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2021年8月5日木曜日

DHLは輸送機を全機電動タイプにするビジョンで、支線用に電動リージョナル機アリスを導入、ローンチカスタマーになる。

 日本が遅れているのか、欧米では電動航空機が急速に存在感を増しているようです。しかもその主役は誰も聞いたことのない新興企業ということで、航空業界に大きなチャンスがやってくるのでしょうか。

 

DHL

Credit: Eviation


 

界規模で活動を展開するDHLエキスプレスイーヴィエーションEviationのアリス電動リージョナル機の貨物型のローンチカスタマーとなり、2024年から路線投入する。

 

12機発注はワシントン州アーリントンに本社を置くイーヴィエーションに大きな突破口となる。同社はバッテリー推進式アリスの大幅設計変更を6月に発表し、前方と後方にアクセスドアをつけた貨物スペースは450 ft.3のでペイロードは2,600-lb.、最大440カイリを巡航速度220ノットで飛ぶ。

 

パイロット一人の操縦で飛行時間当たり30分未満の充電が必要となるアリスは支線に投入される。DHLエキスプレスのグローバルネットワーク運行・航空貨物輸送担当の執行副社長トラビス・コッブは一号機を「米南東部や西海岸での運行を想定」と述べており、着陸後に貨物を積み下ろしする間に充電する想定だ。

 

「実際の路線はこれから検討するが、アリスのペイロードと航続距離から支線投入がふさわしい」とDHLエキスプレスのグローバル航空機材管理部門長ジェフ・ケールがAviation Weekに伝えてきた。「つまり800マイル未満でアリスの貨物搭載量にふさわしい需要がある路線となろう」

 

親会社のドイツ郵便DHLグループは70億ユーロ(83億ドル)を2030年までに投じCO2排出を削減すると2021年初頭に発表した。機材の電動化やサステナブル航空燃料、さらに温暖化を招かないビル建築に資金を投じる。

 

DHLが固定翼機を全て電動式に置き換えようとしているが、その他の貨物輸送大手にはUPSのように電動垂直離着陸(eVTOL) の導入を企画するむきもある。4月にUPSフライトフォーワードがベータテクノロジーズBeta Technologiesのエイリアス10機を発注し、支線運用に投入するとした。さらにオプションで上限150機を設定した。

 

ケールは「当社はイーヴィエーションで第一歩を踏み出し、2024年からの運用実績を見て電動機あるいはハイブリッド電動機など別の手段で2050年までにゼロエミッションをめざします」

 

「アリスの貨物機型は内装以外はコミューター機と同様です」とイーヴィエーションCEOオマー・バーヨハイがAviaiton Weekに語っている。「アリスは貨物を短時間で積み下ろしできる設計で、キャビン内にハードポイントを各所に設け貨物ネットで小型貨物の荷崩れを防ぎます。温度管理コンパートメントで温度に敏感な貨物も安全に移動できます」

 

アリスの設計変更は今年末に予定される初飛行につながる。三点式降着装置で当初より荷物積み下ろしが楽になった。当初はV字尾翼だったが新設計でT字になり、胴体上部に推進用プロペラを付けたナセルを乗せる。推進用に640-kW マグニ650電動推進ユニット二基を使う。関係会社のマグニXMagniXが開発したものだ。

 

最大機体重量は14,700 lbと当初の14,000 lb. から増え、アスペクト比が大きい主翼は59.1フィートに延長された。バッテリー重量は8,200 lb.のまま容量は820 kWhに下がるが、リチウム-ニッケル-マンガン-コバルト酸化物セルで構成する。■

 

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Guy Norris August 03, 2021


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