燃料消費、CO2排出量で20%削減に置き、ベンチマーク対象のLeap 1ターボファンの20-35千ポンド推力クラスに置く。実証で一段式ギア駆動ファンにアクティブステーターをつけ2024年から25年にフライトテスト実施をめざす。

 

これに対しボーイングの製品開発担当副社長マイク・シネットMike SinnettはRISEにより同社の考える次期新型機の実現時期や方向性が左右されることなないとし、「あくまでも技術実証であり、CFMにはその他の検討対象となる別の技術もあるし、一つにまとめたテストもある」「同社はまだRISEを事業としておらず、ソリューションとしても認識していないが、各種の技術を試すチャンスとなる」と述べている。

 

「自分の視点並びにチームの視点では機体設計に投入可能なツールに映る。興味深い技術もある。タイミングが合う技術もあるが、合わないものもある。最終的なソリューションにつながるかに関心がある」

 

回答の58%がボーイング新型機のエンジンメーカーは一社限定が望ましいとしたが、737MAXでボーイングはエンジンの選択肢は提供していない。

 

ボーイング社内でNMAや派生型-5Xの検討が進んでいた時点で同社にはナローボディあるいは小型ワイドボディの選択があった。回答の四分の三が小型ワイドボディ機を望ましいとしたが、機体構造から抗力が増えてもいいとしたのには二つ理由がある。乗客の乗降時間が短くなる。また折り返し時間も大型ナローボディ機で問題となっており、757-300では前後のドアを使って乗客を移動させている。もう一つの理由として貨物輸送の収入が重要になっている。貨物収入は一程度必要だ。A321XLRの弱点は長距離路線運航で客席が満席となると貨物用スペースが実質的になくなることだ。

 

ボーイング社内ではコンセプト検討が続いている。ボーイングは業界の意見を集め、NASA向け提案として単通路持続可能飛行実証機(SFD)に盛り込むべき内容を把握しようとしている。Xプレーンの70年に及ぶ歴史でも最大規模となる専用試験機事業は各社競合となるが、NASAは持続可能飛行国家連携に政府機関、業界、学界の英知を集める。

 

将来の単通路機として2035年登場を想定する機体の中核技術の実証、成熟化を狙うNASAのXプレーンは2026年に飛行開始の予想で、低排出高効率のエアライナーとして2030年代に現行737の後継機となることが期待される。ただし、これはボーイングが事業化に成功した場合だ。ボーイング案は遷音速トラス構造主翼機で画期的な高アスペクト比の主翼を特徴にし、同社はこの構造を十年以上かけて研究している。

 

2026年末にXプレーンを飛行開始させ、NASAはSFDにより将来の亜音速機の性能目標の実現をめざすべく、地上テスト、飛行試験でデータを集めたいとする。■


Survey Shows Airlines Want New Boeing Aircraft

Survey Shows Airlines Want New Boeing Aircraft


Jens Flottau Guy Norris November 12, 2021


2021年2月11日木曜日

ボーイングの逆襲が始まるのか。エアバスのヒット商品A321XLRに対抗し、いよいよ中型新型機の開発がスタートする模様。

 

エアバス321XLRが長距離路線用に高い人気を集めていますが、キャリアには効率がよい機体でも、単通路で狭苦しいキャビンでは旅客が不満を出すのは時間の問題でしょう。これに対しボーイングは双通路機で経済性を実現するという欲張りな構想です。対応は大幅に遅れましたが、デジタルエンジニアリングの威力で意外に早く姿を表す可能性もあります。ただ、10年近く対抗機種がないのはボーイングにとって痛いところで、エアバスからリードを奪い返すのは困難となるでしょうね。

 

building

Credit: Boeing

 

ーイングエアバスA321XLRに対抗する完全新型旅客機実現にむけ第一歩を進めることとした。ただし、財務、市場動向両面で同社に向かい風の状況だ。

 

新型機には-5Xの呼称といわれ、棚上げされていた新型中韓市場機材(NMA)として2クラス仕様で250-275席規模の双通路機となる。757-200/300後継機として5千カイリ程度の航続距離で、2020年代末の路線就航をめざす。

 

