2021年2月11日木曜日

ボーイングの逆襲が始まるのか。エアバスのヒット商品A321XLRに対抗し、いよいよ中型新型機の開発がスタートする模様。

 

エアバス321XLRが長距離路線用に高い人気を集めていますが、キャリアには効率がよい機体でも、単通路で狭苦しいキャビンでは旅客が不満を出すのは時間の問題でしょう。これに対しボーイングは双通路機で経済性を実現するという欲張りな構想です。対応は大幅に遅れましたが、デジタルエンジニアリングの威力で意外に早く姿を表す可能性もあります。ただ、10年近く対抗機種がないのはボーイングにとって痛いところで、エアバスからリードを奪い返すのは困難となるでしょうね。

 

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Credit: Boeing

 

ーイングエアバスA321XLRに対抗する完全新型旅客機実現にむけ第一歩を進めることとした。ただし、財務、市場動向両面で同社に向かい風の状況だ。

 

新型機には-5Xの呼称といわれ、棚上げされていた新型中韓市場機材(NMA)として2クラス仕様で250-275席規模の双通路機となる。757-200/300後継機として5千カイリ程度の航続距離で、2020年代末の路線就航をめざす。

 

業界筋は設計の簡素化と低コストが目標と見ている。開発費用を最小限にし最短で路線就航するべく、既存の各種システムや推進手段を活用するとあり、すでに多くがNMAで検討済みだ。ボーイングは仕様について論評を避けているが、1月27日に同社CEOデイヴ・キャルホーンが2020年第4四半期営業報告でA321程度の機体の競合機種について開発が順調に進んでおり、時がくれば差別化商品として投入できると述べていた。

 

CEO発言からボーイングが想定する重点対象が中距離市場に特化した機種だと裏付けされた格好で、噂された737MAX後継機の新型小型機材(NSA)ではないことがわかった。同社はA321XLRの需要を追う機材としてNMAの実現を目指していたが、需要家の反応がいまいちのため開発工程を一時棚上げしていた。

 

NMAファミリーの基本形は当初757後継機を狙い、その後767後継機の想定も加わった。2019年に入るとNMAは225席のNMA-6X、275席のNMA-7Xの2型式に絞られ、-7Xを先に開発するとしていた。だが、エアライン各社に打診中に737 MAX事故が発生し、同機は世界各地で運行停止となってしまった。

 

NMAの中心はA321XLRを狙い、双通路で5千カイリ飛べる機体を単通路機と同じ生産コストで実現することにある。ただし、COVID-19の世界的流行で当初の大日程は完全に変わってしまった。当初はNMA大型版を社内呼称7K7-7Xとして2025年就航を想定していた。現在の新日程では-5Xを2020年代末の就航を目指すが、2022年ないし2023年の正式開始を前提としている。

 

当初の構想同様に新型機も複合材の主翼、機体構造とし、50千ポンド高バイパス比エンジンをジェネラルエレクトリック-サフランCFM共同事業体およびプラット&ホイットニーが提案済みのエンジンから採用する。就航時期が先送りになったのでロールスロイスのアルトラファンにも参入チャンスが生まれた。同社は当初の日提案では対応が難しいと断念していたが、再考するのではないか。アルトラファン初号基が組み立てに入っており、2022年はじめに運転可能となる。

 

2020年にボーイングは120億ドル近くの記録的な赤字を計上したが、業界筋は新型機の研究開発経費は年間負担が20-30億ドル程度なら十分負担できると見ている。

 

MAXの生産、納品が今後拡大すれば、ボーイングのキャッシュ状況は好転し、新型機開発費用を捻出できるキャッシュフローが生まれると予想される。■

 

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Boeing Makes Moves On Airbus A321XLR Competitor Plan

Guy Norris February 02, 2021


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