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2021年2月4日木曜日

大韓航空が2020年に営業利益を計上した。貨物輸送、経費節減が大きく効果を発揮。さらにアシアナ統合に向け市場から資金を確保する。

 コロナ禍でも大韓航空は踏ん張っているようです。FlightGlobal記事からご紹介。


Korean Air A330 being loaded with air cargo

Source: Korean Air

大韓航空が通年で営業利益を計上できたのは貨物輸送の好調と全社的経費節減によるものだ。



韓航空は2020年に営業利益2,383億ウォン(2.13億ドル)を計上し、2019年比で17%減となったが、貨物部門の好成績と全社あげての経費節減策が功を奏した。


Covid-19のため旅客需要は年率40%減で売上も7.4兆ウォンに落ちたが、韓国フラッグキャリアの同社は本日取締会を開催し同時に財務状況を公表した。


運行経費総額が年換算で40%減になったのは旅客需要の落ち込みを反映しており、施設利用料や人件費も圧縮できた。2021年も大韓航空社員はローテーションで自宅待機を続ける。2020年4月からこの状態が続いている。


一方で貨物収入は66%増加し、貨物業務に23機をフル回転で投入しており、一部余剰旅客機材まで活用している。大韓航空はCovid-19診断キット、自動車部品の輸送が増え、海上輸送から空輸に切り替える動きもあったと総括。


だが、最終的に2.281億ウォンの赤字となったのは金利支払いが大きく響いたが、赤字幅は2019年の純損5,687億ウォンより圧縮された。


2020年に同社は新規株式発行で1.1兆ウォンを市場から集めたほか、機内食調理部門、免税販売部門を9,817億ウォンで売却した。非中核資産の売却も狙い、子会社KALリムジン、ワンサンレジャー開発がリストに上がっており、ハンジン・インターナショナルの持ち株売却やソウル市内の所有不動産をソウル市に売却する。


また3月には3.3兆ウォン相当の株式を発行するのはアシアナ取得もにらんだものだ。アシアナ合併後は予定通り統合をすすめるという。同社はアシアナを吸収合併は不可避として決断したとし、競争力強化により公的資金注入を最小限にすることにつながる、と説明している。


IATAは2021年予測で航空利用客はパンデミック前の5割のままだが、貨物需要は2019年並みになるとしている。


同社は路線利用は徐々に回復するものの、2021年末までは現在の水準のままだが「Covid-19ワクチンで市場が回復する」と見ている。


当面は貨物輸送力を強化しつつ柔軟な運行を続けるとしている。


同社は「貨物営業の専門部隊と専任の貨物輸送機材を揃えた当社は、今年第2四半期以降急増する予想のワクチン輸送に対応する準備ができている」と発表している。■


Korean Air reports $213 million operating profit for 2020

By Cirium4 February 2021

https://www.flightglobal.com/airlines/korean-air-reports-213-million-operating-profit-for-2020/142285.article


2020年11月28日土曜日

大韓航空がアシアナを吸収すれば韓国にメガキャリアが出現する...のか

 

Korean Air-Asiana Merger Would Create Asia-Pacific Giant

Aviationweek

Adrian Schofield November 24, 2020

Korean Air and Asiana Airlines Airbus A380 aircraft大韓航空とアシアナ合わせA380は16機あるが、ほぼ全機がCOVID-19のため運航停止中だ。Credit: joepriesaviation.net

 

韓航空アシアナエアラインズを買収するとグローバル市場で最上位のキャリアの仲間入りとなる。大韓航空の運航規模が劇的に拡大する可能性が出てきた。

 

韓国政府、アシアナの債権団がともに買収案を了承しており、アシアナの路線運航継続には最良の選択としている。アシアナはcovId-19流行前から業績が悪化しており、さらにパンデミックで苦境に追い込まれていた。両社統合で競争状態が低下するが、これ以外にアシアナの存続策はないのが現状だ。

 

大韓航空役員会は11月16日にアシアナ株式を1.8兆ウォン(16億ドル)で買収する案を承認した。国営の韓国産業銀行(KDB)が8千億ウォンを投入し買収を成立させる。大韓航空も来年に新株発行で2.5兆ウォンを調達し買収に備える。

 

大韓航空CEOのウォルター・チョーは社員の雇用維持が最優先と強調するが、アシアナの現有機材と路線網の処置は未定だ。

 