業界筋は設計の簡素化と低コストが目標と見ている。開発費用を最小限にし最短で路線就航するべく、既存の各種システムや推進手段を活用するとあり、すでに多くがNMAで検討済みだ。ボーイングは仕様について論評を避けているが、1月27日に同社CEOデイヴ・キャルホーンが2020年第4四半期営業報告でA321程度の機体の競合機種について開発が順調に進んでおり、時がくれば差別化商品として投入できると述べていた。

 

CEO発言からボーイングが想定する重点対象が中距離市場に特化した機種だと裏付けされた格好で、噂された737MAX後継機の新型小型機材(NSA)ではないことがわかった。同社はA321XLRの需要を追う機材としてNMAの実現を目指していたが、需要家の反応がいまいちのため開発工程を一時棚上げしていた。

 

NMAファミリーの基本形は当初757後継機を狙い、その後767後継機の想定も加わった。2019年に入るとNMAは225席のNMA-6X、275席のNMA-7Xの2型式に絞られ、-7Xを先に開発するとしていた。だが、エアライン各社に打診中に737 MAX事故が発生し、同機は世界各地で運行停止となってしまった。

 

NMAの中心はA321XLRを狙い、双通路で5千カイリ飛べる機体を単通路機と同じ生産コストで実現することにある。ただし、COVID-19の世界的流行で当初の大日程は完全に変わってしまった。当初はNMA大型版を社内呼称7K7-7Xとして2025年就航を想定していた。現在の新日程では-5Xを2020年代末の就航を目指すが、2022年ないし2023年の正式開始を前提としている。

 

当初の構想同様に新型機も複合材の主翼、機体構造とし、50千ポンド高バイパス比エンジンをジェネラルエレクトリック-サフランCFM共同事業体およびプラット&ホイットニーが提案済みのエンジンから採用する。就航時期が先送りになったのでロールスロイスのアルトラファンにも参入チャンスが生まれた。同社は当初の日提案では対応が難しいと断念していたが、再考するのではないか。アルトラファン初号基が組み立てに入っており、2022年はじめに運転可能となる。

 

2020年にボーイングは120億ドル近くの記録的な赤字を計上したが、業界筋は新型機の研究開発経費は年間負担が20-30億ドル程度なら十分負担できると見ている。

 

MAXの生産、納品が今後拡大すれば、ボーイングのキャッシュ状況は好転し、新型機開発費用を捻出できるキャッシュフローが生まれると予想される。■

 

この記事は以下を再構成し、人力翻訳でお送りしています。市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmail.comへご連絡ください

 

Boeing Makes Moves On Airbus A321XLR Competitor Plan

Guy Norris February 02, 2021


2020年2月9日日曜日

NMA開発決断が待ったなしのはずのボーイングだが、煮え切らない態度のままなのはなぜ

Boeing has no time to lose on NMA decision

By Pilar Wolfsteller6 February 2020

業界ではボーイングは中規模機NMAの開発の決断を急ぐべきとの声が出ている。同機事業は737 Max の危機的状況を受け重要性がましている。
ボーイングCEOディヴィッド・カルホーンは先週NMA事業にブレーキを掛けた。同社は次期機種の市場規模を再評価するという。
「双通路機で単通路機の経済性を実現できるかが問題だが難しいだろう」とTeal グループ副社長リチャード・アブラフィアは2月5日述べている。「カルホーンの決断先送りに賛成する。ただ事態は深刻で中規模市場向け機種開発に向かわないと結果は取り返しがつかなくなる」
ここ数年ボーイングはNMA開発の着手をにわたり口にしており、270席で4千ないし5千カイリ(7,400-9,300km)の性能の想定だ。だが737 Maxの飛行停止措置のためNMAの2020年代中頃の販売開始想定が危うくなっている。一方でエアバスは2019年のA321XLR投入で中間規模市場攻略を開始した。このためボーイングは需要に取り残される危険に直面しており、経済性にすぐれた単通路機が双通路機よりおよそ2対1の割合で人気を集めている。
「以前は1対1だった単通路機と双通路機の市場規模が2対1になり、7割3割にもなりえる。長期的には単通路機が主流になりそうだ」「Maxは非常に厳しい事業環境だが、同時にボーイングにもここ数十年で最大の難題となっている。Maxが市場の大変換点で強力な競争相手に直面する中で技術的な問題に直面しているからだ」(アブラフィア)
エアラインにはNMAを一刻も早く欲しいとの動きがあり、757や767の老朽化が背景にある。ボーイングが新型機開発を早期開始しないとユナイテッドデルタ含む各社で運行中の330機がエアバスの新型長距離単通路機に更新される可能性がある。その中でエアバス以外の選択肢が必要という。ユナイテッドはA321XLRを50機昨年12月に発注しており、納入は2024年から始まる。
カルホーンCEOは同社が民生機市場への新型機導入効果の評価中と述べており、NMA以外の選択肢もあるかもしれない。同社は好評のA321neoへの対抗機種として新型機を開発する考えはないとし、パイロットとシステムの相互作用を中心にした飛行制御システムの開発に集中しているとアナリスト陣に語っている。■


