2019年10月3日木曜日

737MAXの運行再開に向け着々と準備を進めるボーイング、路線再投入は2020年か

Aviation Daily

U.S. Carriers Test New MAX Software; Prep For Service Return

Sep 30, 2019Sean Broderick | Aviation Daily

Southwest Airlines
PLANO, Texas—ボーイング737 MAXの新型飛行制御ソフトウェアを体験した米パイロット陣は一様に好意的な反応を示しており、エアラインの一部には徐々にMAXを路線復帰させる予定を立てる会社があることから、今年末までにFAA承認を取得するとのボーイング構想が実現に向かいつつある。
アメリカンエアラインズおよびサウスウェストエアラインズはじめ十数社のパイロットがMAXの完全フライトシミュレーターセッションをマイアミで体験した。「初めてMAXの完全作動、フライトシミュレータにふれることができた」とサウスウェストの機長の一人グレッグ・ボーウェンが語る。この人はサウスウェストのパイロット組合(SWAPA)で訓練と規格標準作成の座長を務める。
SWAPAの国際パイロット組合会議でボーウェンは各パイロットは改良前と開業後のMAX機体制御特性強化システム(MCAS)による操縦性ソフトウェアとともにトリムの手動調整含む飛行制御関係のコンピュータ改良に触れたという。
ボーウェンによれば改良型MCASの作動は想定通りで、自動水平安定版による機首下げインプットが高迎え角AOAでの安定性を補強し、改良前より「ずっとよい」作動を示したという。これは事故調査を反映したボーイングが相当の改良を加えたためであり、そのもとがAOAデータインプットが本来必要でないのに作動となり事故原因となった急降下につながったことだ。「この危険は今や払拭された」とボーウェンは述べた。
ボーイングが開いたセッションには各社パイロットがペアとして参加した。うち、アメリカンからはMAX操縦経験のないパイロットもいたとアメリカンの機長ジョン・デルーが語る。アメリカンで飛行安全を管理する上級管理職でもある。「本人は訓練に満足していたと思いますよ」
ボーイングは今回のセッションで各社パイロットはボーイングが準備した内容すべてを検分したわけではないと強調している。FAAはボーイングとまだ作業中の内容があり、変更を必要とする非通常状態の条件6通りがまだ残っており、MAXの特性以外にパイロットとして対応が必要となる状況も対象とボーウェンは述べた。
FAAが訓練の基本を設定するがエアライン各社がカスタマイズするはずだ。デルーはアメリカンの最終訓練パッケージには2時間分の「技術」訓練以外に「社会的側面」としてMAXの安全性への乗客の懸念にどう答えるべきかも学ぶという。
サウスウェストのパイロットはMAX機種転換訓練の内容を再検討しているとボーウェンは語る。内容はサウスウェストが最終版として想定したものだがFAAが定める訓練内容が判明すれば改定するという。「MAX操縦に戻る際にはちょうどよい訓練機会にないるでしょう」
同社の機材運行再開計画ではボーイングから未引き渡しのままだった40機の受領が中心となっている。その後、運行停止となっていた34機の運行再開にむけ機体の再整備を行う。ボーイングは3月中旬の飛行停止の段階で385機を引き渡ししていたが、以後引き渡しを中止していた。MAXの墜落事故は2018年10月29日のライオン・エア610便のあと、今年3月10日にエチオピアエアラインズ302便でも発生していた。
アメリカンは保存中のMAX2機をニューメキシコ州ロズウェルからオクラホマ州タルサの整備拠点に移動させ機体状況を点検するとデルーが述べている。
「これで全体の状況が見えるようになります」といい、MAXを早く復帰させることが鍵という。「確実に進めたい」
ボーイングはMAX改良とともに訓練内容の改定の最終段階にある。次のステップは最終内容のFAA提出で、FAAの審査は最低でも一ヶ月かかる。だがFAAが承認すれば、耐空証明(AD)が発行される。ただし、FAAから予定はいっさい発表がない。

ボーウェンからはサウスウェストはAD発行後最短でも30日たたないと1号機の復帰がまにあわないという。同社の目論見ではMAX各機に平均200人時間かけないと保管状態から路線投入ができないという。そのうち新版ソフトウェアのインストールはわずか2時間程度とのこと。■

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