同社は買収が完了すれば世界トップ10社入りできると期待する。路線網拡大、機材拡充で同社は「世界メガキャリアと競合できる」立場を強化できるとする。韓国にフルサービスキャリア大手が二社あることが「競争面で不利」とし、大手一社体制のドイツ、フランス、シンガポールの例をあげている。

 

大韓航空は2019年に国際線旅客数で18位、アシアナは32位であったとIATA統計にある。両社合わせると10位で、アジア太平洋でトップとなる。有償旅客キロでは世界11位になる。

 

両社で共通する貨物の強みが統合でさらに強くなる。大韓航空は国際定期貨物トンキロで世界5位、アシアナは23位だ。統合で3位になる。上にはカタールエアウェイズとエミレイツがあるだけだ。韓国国内路線では大韓航空シェアがさらに高まる。また路線網整備で乗り継ぎの便が向上すればインチョン国際空港はアジアのハブ空港として地位を固めると大韓航空は見ている。

 

2019年12月2日の週時点で大韓航空は韓国国際線販売シェアが22.4%だったとCAPAとOAGデータでわかる。アシアナが第二位で15.4%だった。合計37.8%となり、さらにLCC子会社もあわせると48.1%になる。

 

同時期データでインチョン空港では大韓が25.3%、アシアナが17.9%のシェアでLCC合わせ50%となる。CAPAデータでキャセイパシフィック、SIAグルーぷ、ルフトハンザグループも本拠地で高いシェアがあることがわかる。

 

ソウル-チェジュ線では両社で67%のシェアとなる。同路線は韓国内で最重要の位置づけであり、同時に利用が一番盛んな路線でもある。

 

両社統合の話題は以前からあったが、今回の危機状況で待ったなしとなった。「韓国航空市場はパンデミック以前から飽和状態にあり、COVID-19後の状況が見えにくくなっている」と大韓社長のKee Hong Wooは述べる。「統合後は路線、機材ともに柔軟運用が可能となり、効率運用が可能となる。シナジー効果を最大にでき、貨物ターミナル、訓練センターや整備拠点といったインフラを合理化できる」

 

機材統合が課題となる。大韓航空は170機を主要機材とし、ここに地上保管機材30機を含む。アシアナは総75機で7機を保管中だ。両社機材で共通するのはエアバスA380、A330、ボーイング777、747貨物型だが、ナローボディ機はちがう。大韓航空は737中心でアシアナはA320/321を運用中だ。大韓航空は737MAXを発注しているがA220も10機発注し、両社がA321neoを発注している。

 

ワイドボディ機材更新の動きでも相違点があり、大韓はボーイング787、アシアナはA350を選択した。大韓で787-9の10機が運航中で、-9は10機、-10の20機を発注中。アシアナはA350-900を11機運航中で、-900を10機、-1000を9機発注している。

 

統合後は機材型式が増えるが、大韓航空はこれまでもA380、747-8、MAXやneoのように各メーカーから多数機種を運航してきた。

 

大韓航空は財務面で苦しく多額の借入がある。これだけでも大変だが、さらにコロナウィルスによる大幅減収の回復にも努めなければならない。アシアナもパンデミック前から財務面で苦境にあった。親会社のクムホグループはアシアナ支配権を現代開発に売却すると合意したものの、COVID-19危機で同社価値が下がったため9月に暗礁に乗り上げた。このためアシアナはKDB含む債権団の実質管理下に入っていた。

 

買収は2021年に完了する見込みと大韓航空はみている。政府当局の承認が必要で一定の時間が必要となる。さらにハードルとなるのが法廷判断だ。

 

大韓航空はAviation Weekに当面はアシアナは大韓航空子会社として運行を続けると明らかにしたが、数年かけてアシアナブランドは消滅させる。アシアナがスターアライアンスに残るかは未定だ。大韓航空はスカイチームに加盟している。

 

アシアナ傘下のLCCエアソウル、同社が支配するエアブサンは統合対象だ。ただし、両社がそのまま残るか大韓航空のLCCブランド、ジンエアと統合されるかは未定だ。

 

両社統合にKDBは8千億ウォンを大韓航空の親会社ハンジンKALに貸し付けとして投入する。大韓航空は3千億ウォンをアシアナ取得の前金とする。

 

これでアシアナは年末までの運航費用を手当てでき、財務状況も改善できる。ハンジンKALはKDB資金受け入れで借入にするより新株発行を選んだのは「安定財務構造」の維持を狙ったためと説明している。「KDBは議決権を得て、ハンジンKAL及び大韓航空が企業取得案を予定通り進める野を監督する」と大韓航空は説明している。■


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