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2020年11月22日日曜日

縮むエアラインに長距離ナローボディ機が期待を与える。ボーイングはエアバスに大きく水をあけられている。

 

ANALYSIS: Long-Haul Narrowbodies Will Help Bridge Gaps As Airlines Shrink

Jens Flottau November 17, 2020

https://aviationweek.com/special-topics/crossover-narrowbody-jets/analysis-long-haul-narrowbodies-will-help-bridge-gaps


空業界、主要機材メーカーのエアバスボーイングエンブラエルは生き残りを最重視し、冬がすぎ、COVID-19ワクチンが出回り世界がもとの状況へ復帰するのを待っている。

エアライン各社が運航を大幅に減らす中、一部の機種が注目を集めており、新型コロナウィルス流行が下火になり需要が復活してもこのトレンドは続きそうだ。

業界では小型ワイドボディ機、長距離ナローボディ機が民間航空の再成長段階でいちはやく効果を発揮するとの見方が強い。こうした機材ならリスクを最小にしながら機体価格は訴求力があるというのだ。エアバスのA321XLRは4,700nmの航続距離があり、2023年に路線就航するが、受注はすでに400機を超えている。

だが長期的にはA321XLRのような機体があればエアラインは運航回数を増やすか、座席数を増やすか、あるいは旅客数が少ない路線を思い切ってノンストップ運航し、ワイドボディ機でも最少のエアバスA330-200あるいはボーイング787-8では持て余す路線に投入する選択肢も生まれる。

また機材の大規模更新の時期が近付いており、北米ではボーイング757や767の退役がパンデミックで加速されつつある。

短期的にはエアライン各社の規模縮小は不可避だ。IATA最新予測では有償旅客キロは2020年に前年比で66%減少するとあるが、2019年は737MAXの運航停止などそもそも需要にブレーキがかかった年だった。

パンデミック終息後のエアライン各社はどのように保有機材を活用するだろうか。地域、企業戦略、投入可能な機材構成など各種要素により左右される。ただし、パンデミックにより余剰機材の退役が加速しており、とくにエアバスA380、A340、ボーイング747-400は需要が低下した長距離路線で持て余し気味だ。

そこで長距離路線でナローボディ機が成功すれば機体メーカーにもろ刃の剣になる。ワイドボディ機の需要は弱いまま新鋭機材が長距離路線に投入可能となれば選択肢が広がる。ただし、ワイドボディすべてが悪影響を受けるわけではない。2020年春のパンデミック最高潮時でもエアライン各社はボーイング787、エアバスA350を路線投入しており、小型ワイドボディならではの効率性をとくに787で生かしていた。だがその他の機種は重宝されていない。ボーイング777では9月末時点で合計353機が運航停止となり、前年の58機から急増した。787で運航停止保存状態に入っているのは189機(前年25機)。エアバスではA330で402機(前年56機)で、A350は比較的少なく58機(6機)にとどまっている。

長期的に見れば、機材選択では性能を重視する方向に進むだろう。現在も787、A350が欧州と米東海岸間路線に投入されているが、両機種の航続距離からいえば性能を十分活用しているとは言えない。そこでやや短い長距離路線をねらってボーイングは新型中間市場機(NMA)構想を立てていたが、今年に入りこれを中止してしまった。

A321neoの長距離版LR、XLRが成功すればエアバスはナローボディ機市場でシェアを伸ばせる。現時点の受注残でも同社は60%超のシェアを占めている。ボーイングが競争面で不利な状況を受忍する状況は普段は考えられないが、737MAXの発注取り消しが1,000機を超え運航停止措置が伸びたこと、同社の民生機材部門の赤字が組み合わさる状況では中短期的に新型機開発に乗り出し、ナローボディ機のハイエンド部門で解決策を提示するのは不可能だ。■


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