2020年8月24日月曜日

航空不況の中、世界の貨物輸送はどうなっているのか



 

COVID-19による危機状態の中、航空貨物輸送市場はどう推移しているのか。

パリ支局長にして航空運輸エディターのヘレン・マシー-べレスフォードがまとめてくれた。

空貨物輸送部門はCOVID-19のパンデミック前からすでに厳しい状況にあった。昨年は2009年以来で最悪の年で、米中貿易戦争、マクロ経済の不透明性やブレグジットが暗い材料となった。   

だがCOVID-19危機が始まると、課題は一夜にして変化した。緊急に必要とされる医療品の各地への輸送が優先事項となった。一方で旅客輸送は静止状態となり旅客機の貨物輸送能力も使えなくなった。このためチャーター便需要が強まり、エアライン便も臨時で貨物輸送に転用された。並行してモノの輸送需要そのものが広範囲で縮小し、見通しがつかない中で消費支出が減り、失業増で貨物便運航も減速を迫られた。  

世界の多くの地点で産業活動に再開の動きがある中で、航空貨物の見通しは一層複雑になっている。国際航空輸送協会 (IATA) の最新の市場分析は6月が対象で、回復は低調とあり、業界全体での貨物トンキロメーターは対前年比17.6%減とある。ただ、IATAは5月は20.1%減としていた。ただIATAは6月の貨物需要が例年より軟調だったとし、工業出荷及び新規輸出受注の水準が原因とし、貨物輸送も低速安価な自動車や鉄道に移行しているとする。この傾向は景気悪化時によく見られるが、このまま推移すれば航空貨物業界は心配になるはずだ。

パンデミック前はeコマースは航空貨物業界が有望視していたが、パンデミック後は消費者がオンラインショッピング利用を増やしている。とはいえ、emarketer.comは今年のeコマース販売は年率4.7パーセント減の3.9兆ドルに予測を下方修正している。

では航空貨物業界の今後数年間の見通しはどうか。すべてはグローバル経済の動向にかかってくる。業界は新しい状況に適合を進める必要がある。そのひとつに貨物輸送能力の削減があり、今後数年でひろがるはずだ。IATAは2019年水準への復帰は2024年以降とみている。■

Cargolux 747

Credit: joepriesaviation.net

 How Is The Cargo Market Faring During The Pandemic?

Helen Massy-Beresford August 19, 2020

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