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2020年6月28日日曜日

ベル412はライバル機に対抗できるのか

How Will Bell 412 Do Against Competition?

Tony Osborne June 19, 2020

helicopter
Credit: Bell

ベル412は性能向上型とはいえ、市場では新技術を導入した他機種が立ちふさがる。ではベルは412でこの挑戦にどう立ち向かうのか。また412EPXは412EPおよびEPI後継機の座を確立できるのか。
ベル412EPXは412ファミリーで単なる性能向上型という存在ではない。日本の自衛隊がUH-1H後継機として採用を決め、Subaruと共同開発する機体だ。EPXの前にEPとEPIがあるが、EPXが登場しても中型ヘリコプター市場での同社の位置づけがかわることはない。2005年に同社は業界トップの座を失った。イタリアのアグスタとAB139(現AW139)共同事業から撤退したのがきっかけだった。
AW139が民生用中型ヘリコプターで一番の売れ筋商品の座を今後10年ないし15年守るのは間違いない。昨年は千機目の引き渡しを達成している。ベルとしても412型に大規模投資するか、新型中型ヘリコプターを開発し、AW139へ対抗が必要となるはずだが、どちらもAW139をトップの座から引きずり下ろす効果はないと見られる。
ベルには412型の開発をこれ以上進めるつもりはないのではないか。UH-XはすべてSubaruに任せ、ベルは軽ヘリコプターに割く余裕を作り、米陸軍の求める将来型長距離強襲機や将来型攻撃偵察機といった軍用機案件やニッチ技術の実用化に専念したいのだろう。■

2020年2月22日土曜日

ベルのEDAT技術は電動ヘリコプター実現の大きな一歩になりそう

まだ道は遠いのですが、ここに来て電動航空機の可能性が高まってきました。地道な技術ですが今後の動向に注目です。(ターミナル2同時配信記事)

EDAT testbed
フライ・バイ・ワイヤでトルク打ち消しを可能とした試験機Credit: Bell Helicopter

ベルがこっそりと電動トルク打ち消し装置の技術実証中で、電動垂直離着陸機(eVTOL)の実現に向かう可能性がでてきた。
同社の電動分散トルク打ち消し (EDAT) 技術試験機はモデル429双発軽ヘリコプターを改造し、固定ピッチ電動ファン4つを垂直安定装置にとりつけ、従来型テールローターを廃止している。
回転翼機で電動トルク打ち消し機能の開発が進んでいるが、ベルのEDATが最初に飛行にこぎつけた。テストは昨年5月に関心を集めることなく始まっていた。ベル試験施設があるケベックで試験機がホバリングする映像が公開されてEDATの存在がはじめて明らかになった。
自社資金で始めた研究開発にオタワ州政府が2018年に助成金を交付しており、安全と騒音軽減での利用者の期待の高まりに対応していくとEDAT主管のエリック・シヌサスが語っている。「安全と運行経費の改良を求める声が利用者の皆さんからでています。騒音への関心がこれまでになく高まっており、技術陣にプレッシャーがかかっています」
ヘリコプター騒音の大半はメインローターとテールローターの干渉が原因で、テールローターをダクト化すれば騒音が下がる。
ダクトは以前からある。エアバスは古くは1960年代に遡り採用している。だが電動の採用でトルク打ち消し効果が最大限必要ない段階ではファン回転数を下げて、騒音を減らせる。同社はEDATの騒音レベルを公表していないが、テスト記録では「通常の429型より相当下がっている」とシヌサスは述べている。
安全面で通常のテールローターは危険発生源となり、地上でもエンジンが回転する間は危険だ。これに対しEDATはメインローターが回転中でも停止できる。運行経費でも良い効果が生まれる。テールローター用の複雑なギアボックス、シャフトがなくなり点検整備が楽になる。
だがEDATの採用で大幅な設計変更が必要となる。機械式のトルク打ち消し制御のかわりに、フライ・バイ・ワイヤでファン4つをペダル操作する。空冷式ファンモーターに液冷発電機が付き、搭載するプラット&ホイットニーPW207タービンが動力となる。これまでのシャフトの代わりに配線が機体後部に走っている。モーター、発電機はサフランが供給する。
ファンが4つあることで冗長性も生まれる。地上テスト結果からわかったのはファン4つ全部が使えなくなってもトルク打ち消し効果がある程度確保されることだ。通常のヘリコプターでテールローターが故障すると墜落こそしないものの危険になる。
別の観点は応答性だとシヌサスは述べる。「大型ファン一基あるいは中型ファン2基の場合は回転慣性が働き、応答性が下がる」とし、4本式の採用が必要だという。
ヘリコプター業界では電動トルク打ち消し装置の研究が進んでいる。レオナルド・ヘリコプターズはAW139のテールローターを改装しており、ベルのFC-X試験機は2017年に発表されており、電動ファンを採用している。
次の段階はEDATの飛行性能の拡大とともに技術の適正化にあり、特に重量が問題となる。「これを踏石にし、完全電気機体につなげたい。型式証明取得も問題ではないだろう」(シヌサス)■
この記事は以下をもとに再構成しています。

Bell Achieves Electric Anti-Torque Flight First

Tony Osborne February 20, 2020


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