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2020年5月31日日曜日

スペースジェットに未来はない? そんなことはないという証拠

SpaceJet waiting game plays on at Mitsubishi

By Flight International30 May 2020

え難きを耐えてこそ真の忍耐力、とのことわざが日本にある。


三菱航空機の親会社三菱重工業(MHI)はこれを体現してきたといってよいだろう。


MITSUBISHI MRJ-SPACEJET c AirTeamImages
Source: AirTeamImages

当初計画からの遅延7年がさらに伸びる兆候がある中、スペースジェットの野心的な事業は弱小企業ならとっくに倒産につながる規模だ。▶だが、さすがのMHIも忍耐の限界に来ているのだろうか。▶昨年のパリ航空ショーで名称が変わったスペースジェットM90は型式証明取得と路線就航という課題に三菱航空機は問題解決にかかりきりだ。


販売も低迷している。米系キャリアが「スコープ条項」による制限の解除にこぎつけるという楽観的見方があったが、パイロット組合は依然強硬なままM90はリージョナル路線への就航できなくなっている。▶2019年に76席型スペースジェットM100の開発開始を発表したのはスコープ条項撤廃は無理との見通しのためだったのだろう。▶ただし、一年たちMHIは同型の開発作業を中止した。またM90の予算も削減し、米国内のフライトテストセンターも閉鎖した。▶すべてコロナウィルス危機後の新経済を反映している。


航空利用客の減少でキャッシュフローが弱いエアライン各社は発注を減らす受領の先送りをしている。▶これはスペースジェットだけではなく、ボーイング787で見られる現象だが、MHIの場合は収益を押し下げる効果になっている。▶一方でスペースジェット事業費は昨年度だけで13億ドルと膨れ上がっており、コスト削減対象で目立つ存在になっている。


市場動向がスペースジェットに不利なのは明らかだ。▶ライバルのエンブラエルもボーイングとの合併をご破算にし、やはりスコープ条項対応の新世代機投入ができていない。(E175は販売好調だが。)


新型機需要の崩壊でMHIもM90の型式証明や路線就航に余裕が出てきた。▶エンブラエルによるリージョナル機独占を歓迎するエアラインはなく、米パイロット組合が弱体化すればスコープ条項の変更あるいは廃止も視野に入る。航空旅行の需要もゆくゆく復活するはずだ。

スペースジェットは新規参入機種になるが、三菱重工には第二次大戦前までさかのぼる航空機製造の実績がある。同社には忍耐の意味がわかっているはずだ。■

2019年6月13日木曜日

MRJからSpaceJetへ。M100(76席型)に軸足を移す構えの三菱航空機

Mitsubishi rebrands MRJ as SpaceJet and plans new 76-seat variant
Asset Image

三菱航空機はMRJをスペースジェットと再ブランド化し米国市場に76席仕様のM100で参入を図る。Mitsubishi Aircraft

13 JUNE, 2019
 SOURCE: FLIGHT DASHBOARD
 BY: JON HEMMERDINGER
 BOSTON
https://breakingdefense.com/2019/06/with-fcas-french-air-forces-renaissance-begins/?_ga=2.249066048.617291603.1560425748-835073440.1556677463

菱航空機はMRJをスペースジェットと再ブランド化し米国市場に76席仕様のM100で参入を図る。Mitsubishi Aircraft
三菱航空機はMRJ事業を再構築し、ブランド名をスペースジェットとしMRJ70開発は中止、あらたに76席型をSpaceJet M100の名称で開発する。MRJ90はSpaceJet M90に改称される。

同社はM100のキャビンモックアップをパリ航空ショーで展示し「今年末に」正式な新型機開発を開始する。この機体は米国内のリージョナルエアラインの要求内容に合わせたと同社は説明。

SpaceJet M90が路線就航2020年予定に向け準備するのと並行しSpaceJet M100を発表し、リージョナル市場の現在、将来のニーズに対応すると三菱航空機社長水谷久和が述べている。リージョナル機の最大市場米国に適合する機体として同社が企画した。

ファーストクラス、プレミアムエコノミー、エコノミーの3クラス仕様で76席とし最大離陸重量(MTOW)は39トン(86千ポンド)と米リージョナルキャリアー各社の大部分の運用制限内に収まる。いわゆるスコープクローズとして大手エアラインとパイロット間の労働協約で支線機材では76席39トンを超える機体に成約がある。三菱航空機では制約に適合する機材がこれまでなかった。
M90は2020年路線就航予定だがMTOW制限を超える。中止となったMRJ70は重量制限は満たすものの2クラス仕様で69席しかなく、76席機材のエンブラエル175に対して訴求力が低かった。

三菱航空機が開発を進め型式証明段階へ入ればM100は米リージョナルエアラインの要求水準を満たす76席リージョナル機として唯一の新設計新世代機となる。

「中止となるMR70のコンセプトを出発点に生まれたM100は特定の市場ニーズに合致する設計」と三菱航空機は説明。「米市場ではスコープクローズに合致するよう機材が最適化し65-76席の範囲で3クラス編成の客室となっている。その他地域のニーズにも柔軟に対応できる設計で単一クラスなら88名まで運べる」
MRJに関するニュースは数週間にわたり流れており、一部には三菱航空機で76席型は事業の成功に不可欠との見方もあった。

M100では同社は全長、貨物スペースやオーバヘッドビン、座席配置を最適化したと述べている。M100の設計がM90やMRJ70とどこが違うのか三菱航空機からの説明はまだでていない。

M100は全長34.5m(113 ft)でM90より1.3m短いがMRJ70より1.1m長いと三菱航空機発表の仕様諸元でわかる。

航続距離は1,910nm(3,450km)でM90の2,040nmよりわずかに短い。エンジンはプラット&ホイットニーPW1200G双発で推力合計17,600lb(78.3kN)はM90と同じと仕様書にある。MRJ70は15,600lbのPW1200Gとなる予定だった。

M100の貨物スペースは狭くなり13.6m3 (480cb ft) とMRJ70/90の18.2m3から後退。だが客室内のオーバーヘッドビンは充分に広くキャリーバッグも収容できる。

三菱航空機がM100事業案を発表したのはパリ航空ショー開幕の一週間前で親会社三菱重工業がボンバルディアのCRJ事業で買収交渉を発表した後となった。

アナリスト陣にはCRJのグローバル販売・サービス拠点を入手すれば三菱機はエアラインの信頼を得られるとの見方がある。■

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