2021年5月14日金曜日

4月のボーイング実績。引き渡しは全17機、正味受注は8機増にとどまる。787が気を吐いても737 MAX引き渡しが停止中なのが痛い。


 

aircraft

Credit: Boeing

 

ーイング民生機部門は4月に17機を納入し、737は4機と低調だったが、787が増加した。

 

737 MAXの納入がボーイングが目指すバランスシート改善のカギを握る。1-3月に58機を納入し、4月第一週で4機を引き渡したものの、電気系統で問題が見つかり新規納入が止まり、約90機が納入できないままになっている。ボーイングは就航中機体とあわせ駐機中およそ300機でこの問題の解決を急いでおり、製造中機材にも対応する。作業が完了しFAAが承認するまで、737MAXの納入は停止する。

 

ボーイング、FAAともに今後の見通しについてコメントしていない。

 

4月に787が9機納入されたのは同社には朗報だった。同機でボーイングが1-3月に2機を引き渡したのは3月末のことだった。引き渡しが低調になったのは2020年10月初めからで、製造後点検で見つかった生産工程での問題の修正作業のためだった。

 

4月引き渡し機材にはその他777Fが2機、767-300CF1機、KC-46が1機ある。

 

新規受注は25機で737 MAXが20機を占める。だが発注取り消しが17機で正味受注は8機になった。2021年の受注は累計307機で、取り消し他顧客の発注調整分を入れると77機の純増だ。■

April’s Boeing 787 Boost Not Enough To Offset 737 Delivery Halt

https://aviationweek.com/mro/aircraft-propulsion/aprils-boeing-787-boost-not-enough-offset-737-delivery-halt


Sean Broderick May 11, 2021

2021年5月10日月曜日

クロスオーバー・ナローボディー機の注目、エンブラエルのE195の受注状況ならびに同社の2021年Q1業績が明らかになりました。

 


 

ンブラエルの今年第2四半期は好調に展開しており、E195-E2で30機を非公表顧客一社から受注し、2021年は新規発注をさらに確保するとしている。

 

30機のうち、2022年にまず12機を引き渡す。第1四半期(Q1)末の民生機確定受注が272機142億ドル相当で2020年の同期は159億ドルだった。

 

「別地域ですが発注に前向きな数社があり、受注が好調な業績の年になるとみています」と同社CFOアントニオ・ガルシアが述べている。

 

Credit: Yuriko Nakao/Getty Images


 

エンブラエルはE175-E2の就役開始を2023年から2024年に先送りする決定をした。「米国でのスコープクローズで早期の変更は期待できない」とガルシアは説明し、「そのためキャッシュ投資を最適化し、市場動向を見守りたい」とした。

 

エンブラエルはQ1で9機を引き渡しており、前年同期は4機だった。同社の民生部門は同社純収益807百万ドルで34パーセントを占め、2020年の同期は634百万ドル、第四四半期は18億ドルだった。

 

Q1の調整済み純損失を96百万ドルと発表し、前年同期の104百万ドル赤字より縮小した。■

 

Embraer Scores New Order For 30 E2s; Pushes E175-E2 Entry To 2024


Lori Ranson April 29, 2021

 


2021年5月4日火曜日

電動推進式旅客機の実現の課題とは。商用化可能なまでの技術が登場すれば、航空業界にも大きな地殻変動を巻き起こす。

  

 

NASA hybrid electric aircraft concept

Credit: NASA

 

民間航空への電気推進方式導入の課題とは何だろうか。

Aviation Weekの技術担当編集者グラハム・ウォーウィックとフランス支局長ティエリ・デュボアの見解を聞こう。

 

民間航空部門で電動推進方式を応用するとバッテリー、モーター、配線、冷却まで多様な課題に直面する。しかし、自動車で技術革新が実現しており、電動推進の航空機への応用が現実になりつつある。

 

最大の課題はバッテリーのエナジー密度の低さだ。ジェット燃料は12,000 Wh/kg だが民生用リチウムイオンバッテリーは250 Wh/kg程度しかない。

 

これだけ差が大きいと克服不可能に見えるが、電気推進の先進企業では小型短距離機に特化し、現在利用可能なバッテリーを採用している。小型とは19席までを指し、短距離とは250マイルまででリージョナル路線としては十分だという。

 