ボーイングが相当苦境に立っていることが伺えます。エアバスとの差が今後拡大していくと大変なことになります。さらに中国に大きな期待をしているボーイングが今回のウィルス騒動で大きな後退を迫られる可能性もあり、ここ数年は苦しい状況が続きそうです。A321の拡大版で長時間のフライトは勘弁願いたいので、ボーイングには再び空の旅を快適にしてくれる新型機開発をお願いしたいものです。

2019年12月16日月曜日

ユナイテッドがA321XLR発注に走り、ボーイングNMAの行方に暗雲?

Boeing NMA future doubted after United orders 50 Airbus A321XLRs

By Jon Hemmerdinger, Boston11 December 2019
nma-ga
Source: FlightGlobal
ーイングが提案中の新型中間規模機(NMA)の今後が見えなくなってきた。ユナイテッドエアラインズエアバスの競合機種A321XLRを発注したためだ。
今回の発注でNMAへの影響は専門家で見方が割れており、ボーイングがNMA投入を断念するとの意見もある。
「ユナイテッドのA321XLR採用でボーイングからの新型機登場の可能性は潰れた」とブルームバーグは12月5日に伝えた。
ただ航空宇宙コンサルタント企業AIRのアナリスト、マイケル・メルゾーはA321XLRが成功していることこそボーイングにNMAが必要な理由と述べ、開発開始につながると見る。
「NMAについては肯定的に見ている。ボーイングの新型中型機の存在意義が確認された」
「機体製造の戦略を見るとNMAがないままだとボーイング社の重要顧客を失うのはほぼ確実だ」とし、デルタエアラインズが念頭にあるようだ。
NMAには業界で「797」の名称がついているが、ボーイングは数年前から構想をねっているもののその実現ははっきりしていない。
説明通りなら同機はワイドボディ機で270名、4千から5千カイリ(7,400-9,300km)の性能で737 Maxと787の中間機種となり、大西洋横断路線に最適な機体となる。別の言い方をすれば同機は旧型757や767の後継機種となる。
ボーイングはかねてからNMAの市場投入を2020年代中ごろとしており、機材更新が必要なエアラインにギリギリで間に合うとしてきた。
米国のレガシー3社のアメリカンエアラインズ、デルタ、ユナイテッドが大口需要客とアナリスト陣は見ており、この三社で757・767が383機が運行中だ。
三社はそれぞれNMAに関心を示しており、特にデルタが目立つ。
737 Maxで二件目の墜落事故が発生するまではNMA立ち上げは時間の問題と見る向きが強かった。
だがMaxが状況を変え、ボーイングは同機の運行再開に注力せざるを得なかった。Maxは現在も飛行再開が許されていない。
当社は737 Maxの復帰に全力を投入していますが、NMAの事業化検討も続けており、Maxで目処がつけばNMA開発の可否を決定します」とボーイングはFlightGlobalに伝えてきた。「以前の機種での事業化決定のプロセスと何ら変わるものではありません」

