米軍は世界いかなる場所へも補給物資を送れる「ロケット貨物便」の活用に注目している。
こんなシナリオだ。戦闘部隊が世界のはての地点に展開し、弾薬糧食が必要だ。そこで特別航空補給を要請する。米輸送本部が承認し、貨物は低地球周回軌道にロケットが打ち上げられる。一時間足らずで5.56mm弾、おいしそうなピザのMREが届き、部隊は気分を一新し士気が高まる。
補給ポッドを宇宙から送り込む構想はSFのようだが、真剣に検討していると米陸軍は認めている。
「80トンの貨物となるとC-17一機分だが、世界中いかなる地点に一時間未満で送り届けられる」と輸送本部司令のスティーブン・R・リヨンズ大将が空輸給油協会開催の10月のリモート会議で発言した。「これからの兵力投射に従来の方法を打ち破る形で挑戦したい。ロケット貨物輸送もその一部だ」
リヨンズ大将はこれ以前に全国国防輸送協会のイベントでペンタゴンが航空宇宙企業のスペースXと協同研究開発契約を締結し、外宇宙に輸送経路が確立できるか検討すると発表していた。
輸送本部は「商用の地点間宇宙輸送手段を利用し、まず部品部材、さらにゆくゆくは人員を世界中いかなる地点に迅速輸送することで緊急事態や自然災害に対応できると着目」しているとニラフ・ラッド空軍中佐が述べている。中佐は宇宙輸送の主任研究員である。
国防企業間で「宇宙空間を介しての輸送について利用可能性、技術・事業面での実施可能性の検討が進行中で、輸送本部には国防総省のグローバル輸送部隊として役割が与えられる」と同本部は発表している。「貨物人員輸送ではスピードが重要だ。ここに大きな可能性が秘められている」とリヨンズ大将は発言。
非武装のミットマンIII大陸間弾道ミサイルがヴァンデンバーグ空軍基地から試射された。
Senior Airman Ian Dudley, 30th Space Wing Public Affairs photojournalist, Wednesday, Aug. 2, 2017,Photo via DoD
宇宙空間利用の輸送手段の評価で次の段階は来年に予定され、輸送本部は「産業界や戦闘部隊と協力し長距離地点間輸送構想を2021年に実施する」と米陸軍が公表している。
「民間宇宙輸送手段提供企業がこれまでの常識を一変させる手段を開発中でその進展は実に早い。2021年の実証では人道救難物資を送り届けることになるだろう。ロケット輸送ミッションは現実となる」(リヨンズ大将)
長期目標は宇宙輸送手段の試作型を製造し、輸送本部に空中、海上、陸上の輸送を補完する手段を今後5年から10年以内に実現することにある。スペースXとの研究契約でこの目標が実現できるかが注目される。
「スペースXの最新情報では開発は非常に進んでいるとだけお伝えしておく」とリヨン大将は以前述べていた。
一つ確かなのはロケット貨物輸送は「宇宙の歩兵」構想につながることで筆者は構想を支持する。■
この記事は以下を再構成したものです。
US Army Developing 'Rocket Cargo' To Transport Gear To Troops Via Space
JARED KELLER16 HOURS AGO
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