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2019年12月16日月曜日

ユナイテッドがA321XLR発注に走り、ボーイングNMAの行方に暗雲?

Boeing NMA future doubted after United orders 50 Airbus A321XLRs

By Jon Hemmerdinger, Boston11 December 2019
nma-ga
Source: FlightGlobal
ーイングが提案中の新型中間規模機(NMA)の今後が見えなくなってきた。ユナイテッドエアラインズエアバスの競合機種A321XLRを発注したためだ。
今回の発注でNMAへの影響は専門家で見方が割れており、ボーイングがNMA投入を断念するとの意見もある。
「ユナイテッドのA321XLR採用でボーイングからの新型機登場の可能性は潰れた」とブルームバーグは12月5日に伝えた。
ただ航空宇宙コンサルタント企業AIRのアナリスト、マイケル・メルゾーはA321XLRが成功していることこそボーイングにNMAが必要な理由と述べ、開発開始につながると見る。
「NMAについては肯定的に見ている。ボーイングの新型中型機の存在意義が確認された」
「機体製造の戦略を見るとNMAがないままだとボーイング社の重要顧客を失うのはほぼ確実だ」とし、デルタエアラインズが念頭にあるようだ。
NMAには業界で「797」の名称がついているが、ボーイングは数年前から構想をねっているもののその実現ははっきりしていない。
説明通りなら同機はワイドボディ機で270名、4千から5千カイリ(7,400-9,300km)の性能で737 Maxと787の中間機種となり、大西洋横断路線に最適な機体となる。別の言い方をすれば同機は旧型757や767の後継機種となる。
ボーイングはかねてからNMAの市場投入を2020年代中ごろとしており、機材更新が必要なエアラインにギリギリで間に合うとしてきた。
米国のレガシー3社のアメリカンエアラインズ、デルタ、ユナイテッドが大口需要客とアナリスト陣は見ており、この三社で757・767が383機が運行中だ。
三社はそれぞれNMAに関心を示しており、特にデルタが目立つ。
737 Maxで二件目の墜落事故が発生するまではNMA立ち上げは時間の問題と見る向きが強かった。
だがMaxが状況を変え、ボーイングは同機の運行再開に注力せざるを得なかった。Maxは現在も飛行再開が許されていない。
当社は737 Maxの復帰に全力を投入していますが、NMAの事業化検討も続けており、Maxで目処がつけばNMA開発の可否を決定します」とボーイングはFlightGlobalに伝えてきた。「以前の機種での事業化決定のプロセスと何ら変わるものではありません」

エアバスがA321XLRで受注をさらう 

NMAが先に進まない間にエアバスが受注を集めており、A321XLRは6月のパリ航空ショーで発表した。244名を4,700カイリ運び、路線就航は2023年と同社は発表。
A321XLRは早速受注を集めており、450機の確定発注、発注意向となっている。
これはエアライン側が中間規模機材を求めている証拠であり、180席程度のナローボディ機需要から200席超の規模へのシフトも明示しているとアナリスト陣は指摘する。
「生産機種の大規模変更が発生しています。市場の中心が321です」(メルゾー)
アメリカンA321XLRを50機パリで発注した。ただし、これは以前の購入権で機種変更したもので想定内のものだった。
業界筋ではユナイテッドがA321XLRの50機発注を12月3日に発表したことのほうがNMAへの影響が大きいと見る。ユナイテッドは737 Maxを発注しておりA320neoファミリー発注は皆無だった。
「ユナイテッドはNMAの有望な顧客と見られており、A321neo発注は今後に有望な証とは言えません」とTeal グループの航空宇宙アナリストのリチャード・アブラフィアが12月6日のForbesに寄稿している。「ボーイングの新型中型機提案に暗雲です」
A321XLR United Airlines (artists impression)
Source: Airbus
United signaled an alignment with Airbus when it ordered 50 A321XLRs, a type represented in this digital rendering
アブラフィアはかねてからワイドボディ機は製造コスト、座席あたり運行経費がナローボディより高くなると指摘しており、NMAがA321XLRより優位になるか不明としてきた。
アメリカン、ユナイテッドの発注で757旅客型運用三大エアライン中2社がエアバスに鞍替えしたことになる。
ただボーイングが中型機市場を放棄すると考えるアナリストはいない。ボーイングがNMAを737後継機種に位置づけ、まず757に匹敵する機種を立ち上げると見ている。
「最終的にボーイングにとってこの規模の機種の投入が最適な選択となるのではないか」とアブラフィアは述べている。
ブルームバーグは「NMAは既存設計を手直ししたナローボディになると見ていたが...新型機は大型ナローボディで200席が中心になりそうだ」という。

NMAはボーイングにやはり重要な存在だ 

メルゾーはこれまでの経緯を違う読み方をしておりNMAはボーイングの今後重要な存在と見ている。
ただ737 Maxの次の機種に進む準備が同社にできているとは見ておらず、Maxの販売、整備で得る資金が今後の機体開発の原資になるという。
またNMAはかねてから737後継機種の立ち上げに先だち生産機種を近代化するための「つなぎ」と言われてきた。「今もその位置づけに変化はない」「NMAは変革の一部にすぎない」
またA321XLRで中間市場需要全部への対応は無理とも指摘している。757後継機にはなっても767と同等の機能はなく、米国中部・西部からヨーロッパ、アジアへの直行便運用はできないという。
NMAは「西海岸からヨーロッパ各地を結べる機体」と想定しているという。
このためレガシーキャリアで唯一A321XRL発注に動いていないデルタがNMAを選択肢として望ましいとするとメルゾーはいう。
デルタは767を77機、757を127機運行中だ。767はアトランタからヨーロッパに飛ばし、西部各地からアジア路線にも投入している。

「NMAがないとデルタ発注を逸します」「機体価格が上昇しても中間市場で標準型の機体になるでしょう」とメルゾーは述べている。■

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