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2021年8月24日火曜日

アフガン脱出ピッチを高めようと米軍が戦後三回目の民間機動員へ。民間予備航空機部隊CRAF制度とは。カブール空港の状況はどうなっているか。

 



USMC

イラク帰還の米海兵隊員がマーチ航空予備基地(カリフォーニア)に到着した。機体はチャーター機。2004年



軍がこれまで運用されることが少なかった民間エアライン・チャーター会社の機材利用に踏み出した。各社は機材を提供し、有事の作戦要求にこたえる。アフガニスタン脱出作戦が展開中である。20社程度が民間予備航空機部隊に加わり機材乗員を24時間程度提供するがハミド・カルザイ国際空港へ直行せず、中間地点まで運ばれた避難民を最終目的地へピストン輸送することなる。


ペンタゴン発表ではロイド・オースティン国防長官が米輸送軍団 (TRANSCOM)に命じ民間予備航空機部隊Civil Reserve Air Fleet (CRAF)の第一段階を発令する。動員されるのはアメリカンエアラインズデルタエアラインズアトラスエアオムニエアの各社で各社三機を提供する。さらにユナイテッドエアラインズが4機を提供するほか、ハワイアンエアラインズは2機を出す。米軍関係者は合計18機の型式について触れていない。


国防総省、商務省はCRAFを1951年発足させた。ベルリン空輸作戦の経験がその前にあり、民間機を臨時に活用する制度が生まれた。


エアライン、チャーター会社がCRAFに加入しており、TRANSCOMが契約相手となる。加入は完全自発的とされっるが、加盟会社は英字の米軍人員貨物輸送時に優先利用される。


各社機材は性能により国内専用あるいは国際輸送に割り振られる。「国際部門のCRAFに加わる会社は最低でもCRAF任務達成可能な機材が4割あることが条件」と空軍は述べている。CRAF加盟会社は各機に乗員チーム4組を準備する必要がある。米軍では加盟会社は点検整備や安全運航基準も満たす必要があるとする。


2021年8月時点で24社がCRAFに加わっており、提供機材は450機に上る。このうち413機は国際運行に耐える機材で、残る37機は国内専用となる。機数は毎月変動する。また加盟会社数も変動する。何もなければ機材は通常の民生輸送を続ける。


予備機を今回投入するが三段階に分かれる。第一段階が現在進行中で今回のアフガニスタン脱出支援のように地域内緊急事態に対応する。第二段階では投入機数が増え、大規模な戦闘や国家動員体制に備える。


「通告後に加盟会社がCRAF向け機材提供を24-72時間以内に実現することなっており、時間数は段階ごとに異なる」と空軍は説明している。TRANSCOMは空軍の航空機動軍団(AMC)を通じ提供CRAF機材の運用を統括するが、各エアラインがあくまでも自社機材の運用に責任を有する。


予備機材が投入されたのは過去2回しかない。初回投入は1990年の湾岸戦争時で二回目は2003年の米主導イラク作戦の際だった。だがCRAF機材は演習によく動員されている。


「CRAF動員により国防総省は民間航空機の機動性を利用でき米市民や関係人員の国外脱出を進める国務省を支援できる。特別移民査証を有するもののほかリスクが高い個人を脱出させる」とペンタゴンは公式声明を発表。「CRAF機材はハミド・カルザイ国際空港には乗り入れず、臨時安全地帯からの移動に投入される。CRAF動員により空輸能力は軍本来の能力を超える規模となり、軍用機はカブールでの運用に集中できる」


昨日の報道ではチャーター会社でCRAF加盟企業が「警告命令」を受け取り、機体提供が迫っていることを知らされたとある。チャーター便はすでに米軍のカブール空輸の大きな柱で、17千名(大部分が米国人以外)を週末にカブールから脱出させたという。


ただし、避難民処理の能力不足や補給面、手続き面で障害が発生しており、カタールのアルウデイド航空基地のハンガー内ではアフガン避難民多数がすし詰めになっている。避難民は足止めされ別地点に移送されることになっていた。アルウデイド基地での滞留は先週悪化し、ハミド・カルザイ国際空港の出発便が8時間にわたり停止となる措置が8月19日から20日にかけ発生したほどだ。


米国はドイツのラムステイン航空基地へ避難民を搬送しており、さらにカタール、クウェイトが到着地点に加わった。ラムステイン行のフライトでは妊婦が産気づき米空軍第86救命隊が機内で出産を助けた。C-17Aはアフガニスタン国外脱出のイメージと結びついた。


米政府は各国と協議中で避難民受け入れを一時的にせよ求めている。すでに承諾した国もある。ただし、肝心のフライトがまだ実現していない。


CRAF機材の投入で補給面のストレスが減るかもしれない。米軍機はもっと危険なカブールでの運用に集中できそうだ。またハミド・カルザイ国際空港の混雑度も緩和されよう。ランプが不足し一本しかない滑走路を活用せざるを得ず、機体多数が地上待機を迫られている。


これとは別にハミド・カルザイ国際空港へたどり着くのは難問だ。空港を一歩出ると状況は混とんとしており、死の影もあり、保安上の懸念は日一日と増えている。昨日も米国務省から米国民に不特定の保安上の脅威のため空港へ近寄らないよう通達があり、米政府から連絡がある場合に限り空港へ移動してよいとある。その後の報道でISISの一派がアフガニスタンにおり、避難作戦を標的とするテロ攻撃を準備中とある。


