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2021年1月24日日曜日

主張 ビジネル利用客需要のコロナウィルス前への回復が困難になり、レガシーエアラインの収益構造に大きな影響が出る。逆にLCCには成長の機会が待っている。

 Opinion: Why Business Travel Could Change Forever

Kevin Michaels January 18, 2021

airport terminal

Credit: Grant Faint/Getty Images

 

空旅行需要はいつCOVID-19前の水準に戻るかが今一番多い話題だ。意見は大きく分かれ、大部分はワクチンの大量接種が始まれば、レジャー客が一気に増えると需要増に期待をふくらませる。だが、出張需要はどうなのか、エアライン収益の4割5割を占める利用客は?一気に増えず、構造変化で出張旅行の回復は遅れると筆者は見ており、業界には大きな誤算となりそうだ。

COVID-19の出張需要への影響を評価するため、グローバルビジネストラベルアソシエーション(GBTA)が760社の社用出張管理部門や旅行業界に12月中頃に調査した結果がある。結果に驚かされる。出張旅行支出は2021年に2019年実績を46パーセント下回るとある。この結果はその他機関の調査とも合致する。またCNBCによるグローバルCFO協議会調査では最高財務責任者の半数近くが出張旅行がCOVID-19以前の水準に戻ることはないと見ている。

では影響が最大となる出張旅行形態はどれか。出張を大きく2つに区分する。まず、顧客や業界関係と直接会うための出張で、営業会議や顧客打ち合わせ、現地視察、業界会議などがある。二番目は社内完結型で社内会議、研修、通勤などだ。

GBTA調査では顧客似合うための出張への影響が最小で、同時に顧客支援や個別営業も影響は少ない。これは理屈にあう。営業訪問や関係構築はZOOMでは実施できないからだ。

対照的なのが社内出張で61%減となると調査結果にある。COVID-19による危機状況庭をかけたのがチームズやZOOMといったツールだ。同じ会社の社員が価値観や考え方を共有できればわざわざ出張する必要が減り、社員自身も楽になるが、会社の決算にも好影響となる。社内出張は25ないし30%の構成比で構造的な変化により影響を受ける。

そこまで激減ではないが影響を受ける出張形態がある。COVID-19以前ののボーイング777-300大西洋横断便を想像してもらいたい。国際航空運輸協会調べではCOVID-19前の収益は一便あたり130千ドルで上級クラス利用が45%だった。この際の純利益は10千ドルだった。これが今は収益77千ドルで上級クラス利用客が減り、25千ドルの純損になっている。機体下部に搭載する貨物が増えている状態でこの数字だ。

出張需要での構造的変化の影響は大きい。まず、航空需要全体のCOVID−19前水準への復帰が遅れる。出張旅行予算の引き締めは観光客よりも厳しい。各社CFOは2022年度支出計画をまもなく作成するが、多くは支出削減に向かう。航空旅行需要がCOVID-19前水準に戻るのは早くて2023年末だろう。

二番目に、路線網を広く持つエアライン各社の収支改善は予想以上に遅れる。というのは出張需要が各社の利益で大きな存在になっているからだ。反対に低運賃エアライン部門は出張需要へ依存度が遥かに低く、機材数を増やしマーケットシェアを伸ばしそうだ。

三番目に、出張需要減少で機材小型化に拍車がかかる。同時に長距離路線の細分化が強まり、恩恵が期待されるのがボーイング787やエアバスのA350ならびに今後登場するA321XLRで、大型機の777XやA350-1000には逆風となる。双通路機の生産は当面は低水準のままだろう。

四番目に新型中型機の製造がボーイングにプレッシャーとなる。理想的な機体は単通路で200−240席程度でエアバスA321XLRの競合機となる。遅かれ早かれこの規模の機体の需要が現実となる、あるいはボーイングのシェアが40%を割り込む事態が現実になる。ボーイングの債務水準が高いことを考えると、リスク分担してくれる提携先と一緒に120億ドルから150億ドルの完全新型機になるのではないか。これは既存の大手サプライヤーとの取引関係が終わることを意味する。

サプライヤー各社にも出張需要減少の影響が感じられるはずだ。原材料や内装のサプライヤー企業各社は双通路機への依存度が高く、取引規模をこれまで拡大してきた。ロールスロイスはこの種類の機体に完全依存しており、このため同社の見通しが厳しくなっている。機体整備専門企業の多くも高価格双通路大型機の重整備や改修に大きく依存している。

では出張旅行の変化は永続するのか、それとも調査結果は危機的状況によくある過剰反応を拾っただけなのだろうか。答えを出すのは時期尚早だが、社内出張の減少の背景に興味をひかれる。賢明な企業ならこの機会を活用した企画を立てるだろう。

The views expressed are not necessarily those of Aviation Week.


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