Credit: Boeing
中国民用航空局Civil Aviation Administration of China (CAAC)がボーイング737 MAXの運行再開につながる機体特定型の耐空証明(AD)を発出した。基本的に米航空規制当局、ヨーロッパ、カナダの規制部門と並んだ。
改修を求めているのは飛行制御コンピュータとエイビオニクス表示画面で、あわせて水平安定板のトリムワイヤーの改修もボーイングが行った737 MAXの全般的点検で規制基準に合わせる必要が見つかっていた。
CAACではヨーロッパ連合航空安全庁、カナダ運輸省が認めた失速警告を与える操縦桿振動機能を切るためサーキットブレイカーの操作を許容する選択肢を加えた。CAACのフライトマニュアル追補にこの指令が入っており、手順詳細として緊急時対応として注意力を分散すると判断すれば切ることを同局は容認している。ただし、FAAはこの手順を認めておらず、737 MAX向け運用ではパイロットがブレイカーを切るリスクのほうが大きいことを理由としている。
CAACが求める運航再開条件リストには関連するサーキットブレイカーにカラーキャップをつけてパイロットが簡単に識別できるようにするとあり、手順改訂を反映している。
「十分な評価作業を経てCAACは修正作業で安全上体を確保できると思料した」とADにある。
指令内容には失速警報関連の手順が入っているが、基本となるパイロット養成の必要内容に触れていない。その他の規制当局の姿勢を反映するものと思われ、737 MAX専用のシミュレーターによる訓練とともにコンピュータで再現した座学をパイロット全員に求めるはずだ。
機体の改修とパイロット訓練には数週間がかかると見られ、CAACの12月2日付け発令では運航再開日程には触れていない。
中国は2019年3月のエチオピア航空302便事故を受けてまっさきに737 MAX運航を停止させていた。世界各地で合計385機が地上待機とされてきた。CAACは運航再開の条件として三つを上げている。設計変更が耐空検査に合格すること、パイロットが適切な訓練を受けること、二回の墜落事故原因が解明され、改修により適切に対応されること。ボーイングはMax 7の一機を8月にシアトルから上海に飛ばし、一週間にわたる中国規制当局向け実証を展開していた。パイロット訓練の必要内容が公表されれば中国での規制が解け、エアライン各社が改修とパイロット訓練を行えば、世界第二位の規模となっている中国航空マーケットでの運行再開が実現する。
ボーイングは声明を発表し、CAACが737 MAXの中国国内での運航再開に重要な一歩を示したとし、今後も規制当局と協力の上、各顧客が世界各地で同型機の運行再開に向かうべく作業を続ける、とした。
中国が737 MAXの引き渡し再開を容認したことでボーイングが目論む737が目論む月産31機を2022年早々の実現に大きなはずみがついた。Aviation Week Intelligence Network Fleet and Data Servicesによれば中国各社のAの737MAXファミリー発注は444機に上り、さらに97機が現在飛行停止措置に入っている。■
China Green-Lights Boeing 737 MAX Modifications
Chen Chuanren Sean Broderick December 02, 2021
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