エアバスがA321XLRで受注をさらう 

NMAが先に進まない間にエアバスが受注を集めており、A321XLRは6月のパリ航空ショーで発表した。244名を4,700カイリ運び、路線就航は2023年と同社は発表。
A321XLRは早速受注を集めており、450機の確定発注、発注意向となっている。
これはエアライン側が中間規模機材を求めている証拠であり、180席程度のナローボディ機需要から200席超の規模へのシフトも明示しているとアナリスト陣は指摘する。
「生産機種の大規模変更が発生しています。市場の中心が321です」(メルゾー)
アメリカンA321XLRを50機パリで発注した。ただし、これは以前の購入権で機種変更したもので想定内のものだった。
業界筋ではユナイテッドがA321XLRの50機発注を12月3日に発表したことのほうがNMAへの影響が大きいと見る。ユナイテッドは737 Maxを発注しておりA320neoファミリー発注は皆無だった。
「ユナイテッドはNMAの有望な顧客と見られており、A321neo発注は今後に有望な証とは言えません」とTeal グループの航空宇宙アナリストのリチャード・アブラフィアが12月6日のForbesに寄稿している。「ボーイングの新型中型機提案に暗雲です」
A321XLR United Airlines (artists impression)
Source: Airbus
United signaled an alignment with Airbus when it ordered 50 A321XLRs, a type represented in this digital rendering
アブラフィアはかねてからワイドボディ機は製造コスト、座席あたり運行経費がナローボディより高くなると指摘しており、NMAがA321XLRより優位になるか不明としてきた。
アメリカン、ユナイテッドの発注で757旅客型運用三大エアライン中2社がエアバスに鞍替えしたことになる。
ただボーイングが中型機市場を放棄すると考えるアナリストはいない。ボーイングがNMAを737後継機種に位置づけ、まず757に匹敵する機種を立ち上げると見ている。
「最終的にボーイングにとってこの規模の機種の投入が最適な選択となるのではないか」とアブラフィアは述べている。
ブルームバーグは「NMAは既存設計を手直ししたナローボディになると見ていたが...新型機は大型ナローボディで200席が中心になりそうだ」という。

NMAはボーイングにやはり重要な存在だ 

メルゾーはこれまでの経緯を違う読み方をしておりNMAはボーイングの今後重要な存在と見ている。
ただ737 Maxの次の機種に進む準備が同社にできているとは見ておらず、Maxの販売、整備で得る資金が今後の機体開発の原資になるという。
またNMAはかねてから737後継機種の立ち上げに先だち生産機種を近代化するための「つなぎ」と言われてきた。「今もその位置づけに変化はない」「NMAは変革の一部にすぎない」
またA321XLRで中間市場需要全部への対応は無理とも指摘している。757後継機にはなっても767と同等の機能はなく、米国中部・西部からヨーロッパ、アジアへの直行便運用はできないという。
NMAは「西海岸からヨーロッパ各地を結べる機体」と想定しているという。
このためレガシーキャリアで唯一A321XRL発注に動いていないデルタがNMAを選択肢として望ましいとするとメルゾーはいう。
デルタは767を77機、757を127機運行中だ。767はアトランタからヨーロッパに飛ばし、西部各地からアジア路線にも投入している。

「NMAがないとデルタ発注を逸します」「機体価格が上昇しても中間市場で標準型の機体になるでしょう」とメルゾーは述べている。■

2019年10月13日日曜日

ボーイングが767-X開発を構想中、NMA安価版になればいよいよ737後継機の開発が始まるのか

Boeing examines GEnx-powered 767-X for cargo and passenger roles


10 OCTOBER, 2019
 SOURCE: FLIGHTGLOBAL.COM
https://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-examines-genx-powered-767-x-for-cargo-and-pa-461386/

Asset Image
767の新規製造はUPS、FedEx向け貨物型で今も続いている。
UPS Airlines


ボーイングがエンジン換装型767を検討している。主に貨物輸送需要を想定し、2020年代中頃の路線就航を期待する。

検討では旅客機型も含まれており、同社が提案中の新型中間市場機(NMA)の安価版になる可能性もある。

FlighGlobalは検討内容を入手し、767-XFの名称で767-400ERを原型としGEエイビエーションのGEnxエンジンを搭載するとある。大口径ファンエンジン搭載のため降着装置が拡大され地上高を稼ぐ。

検討は貨物機需要への対応が中心だ。ボーイングは767-300貨物機をFedEXUPS両社向けに新規生産中で、確定発注残も60機ある。767-XFは-300Fの前方貨物扉を流用する。

エンジン換装と降着装置を除けば、767-XF検討で想定する変更点はわずかで従来の設計を使えるとする。想定する路線就航は2025年頃になっている。

事情に詳しい筋からボーイングは旅客型767-X開発も想定し、実現すれば安価かつ低リスクのNMA機材になるという。NMAでは完全新型機で次世代エンジンを搭載するとされてきた。

