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2020年7月4日土曜日

747生産終了が見えてきた

Boeing To End 747 Jumbo Jet Production After More Than 50 Years: Report

Demand for the iconic four-engine jet has dwindled in recent years and other factors have further pushed Boeing to stop making them entirely.

BOEING
ボーイングは受注中の機体をもって747ジャンボジェットの生産を終了する。最終号機は2年後に完成見込で、50年に及んだ生産は終止符を打つ。COVID-19の世界的流行で航空旅行や航空業界大きく打撃を受けているが、その前から「空の女王」とまで呼ばれ旅客機の象徴的存在の同機も市場を失っていた。
747生産ライン閉鎖を報じたのはブルームバーグが最初で2020年7月2日だった。ボーイングは記事を否定も肯定もしていない。シカゴ本社はワシントン州エバレット工場に方針を伝えていないようだ。同工場では最新の747-8組み立てを行っている。1960年代末から747を送り出してきた同工場は今でも世界最大規模の建物である。
「月産0.5機で生産中の747-8には2年分の受注残がある」とボーイングはブルームバーグに回答していた。「今後も生産ライン維持のため適切な判断を下し顧客ニーズに対応していく」
現時点の受注残は747-8F貨物機16機でうち12機はUPSの発注だ。残りはロシアのヴォルガ-ドネプルグループだが係争中だ。
1月にロシアの同社からボーイングへ、発注済み4機の代金が支払えない、777F貨物機3も同様と伝えてきた。6月に米裁判所の判決でヴォルガ-ドネプルは機体の再販売を禁じられた。UPSが一機を購入すると表明した。
747生産もいよいよ終息の時が近づいている兆候があった。2015年に月産1機に減り、現在はその半分になっている。
ブルームバーグからは2019年11月にもボーイング747協力企業で最大規模のトライアンフグループが747-8胴体部を生産していたカリフォーニア州ホーソン工場の設備を競売中との記事があり、生産縮小の様子を伝えていた。
現在生産中の747-8型への需要は減少の一途で世界各地のエアラインが747を第一線から退けている。旅客型747-8iでは米空軍が次期大統領専用機VC-25Bに改装するため2機を購入した2017年以降は一機も販売できていない。しかも米空軍は新造機体ではなく倒産したロシアのエアライン、トランスアエロの発注機材を購入したのだ。
販売はますます難しさをましている。民間向け以外には軍用で米空軍が747原型のE-4ナイトウォッチ緊急指令機の後継機がある。だが、ボーイング747が再び採用される勝算は低く、小型機の767原型のKC-46空中給油機の派生型になりそうだ。
747-8生産が現時点の受注分で終了すると153機程度となる。これは貨物型も含めた数字だ。2016年以降の747-8販売でボーイングは各機につき40百万ドルを失ったとの試算もある。
ボーイングが直面する事態は市場の全体傾向と共通だ。2019年にエアバスからA380生産を2021年に終了する発表があった。同機は747の競合機種として唯一の存在だが需要がないためだ。A380の合計生産機数は251機となり、747の1,550機に及ばない。
COVID-19パンデミックにより航空旅行業界が打撃を受け、世界規模で景気後退が始まったことで事態はさらに悪化した。航空貨物業界はまだ良好といっても747-8F生産を維持するだけの需要が望めない。
ボーイングの業績も747と別にここ数年は悪化している。787ドリームライナーの開発、初期生産、稼働直後で困難な曲面に直面したのは2000年代末から2010年代始めのことで、最近も737 MAXを巡り大規模な騒動になっている。
欧州航空安全局(EASA)、米連邦航空局(FAA)他が737 MAXの飛行停止措置を命じたのは2019年で死亡墜落事故の連続を受けてのことだった。FAAは737MAXの型式証明再発行に向けテストを完了したあg、EASAは独自にテストで同機の安全を確認すると述べており、COVID-19大流行でボーイングは同機の販売機会を大きく失っている。
不採算の747ラインを閉鎖すればボーイングも欠損の一部をカバーできる。ボーイングは空いた生産施設他を別用途にあてられる。

生産終了となっても747各型は空軍のVC-25B含め今後も世界各地を飛ぶ。だが誰でも識別できる747ファミリーもいよいよ黄昏の中に入ることになる。■

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