ラベル 777XF の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 777XF の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2021年11月20日土曜日

ドバイ航空ショーの注目は貨物機新世代型。A350Fが初受注獲得した一方、ボーイングはまだ明確な姿を打ち出せない。一方、777-9型式証明は遅れたままだ。

  

A350Fはボーイングの人気機種777Fとまともに競合するサイズになった。Credit: Airbus concept

 

物機が高価格体の旅客型より注目されるとはまれなことだが、ワイドボディ機市場はパンデミックで一変しており、COVID-19発生後初の大規模航空ショーとなったドバイで新規貨物型の開発案件がを見出しを飾っている。

 

 

双通路機の新規発注が事実上停止している中で貨物部門は記録的な高需要を集めており、エアバスボーイング両社の新世代大型貨物機へ関心が集まっている。需要面の変化を反映した新型機構想がドバイ航空ショーに展示されており、エアバスはさっそく新規案件のA350Fへ初受注を集めた一方、ボーイングも777Xの貨物型で追いつこうとしている。

 

  • Air Lease Corp. がA350F発注に踏み切った

  • 777XFは777-8原型に方向転換

A350Fの初受注はエアリースCorp(ALC)によるもので、エアバス機各型109機の一斉発注の一部として7機受注に成功した。ALCはA220-300(23機)、A321neo(55機)、A321-XLR(20機)、A330-900(4機)も合わせて発注した。このうちA350FはALCで初導入となるが、ALCの執行会長スティーヴン・アドヴァーヘイジーは新型貨物型の需要が高いとし、この型式の機材にも手を広げることにしたと述べている。

 

A350FはA350-1000が原型で機体はフレーム5個分短縮したが、それでもA350-900より長く、ボーイングの777F(777-200LR派生型)に競合する。エアバスが発表した新情報ではA350Fの最大ペイロードを240,300ポンドで飛行距離を4,700nmとある。さらに急送便仕様では貨物209,400 lb、6,000nmになる。

 

ただし、A350Fが明確な姿を発表した一方で、ボーイング777XFはあいまいなままだ。少なくとも社外に対しては。ドバイショー前は、777XFは777-8と777-9の中間サイズになるとの観測があったが、同社は777-8旅客型の派生機種にするようだ。この変更は各社にヒアリングしてみたところ大キャパシティの777-8のほうが貨物機として最適サイズとの意見が多いと判明したためだ。

 

大型の777-8を原型とする方針は製造コストの観点では意味があるが、同時に短い方の777X二型式への関心も高める効果もある。777-8は全長229 ft.、777-9は252 ft.になるが、機体長はこれまでの想定より長くなり、最大離陸重量(MTOW)もこれまでの775,000 lb、788,000 lb想定より増え、777XFではさらに大きなキャパシティが実現しそうだ。業界筋にはMTOWは805,000 lbが目標との声もあり、現行の777Fの766,800lbより増えるという。

 

「実機製造まではスペックに縛られたくない」とボーイングの製品マーケティング担当重役トム・サンダーソンが述べている。「貨物型での課題はペイロードと容積のバランスに尽きる。高密度路線では高付加価値になりそうだが、長距離貨物便では重量が重宝がられる。この場合は機体全長はそこまで問題にならない。その前に機体重量の限界が立ちふさがるから」

 

さらにサンダーソンはeコマース市場の成長で逆に低密度貨物輸送がカギになると述べている。「貨物容積がもっと重要になります。またこの方向で業績が伸びます。現在はこうした検討を行っており、双方の間のどこかで合理的な結論を出したいです」

 

とはいえ、カタールを除けば777-8を発注している唯一のエアライン、エミレイツからボーイングが777XFと777-8の機体長を共通化して当初より大型化する動きに懸念の声が出ている。エミレイツ社長ティム・クラークは「これは問題になる。-9に近いサイズの別の機体をだれが買うのか」と一石を投じている。

 

エミレイツは777Xを2013年に大量発注し、777-9(115機)、777-8(35機)を導入するとしたが、ボーイングから777-9型式証明取得が2023年7月目標と聞かされ、エミレイツは777-8発注をこのまま続けることに疑問を感じ、16機に下方修正し、かわりに787-9を30機導入することにした。

 

エミレイツが777-8発注をゼロにした場合、同型の将来は一気に不安定になる。同社の姿勢が一気に消えれば、ボーイングに残るのはカタールエアウェイズの10機のみとなり、エミレイツの動きからカタールも何らかの対応を示してもおかしくない。

 

他方でエミレイツは機材構成を再考中で、「777Xの納入遅れ三年の影響は大きい。各機の路線就航開始日に合わせすべて計画している」とクラークは述べており、777-9の就航が一年遅れる場合も考慮している。クラークはしっかりした予定表を早期に示すようボーイングに求めたという。他方で「座して待っているわけにはいかない」とも述べている。

 

ボーイングは777-9では規制当局から要求された飛行制御系の変更が未搭載だが、あと2年間あれば型式証明取得できると自信たっぷりで、2023年第四四半期に引き渡し開始できるとボーイングは見ている。

 

エミレイツの見方より保守的な見通しで777-9初飛行(ボーイングは2020年1月)から数えて44カ月の2023年10月に型式証明が下りるとみている。

 

ただし、実際の型式証明取得のタイミングは規制当局次第だ。四機ある試験機のひとつがドバイで展示されており、各機合計で1700時間のフライトテストを実施している。最終的に3,500時間程度のフライトテストになる見込みだ。ボーイングは2023年中の型式証明取得と引き渡し開始の見込みを堅持している。■

 

New-Generation Large Freighters Form Focus At Dubai Airshow

https://aviationweek.com/shownews/dubai-airshow/new-generation-large-freighters-form-focus-dubai-airshow


Guy Norris Jens Flottau November 19, 2021


お知らせ

 2022年以降こちらでは新しい投稿はしておりません。引越し先は 「航空宇宙ビジネス短信T1(新)」です。 こちらへお越しください。 https://aviationspacebusiness-civilaviation.blogspot.com/ お待ちしております。