開発陣もバッテリー問題を無視しているわけではない。電動モーターの効率を最大限し、内燃機関に近づける努力をしている。

 

バッテリー効率は毎年5-8パーセントの率で向上している。NASAの控えめな予測でも2030年にバッテリーのエナジー密度は350-Wh/kgで商用利用可能となり、全電動短距離30席機が実現するとある。商用利用とはバッテリーサイズが大きくなり、充電時間、サイクル回数が改良されることを意味する。

 

実用レベルではエナジー密度400-500 Wh/kgが今後の最適解でハイブリッド電動機に採用されれば50席のリージョナル機材から150席単通路機まで応用範囲が広がる。NASAは400超Wh/kg級バッテリーの実用化を2035年とみているが、400 Wh/kgの実現には新技術が必要だ。

 

エナジー貯蔵の別方法に水素がある。液体水素として超低温の-253C (-423F)で貯蔵すれば水素は現行のジェットA-1燃料よりエナジー単位上は軽量となる。燃料電池で電力に転換する方法は確立済みだ。

 

では水素はバッテリーよりエナジー貯蔵で優れた方法なのだろうか。審判は下っていないが、課題は残る。液体水素はジェット燃料よりエナジー密度が低く貯蔵タンクは大型となる。また燃料電池をメガワット級に大型化する技術は未確立だ。

 

NASA concept of hybrid-electric aircraft Credit: NASA

 

航空分野での水素技術で先を行くエアバスはハイブリッド仕様を想定している。水素の一部をガスタービンで燃焼させ(水素利用として効率は犠牲にする)、残りは燃料電池で発電に使う。

 

最大出力が必要となる離陸上昇時にはタービンと電動モーターを併用しプロペラあるいはファンを回転させる。巡航時にはタービンだけでプロペラ/ファンを回転させる。この方法で電動部分が全体効率の最適化に貢献する。

 

エナジー貯蔵以外にも出力密度と効率をモーターや制御回路で高めるべきで、要求水準は自動車を上回る。高密度になればモーターが小型でき、効率が高まれば排熱が減り、冷却系統の重量も減る。

 

電動推進方式では高電圧化で配電系統の重量サイズを小型化できる。高電圧にすることで電流量を減らし、機内の配電系統も小さくできる。

 

航空機では28ヴォルトを使用してきたが、新型機は270Vになっている。全電動機で500Vを採用する例があるが、メガワット級の単通路機では3.000Vになるというのが開発陣の見解だ。

 

ここまでの高電圧で気圧が低い巡航高度に上昇すると部分放電と呼ぶ危険現象が発生しかねない。そのため配線絶縁の方法を新開発し放電現象のを回避する必要がある。

 

長期的に見れば、超電導技術に期待が集まり、エアバスもまさしくここを研究している。超伝導体は冷却しても電気抵抗が発生せず、効率が高まるので小型化が実現する。

 

超電導モーター、配線で出力密度が高まり、排熱が減れば、全電動航空機やハイブリッド電動航空機で複雑な構造の冷凍機が必要となる。水素燃料を使う機体では液体水素の超低温を使いシステムの冷却が可能だ。

 

総合すると電動推進方式を商用機に応用するには課題が多いが、自動車で技術進展は迅速に進んでいる。

 

電動推進方式が短距離飛行に限定される状況が変わらないと、中距離長距離に合成燃料など別手段が必要となるが、いずれにせよ航空輸送業界が抜本的に変わる可能性がある。■

 

What Are The Electric-Propulsion Challenges In Commercial Aviation?

Graham Warwick Thierry Dubois April 30, 2021

https://aviationweek.com/special-topics/sustainability/what-are-electric-propulsion-challenges-commercial-aviation


2021年5月3日月曜日

クロスオーバー・ナローボディ機のA220やE-JetがLCCのビジネスモデルを変える。

  

 

JetBlue のA220-300

 

「なんにでも向き不向きがある」との言い方がある。一定の用途に適したもの、そうでないものがあるが、用途を細かく決めすぎると柔軟性が足りなくなる。

 

クロスオーバー型のナローボディー機エンブラエルE-JetやエアバスA220ファミリーが柔軟性の実現に効果を発揮している。現在はリージョナル路線やレガシー航空会社で運行されているが、今後はLCCで活躍が期待され、単一機種運行モデルにこだわるLCCも方向転換しそうだ。

 