ボーイングから767発展型についてコメントはないが、「絶えず市場動向を研究しており、顧客に一番役立つ策を模索している」とのみ伝えてきた。また同社からは昨年の貨物機受注(新規及び改装機含む)は124機で新記録となったと発言があり、うちわけは767が新規製造機材と改装機合わせ32機で「767Fの需要が底堅いことがわかる」としている。

ボーイングは「中間市場」需要への対応およびエアバスのA321LRとA330neo派生型による攻勢への対応策を検討中。767-X派生型がNMA機材になれば同社は財務・技術面の資源を「次世代小型機」開発に振り向けることが可能となる。そうなれば737 Maxの後継機となる完全新型単通路機の開発が早まりそうだ。

767はユナイテッドエアラインズで初の路線就航を1982年にし、これまで1,165機が納入されている。現時点でも受注残が105機あり、767-300Fの60機、767-2C給油機(米国および日本向け)が45機となっている。■

2019年3月6日水曜日

NMA開発の決断をボーイングに迫るデルタの狙い

この記事はターミナル1(新) https://aviationspacet1.blogspot.com/   でも同時掲載です。

Delta encourages Boeing to launch NMA デルタがNMA立ち上げをボーイングに期待

05 MARCH, 2019
SOURCE: FLIGHT DASHBOARD
BY: EDWARD RUSSELL
WASHINGTON DC
https://www.flightglobal.com/news/articles/delta-encourages-boeing-to-launch-nma-456349/

 デ ルタエアラインズ CEOのエド・バスティアンが新型中型機NMA
の実現をボーイングに働きかけている。
 バスティアンはJPモーガン主催の航空運輸産業カンファレンスで機関
投資家に「当社にとって非常に関心が高い機材」とし「ボーイングは
立ち上げを決定していないが、当社としてはぜひ前に進めてほしい」
と述べた。
 デルタはNMAをボーイング757と767の後継機種として期待する。
データベースによればデルタの757と767は合計204機でうち111機が
757-200で36機が767-300ERだ。
ボーイングはNMA事業化決定を今年中に予定していたが2020年に先
送りし業界に驚きの声が広がった。同社は新型機実現の場合、2025年
に姿をあらわすとしている。
NMAは200-270席規模ワイドボディで航続距離は4,000-5,000nm
(7,400-9,300km)で、737Maxの最大型と787最小型の中間を埋める機
体だ。
 エアバスも黙って見ておらずA321LRをA321neoの大型長距離性能の
A321neo納入を開始しており、大西洋横断路線に投入中の757の更新
機材需要を狙う。またA330-800neoや-900neoを767-300ER後継機と
して売り込んでいる。
 デルタはA330-900neoを35機確定発注中で、一号機はあと数ヶ月で納入される。同社はシアトル-タコマのハブから国際線に7月投入する。
ユナイテッドエアラインズ はA330neoとNMAの比較検討中で アメリカ
ン・エアラインズ は767後継機材に787-8追加発注で対応する。
 アメリカンのCFOデレク・カーは「767後継機種にA330-800neoを、
A350をA330-900neoで置き換え、787-9を787-8に置き換える検討をした」と2018年4月に述べていた。「機材共有化と運航面の観点から結論としてボーイングに落ち着いた」
 バスティアンの本日の発言はNMAに強い関心を改めて示した。昨年6
月に全米商業会議所会合でデルタがボーイングと打ち合わせを重ねて
おり同機の「ローンチカスタマーになる」可能性を示していた。
 本日はそこまでの発言こそなかったもののバスティアンは引き続き
ボーイングと協議をしており完全新型機への期待を示し「開発開始決
定を期待している」と繰り返した。■

コメント  ボーイングが新型機開発の決定に踏み切れないのは既存機
種のストレッチ版でこの需要が埋められる可能性と開発リスクをはか
りにかけているからでしょう。しかしA321LRでは乗客は快適性でマ
イナスでしょうし、技術も刷新されませんね。エアバスの動きはあま
りにも保守的です。一方でボーイングが北米大西洋地区の需要が大き
く成長しない中で新型機の需要そのものの見通しに慎重になっている
のでしょうか。787の登場で新規路線が生まれたように「797」が登場
すれば新たな需要も生まれるのではないしょうかね

お知らせ

 2022年以降こちらでは新しい投稿はしておりません。引越し先は 「航空宇宙ビジネス短信T1(新)」です。 こちらへお越しください。 https://aviationspacebusiness-civilaviation.blogspot.com/ お待ちしております。