2021年12月3日金曜日

Aviation Weekの主張 オミクロンの出現でエアラインが根拠のない政府規制の対象となっているが本末転倒ではないか。

  

ダレス国際空港を出発するフライトクルー。米国は南部アフリカ路線の乗り入れを禁止した。ただし、米国永住権を持つ利用客はこの対象ではない。Credit: Photo by Jim WATSON/AFP via Getty Images


 

新のCOVID-19変異種でひとつだけ朗報がある。エアラインを想起させる名称になっていないことだ。

 

オミクロンと命名され、デルタ他の変異種とは異なるようだが、人間社会の対応ぶりにこれまでと大きな差はない。パニックとなり国境を閉鎖し、航空路線を止めた。これまで23カ月に及ぶパンデミックからの学習効果はないようだ。

 

世界各国がオミクロン発生地といわれる南アフリカからの渡航を急いで停止、あるいはやっとはじまったばかりの渡航制限解除を中止している。

 

航空移動の制限でCOVID流行を止めようとする政府の動きはデータや科学的根拠に基づいていない。いかにも政府が「何かしている」印象を与えるための気休めであり、目に見える形のメカニズムに過ぎない。

 

一番効果のあるウィルス対策にもっと厳しい政治判断が必要だ。欧米のワクチン接種率は今年に失速気味になっている。各国政府はワクチン接種の効果を国民に説得できず、デルタ変異種が出現し死亡例がワクチン未接種層に急増してもこのありさまだ。

 

ヨーロッパでマスク着用義務化、ソーシャルディスタンス、夜間外出制限が再度登場する動きがでるや街頭デモが狂暴化した。ワクチンに手が届かない途上国向けの支援に各国政府が及び腰なのは自国内に反発の動きが広がるのを恐れてのことだ。

 

南部アフリカ諸国路線を閉鎖する急な動きにより利用客に混乱が生じている。だがそれにとどまらずその他各国にも科学的データに基づかない措置がメッセージとして伝わってしまった。

 

ワクチン接種と検査こそ航空移動での伝染を食い止める最も効果的な手段であり、経済活動を維持し、利用者は希望通りに移動できる。ワクチンと検査はパンデミック出現後に驚くべき短期間で利用可能となったが、その効果が高いことは科学的に証明済みだ。グローバル規模の医療危機に呼応するグローバル規模の解答となる。航空移動の禁止では対応とならない。

 

 だが各国政府はグローバルどころか地域単位のモグラたたきの解決に走っており、航空便利用者が不必要な標的にされているのである。■

 

EDITORIAL: Air travel isn't the virus problem

Karen Walker November 29, 2021

Karen Walker

Karen Walker is Air Transport World Editor-in-Chief and Aviation Week Network Group Air Transport Editor-in-Chief. She joined ATW in 2011 and oversees the editorial content and direction of ATW, Routes and Aviation Week Group air transport content.


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