AVITAS上級副社長ダグ・ケリーは両機種とも100-150座席の需要専用に生まれた機体で「737-700やA319に対し座席あたり空虚重量が低いこと、燃料消費が少なく運行コスト面でかなり優位」と指摘する。

 

「座席当たり重量はE-Jetが一番低く、運行コストも低いが、A220-100および-300は航続距離で利点がある。E190-E2 (97 席)は 2,850カイリだがA220-100(110席)は3,450 nmだ。E195-E2 (120席) の2,600 nmに対しA220-300 (130 席) は3,400 nm飛べる。短距離路線ならE-Jetが有利で、A220には737-700やA319並みの航続距離で柔軟に運用できます」

 

「単一機種運行での柔軟性やコスト優位性を覆すのは困難です。機種がひとつなら乗務員や整備員を減らし、社員教育を簡単にできます。節約効果は莫大になります」「エアライン側は性能、運行面、経済効果をはかりにかけ、機種追加の合理性を検討するはず」という。

 

AVITAS

Weight advantage per seat of the E-Jets・A220ファミリーと737NG/ A320

ファミリーの座席当たり重量の優位性を示した図表

 

リージョナル機材専用のリース会社TrueNoord Regional Aircraft Leasingのアンガス・フォン・シェーンバーグによれば、ナローボディー機でも最大サイズの機材が不要のLCCもあるという。「例えばサウスウェストボーイング737-700の大手ユーザーですが、easyJetはA319で機体を統一しています。クロスオーバー機だとこうした機材に近い座席数が実現します」

 

「E2やA220の運行コストは A319/737-700以下で座席マイルコストはわずかに低くなります。座席で比べれば737 MAX 8 やA320neoに対抗できます。エアエイジアがA220(当時はボンバルディアCシリーズ)導入を検討し、JetBlueBreeze AirlinesはA220を運行中です」「A220-500ストレッチ型が実現すれば、ファミリー全体で幅が広がるのがLCCには魅力となり、E-Jetは客室断面積の問題で拡張性は劣ります」

 

Altair Advisoryのパトリック・エドモンドは低運賃会社は座席当たりコストにこだわる傾向があると説明。「低コストは低CASKで実現するとみているのです。ここからストレッチ型を求める傾向が生まれています。高需要マーケットやレガシー会社だけとの競争ならロードファクターが高くなります。いわば理想的な状況で、路線開設すれば客が来る、という状況になります」

 

「ただ世界が変わってきました。COVID-19も要因のひとつです。レガシー会社の運行停止路線はLCCにチャンスとなりますが、同時に需要全体がここ数年は低迷するはずです。LCC多数で主要空港やビジネス需要の高い路線への参入が続いていますが、ビジネス客にあわせるためには運行回数を増やすことになり、LCCで多用される737-800やA320では機体が大きすぎることになります」

 

「LCCは座席当たりコストが高い小型機運用には手が出せなかったのですが、最近登場したクロスオーバー・ナローボディー機がこの構図を変えました」「大型機同様のCASKになれば、複数機種運用への抵抗が消えます。もう一つの議論が機体共通化ですが、これは完全に諸刀の剣です」

 

「JetBlueは二機種運用体制をずっと守っていますが、今度はエンブラエル190をA220に変更しようとしています。JetBlueは2018年にE2とA220を比較検討した結果は『接戦』としながら、エンブラエルが失敗したのはE2とA220で違う効果があることを示しているのです」

 

LCCに別機種の採用を求める外的要因としてダグ・ケリーがあげる理由にはエドモンドも同意している。「エアラインには単一機種構成にして大丈夫なのか、エンジン問題はないのかという懸念があります。737 MAXの運行停止やその他問題で一部エアラインは単一メーカー依存の危険性を認識するようになっています。もう一つ機種があれば、一方で問題が発生しても機材手当が可能となります。また、メーカー二社に競争させて機体価格で好条件を引き出す狙いもあります」

 

「環境問題も重要で別機種導入に作用します。COVID対策の公的支援の条件で環境対応を求める国が多数あります。E-JetやA220の追加導入、あるいは旧型機と差し替えれは、二酸化炭素排出を最大25パーセント削減できます」(ケリー)

 