こうした状況でフランス・英国の部隊はカブール市内で外国人および高リスクのアフガニスタン国民を空港へ誘導している。ドイツ軍もヘリコプターで同様の支援を提供すると発表した。米軍もカブールで同様の作戦を一例実施した。ペンタゴンは引き続き部隊増派の予定はないとしている。


こうしてみると予定した撤収作戦を米軍が実施可能となるのはまだ数週間先のようだ。とはいえ、この段階でCRAFの投入のみを決めた理由が理解できない。カブールが陥落すれば米政府のため働いていたアフガン国民数千名がタリバンの報復の対象となり、国外脱出が必要となることは以前から想定できていた。8月31日のデッドラインで撤収を完了させる必要があり、CRAF動員が遅れたことは理解に苦しむ。


同時に各国国民をハミド・カルザイ国際空港から妨害なく脱出させられるかはタリバン次第だ。タリバンは権力掌握をねらっているが、国内に武装抵抗の動きも出てきた。米軍は反タリバン勢力を空爆で支援するか明言を避けている。

 

今回のCRAF機材動員はアフガニスタン脱出を迅速かつ円滑に進めるための選択であることは明らかだが、今なぜこれを必要なのかは今後説明が必要だろう。■

 

What The Civil Reserve Air Fleet Is And Why It's Been Activated For The Third Time In 70 Years

 

The fleet can dramatically bolster the Pentagon's own air transport capabilities and that is what it will do for the evacuation of Afghanistan.

BY JOSEPH TREVITHICK AUGUST 22, 2021

 

 

Contact the author: joe@thedrive.com



2021年8月21日土曜日

アフガニスタンからの脱出を急ぎ、各国で民間航空にも動き。ロシアが民間機提供を提示。一方で、空域閉鎖でヨーロッパ発アジア行路線に影響が出ている。

 


ロシア政府のツボレフTu-214がロシア政府関係者をアフガニスタンから脱出させた。ロシアから第三国への亡命を希望するアフガン国民にも自国航空機の利用が提示されている。 (Photo: Vladimir Karnozov)

リバンから逃れ国外脱出を求めるアフガン国民向けにロシアが「民間航空サービス」提供に乗り出す。ロシア外務省報道官マリヤ・ザカローバが8月19日に発表した。ウラジミール・プーチン大統領がタジキスタン、イラン、ウズベキスタン、フランス、イタリアの各国首脳と電話会談をした成果だという。

「カブール国際空港の状況が悪化しており、また西側諸国が自国部隊や関係者の国外脱出にもてこずる状況では各国に協力したアフガン国民の移動もままならない状態だ。アフガニスタン国内の人道状況をこれ以上悪化させないためにも、ロシアは民間航空機によりアフガン市民多数を受け入れを受諾する各国に移送する準備がある」と同報道官は外務省の通常報道記者会見で述べた。

合わせてロシア自身もロシアとつながりを有するアフガニスタン国民等を受け入れる。アフガニスタン国内にはロシア人約100名がおり、ロシア大使館に登録しており、多くが現地人と結婚したロシア人あるいはソ連ロシアで教育を受けたアフガン人であり、ロシアへの移動を希望している。「大使館領事部はこうした申請の処理に集中している」(ザカローバ報道官)ロシア入国当局は8月22日期限でアフガニスタン退去にむけた準備を済ませるよう通告している。

「アフガン当局から新たにロシア側へ連絡が入り、ロシア民間航空機による空港利用に異議はないと伝ええてきた。乗員乗客の安全は保障するとも伝えてきた」(ザカローバ報道官)

同報道官はロシア外務省が現地エアライン、アリアナアフガンエアラインズを利用してきたとも述べている。「この選択肢が機能しなくなり特別チャーター便でロシア国民を移動させる」とする。

タリバンがカブール空港への各国着陸申請を拒否する例が増えており、あくまでもケースバイケースであるとし、米空軍には例外的に8月30日までの期限としているが、9月に入って10日程度の延長となりそうだ。

現在カブール空港に出入りしている民間機としてはターキッシュエアラインズのボーイング777があり、同機はイスタンブールに移動している。ただし同社は8月16日のフライトの詳細を明らかにしていない。

8月18日にはロシアのUTAir運航のボーイング767一機がモスクワからカブールに到着した。国営TASS通信によれば国連アフガニスタン援助ミッションのチャーターで通常の人員移動を行っているとある。

アフガニスタンを脱出した避難民の到着地に各国が機体を送っており、ルフトハンザはウズベキスタン首都のタシケントにA340一機を送り、避難民130名をドイツ政府によるエアブリッジの一環で輸送している。

アフガニスタン上空の空域ほぼ全域は民間飛行に閉鎖されており、エアライン各社が大幅な回り道を強いられている。影響はヨーロッパアジア間を結ぶ路線で顕著で、例としてブリティッシュエアウェイズ3599便がロンドンからバンコクに向かうため通常より南を飛ぶ航路に変更した。定刻より二時間余分にかかり、燃料消費も15トン追加となった。

ICAOでは緊急事態調整チームを今週発足させ、アフガニスタンに出入りする航空輸送の調整に乗り出しあ。IATAも会員企業と調整に入る。

IATAはカブール空港の運用業務を軍が担当している事実を認め、近隣諸国の航空管制当局と増加交通量の処理で合意しているという。■

Russia Offers To Fly Afghans Out of Kabul with Airliners

by Vladimir Karnozov and Charles Alcock

 - August 19, 2021, 1:21 PM


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