TrueNoordのシェーンバーグも同じ意見だ。「環境問題の圧力を考えれば、A220やE2は現時点で最小の環境負荷を実現できる機材です。LCCでも環境義務にこたえるべく機種構成の検討が必要です」「しかし、LCCであれULCCであれビジネスモデルは単一機種構成の考えは今後も重要で、機種構成を変えるぐらいなら路線網を再構築する動きに出かねない」

 

新しいクロスオーバー機材では適正規模が必要となる。「LCCの優位性は機種統一と投入労働時間にあるのであり、機材数ではない。規模の経済の効果を得るべく、LCCであろうと大手でも同じルールで動きます。保有機数が25機を超えるとスケールメリットが生まれます」とフォン・シェーンバーグは述べている。

 

エドモンドも似た数字を使い、機種追加の意義を主張する。「二番目の機材型式が効果を上げるには最低20機程度が必要です。C点検や予備部品の確保を考えると、20機を超えると機体当たりのコストが大きく平準化してくるはずです」

 

ケリーは大手LCCのサウスウェスト、ライアンエアやeasyJetでは二番目の機種として最低規模は50機前後だという。「これが大きくなる期待がある」とし、「ただ、中小エアラインでは少数の型式に変えることは可能だろう。airBalticは当初A220-300を20機発注していた。2016年のことです。今は65機になっています」

 

ケリーの発言から疑問も生まれる。airBalticは単一機種運行のLCCで機体はクロスオーバー型ナローボディ機だが他社も追随できるのだろうか。「airBaltic方式に倣う会社が30-40社ありそうですが、完全にそこまで実行できるのは数社でしょうね」「各種機材を運用中のエアラインでトラフィックがそこまで多くない機材の場合はA320/A321 や737-800/900ERが候補になるでしょう。クロスオーバー型に切り替える別の理由として旧型で生産終了機材のMD-80、717、BAe146やF100を運行中の場合があります」

 

フォン・シェーンバーグはJetBlueを例に挙げ、E190のかわりにA220を増やして柔軟運航を目指す同社の姿勢に触れる。

 

「airBaltic モデルは先見の明がありますが、A220の性能とコスト競争力があって実現したものです」とエドモンドは述べ、「今後も同じ方向に向かう会社が増えるのではないでしょうか」■

 

 

Crossover Jets Offer Potential For A New Low-Cost Model

Bernie Baldwin March 09, 2021

https://aviationweek.com/special-topics/crossover-narrowbody-jets/crossover-jets-offer-potential-new-low-cost-model


2021年5月1日土曜日

ルフトハンザは今年の利用率を40%と予測。ワクチン接種の広がりでパンデミック影響は徐々に減り、夏季旅行シーズンに期待するが、旅行制限の緩和を注視している模様。

Lufthansa Airbus A321neo wing

Source: Lufthansa


フトハンザグループは今年の業績をコロナウィルス危機前実績の40パーセント程度と見ており、調整済みEBIT(利息及び税金控除前利益)は11億ユーロ(13億ドル)の赤字と予測する。第1四半期もパンデミックで低利用率に終始した。


利用率40パーセントとの予測はルフトハンザが発表していた40-50パーセントの予測幅の下位に相当し、渡航制限解除が予想より遅れていることを反映している。グループ全体の収益は1-3月で前年同時期より60パーセント減となった。調整済みEBIT損失は1億ユーロの改善し、前年同四半期は12億ユーロ赤字だった。


ルフトハンザグループCEOカーステン・シュポアは「一貫してコスト削減を行った結果、前年を上回る実績となった。グループ全体で実行中の変革が効果を現してきた。今の動きを緩めることなくルフトハンザグループを更新し、無駄をはぶき、効率を高め、世界をリードするエアライン各社の一画を占めていきたい」と語った。


グループのキャッシュバーンレートは3億ユーロ予想を下回る平均2.35億ユーロになった。同社は原因を運送部門、MRO部門の成果が予想を上回ったためとする。月間の平均キャッシュドレインは2億ユーロに縮小する予想が第2四半期にある。


ルフトハンザグループの利用率は1-3月はコロナウィルス危機前の21パーセントで3百万人を運んだが、2019年実績の10パーセントにすぎず、ロードファクターは三分の一減り、45%になった。


同社は第2四半期も引き続き需要回復のペースは遅くなるとみており、移動制限が引き続き実施されているためとするものの、下半期に回復に転じるとみている。


「危機が長く続けば、それだけ旅行熱が高まる」とシュポアは述べた。「規制が弱まり旅行が可能となれば予約が増える。ワクチン接種率が大きく伸びて夏季から需要が急増するとみている。EU委員会からワクチン接種済みなら米国からヨーロッパ旅行を認めると発表があったが、元気づけられるニュースだ」


同グループ傘下のキャリア各社は観光路線で需要が回復すると見て提供座席数を増やしている。ルフトハンザはコロナウィルス危機前の7割程度までの座席数を提供できるとする。■


Lufthansa to operate 40% capacity this year

after posting €1.1bn Q1 loss


By Graham Dunn29 April 2021




2021年4月30日金曜日

A321LRでジェットブルーがロンドン線開設し、大西洋横断路線に参入する。新型機でビジネスモデルが変わる好例となるか。さらにA321XLRで新路線を開拓するのか。

  


ェットブルー・エアウェイズエアバスA321LRの一号機を受領し、今年後半に大西洋横断路線へ投入する。

 登録番号N4022Jとして同機はドイツ・ハンブルグで引き渡され、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港に4月29日到着した。同社は今四半期に2機を受領する。


JB_LR_Delivery_Group

Source: JetBlue Airways

JetBlue takes delivery of its first A321LR on 29 April 2021

 

 「新型A321LRでジェットブルーは新時代を開きます。米国外へ長距離路線を開拓し真の意味のグローバルキャリアーとなります」とジェットブルーCEOロビン・ヘイズがあいさつした。「A321LRは当社にとって最適サイズであり、数々の賞に輝く当社のサービスと低運賃で米国をロンドンと結びます」

 同機にはジェットブルーのプレミアム区画ミントにフルフラットの24席がつく。エコノミーは114席仕様。エアバスのエアスペースキャビン意匠で快適さを照明の変化で実現し、荷物棚は拡大されている。単通路機で初の新仕様となった。

 同社はニューヨーク発ボストン経由でロンドン線を今年後半に立ち上げたいとするが、ロンドンで使用する空港は決まっていない。3月に英国のスロット調整部門からヒースロー空港に8月2日から10月末にかけ270スロットを割り振られている。

 CiriumフリートデータベースによればジェットブルーはA321を68機発注中で、うち13機を2019年にLR仕様、別の13機をXLR仕様に切り替えた。

 同機はプラット&ホイットニーのギアードターボファンエンジン二基を搭載し「ワイドボディ機並みの航続距離を単通路機の経済性で実現する」と同社は宣伝している。

 「LRでは機体中央部の追加燃料タンクで4千カイリの航続距離を実現し、燃料消費が3割向上し、騒音は旧世代機より5割近く減っています」という。


JB_LR_Delivery_Tail

Source: JetBlue Airways

JetBlue takes delivery of its first A321LR on 29 April 2021


4月19日、英規制当局はジェットブルーエアウェイズのにロンドン線開設を認可した。同社は2019年から申請していたが、コロナウィルス大流行で作業が遅れていた。

 ヘイズは今週初めの第1四半期業績報告の席で新路線を「まもなく」発表し、「今夏遅く」に運行開始すると述べた。同社ウェブサイトでまだロンドン便の予約はできない。

 2021年1月からの3カ月でジェットブルーは247百万ドルの赤字となり、前年同時期の268百万ドル赤字からは改善したものの、コロナウィルスの脅威は残っている。■


JetBlue takes delivery of its first A321LR | News | Flight Global

By Pilar Wolfsteller30 April 2021


エアバスは単通路機増産を強気で進める一方、地域別のリスクも意識。次世代機開発を視野に入れたグループ再編とともに内製化テコ入れをする模様。

 


 

 

 

アバスCEOジローム・フォーリは航空業界の回復の中で各地に見られる「確実性の欠如」に警戒している。ただし、2021年の第一四半期業績は比較的堅調に推移した。

 

「一部地方で国内需要の回復が期待できる兆しが見えてきた」とフォーリは第一四半期業績発表の席上で述べた。

 

ただ、渡航制限解除が一律でなく、COVID-19パンデミックが残ったままのヨーロッパは「他地区より状況は悪い」と見ている。そのため、ヨーロッパはエアバスにとって「懸念地区」であり、インドも大幅な感染増加がここ数週間連続し、心配な地区だという。ただし、インドの危機状況から直接の影響は同社にまだ出ていない。

 

発注元との関係は「かなり差がある」と述べ、中国は「かなり改善した」が、米国は「強気市場」と表現した。一部の米エアラインでは機材引き取りを2023年2024年に先送りする傾向があるという。

 

エアバス収益は105億ユーロ(127億ドル)を第一四半期に計上したが、昨年同期は106億ユーロだった。民生機材は72億ユーロ、エアバスへリコプターが11億ユーロ、エアバスディフェンスアンドスペースが21億ユーロだった。グループとして営業利益462百万ユーロを計上し、純利益は362百万ユーロだった。12億ユーロのキャッシュフローが生まれ、2020年同期の80億ユーロ赤字から大きく反転した。昨年はCOVID-19パンデミックの影響をもろに受けたことに加え、贈賄事件解決へ36億ユーロで処理していた。これに対し2021年Q1は財務最高責任者ドミニク・アサムも「一歩抜きんでた」と評する業績になった。民生機材の収益は4パーセント減となったが、事業部として営業利益は57百万ユーロから343百万ユーロへと大きく伸びた。

 

同期の納入は125機で、昨年同期比で3機増えた。内訳はA220が9機、A320ファミリーが105機、A330neo1機、A350が10機だった。同期中の受注は39機にとどまり、昨年同期の356機から大幅減となった。今年の受注は38機が単通路機だった。ただし正味の受注規模がマイナス61機となったのは同期中に予約取り消し100機が発生したためだ。

 

フォーリによれば、エアバスは単通路機の増産を続けるのは、「マーケットの準備が加速化しそう」なためとする。単通路機は第三四半期に現行の40機を月産43機に増やす。第四四半期に45機にするのは以前の計画通りだ。新型A321XLRの投入時期に変更はなく、2023年だ。

 

またフォーリは単通路機の納入ペースが2022年に急増すると明らかにしている。「サプライチェーンで対応が完了している兆候がある」としたが、正確な数字はまだ発表できないとした。

 

単通路機とは対照的にワイドボディ機生産は「相当長期にわたり低迷する」とみており、長距離機需要は「なるべく早く損益分岐点までもっていきたい」とする。エアバスはA350で月産5機未満、A330neoは月産2-3機程度と半減させており、A380生産は今年終了する。

 

また、エアバスは「将来の産業システムの準備に入った」とし、新型大型案件向け企業をドイツ、フランスに設立し、新システムの中核に据えたいとする。新規立ち上げ企業は「現在の機材と異なる構造を有する次世代航空機」の実現で核となる。エアバス内で組織再編が進行中で、デジタルデザイン製造サービシズ(DDMS)のデジタル体制で次期製品は各面で「見える化」を進めるとする。生産水準を一新し「変革を加速する機会」を生みたいとフォーリは述べた。

 

また外注作業で内製化を進めると明らかにしたが、現行体制の再編とは無関係とフォーリは解説した。内製あるいは外注の方針変更なのかとの問いにフォーリは「内製化を相当進めるが購入も続ける」と述べた。結局、各製品別に変更は決まるのだろう。

 

パンデミック発生後のリスクが発注側に残るが、エアバスは状況は変化しつつあると見る。「今後の大きなリスクはサプライチェーンだ」とフォーリは発言。「ローラーコースターのような状況は管理が非常に厄介」とし、エンジンが増産のボトルネックと指摘している。そこで、エアバスは生産計画で慎重な姿勢を崩さず、特定企業の動向を監視する専門部隊を配している。「サプライ側に課題が見えてきた。危機が増大する前に解決が必要だ」

 

フォーリは貨物機需要に「もっと積極的に」対応すると発言し、ワイドボディ機での対応を想定している。「貨物機で消極的なままでいたくない。対応するのが一社だけという状況は望ましくない」とし、エアバスがA350貨物型の検討に入っていることが知られているが、フォーリは最終決定は時期尚早とした。■

 

Airbus Prepares Single-Aisle Ramp Up Despite ‘Lack Of Predictability’

Jens Flottau April 29, 2021

https://aviationweek.com/air-transport/aircraft-propulsion/airbus-prepares-single-aisle-ramp-despite-lack-predictability

 


お知らせ

 2022年以降こちらでは新しい投稿はしておりません。引越し先は 「航空宇宙ビジネス短信T1(新)」です。 こちらへお越しください。 https://aviationspacebusiness-civilaviation.blogspot.com/ お待ちしております。