2020年1月5日日曜日

定時運行実績が最優秀のエアライン、エアポートはどこ?(2019年版)

全実績と定時運行実績で最上位エアラインはアジア太平洋に集中している。
AirlineRatings.comによる調査結果でカンタスエアウェイズが安全運行実績トップ20の最上位についた。次点はエアニュージーランドと台湾のEvaエアウェイズが同点だった。シンガポールエアラインズが6位、キャセイパシフィックエアウェイズは9位、ヴァージンオーストラリアが10位だった。
AirlineRatings.comは事故件数、利益水準、機材年数で審査した。
これと別にOAG Aviation Worldwideによる調査ではガルーダ・インドネシアが2019年定時運行実績でトップとなった。パナマのコパエアラインズが2位で、スカイマークエアラインズハワイアンエアラインズLatamエアラインズまでが上位5位だった。米系エアラインではデルタエアラインズのみトップ20に入った。 

エアライン
定時運航率
1
Garuda
95.01
2
Copa Airlines
92.01
3
Skymark Airlines
90.12
4
Hawaiian Airlines
87.4
5
Latam Airlines
86.41
6
Aeroflot
86.3
7
All Nippon Airways
85.92
8
Jetstar Asia
85.48
9
Singapore Airlines
85.32
10
Thai AirAsia
84.49
定時運行実績でトップ10のエアライン
Source: OAG Aviation Worldwide Ltd.
経済成長とともに中間層の拡大が原動力となり世界規模の旅客数は2037年までに現在の2倍、82億人に増加するとIATAはまとめている。このうち半数がアジア太平洋地区の利用で中国やインドが牽引役になる。2020年の旅行需要は47億人で2019年から4%成長とIATAは予測している。
OAGでは30百万席以上の利用実績のあるメガエアポートのランク付けを行い、モスクワのシェレメチェボが定時運行実績で昨年トップとなった。ランク付けでは定刻の15分以内の到着出発の実績を調べた。
エアラインの実績は振るわなかったが米国の空港多数が定時運航率で上位に入っている。トップ10のうち6箇所が米国の空港で、アトランタ(4位)、シアトル(5位)、ロサンジェルス(7位)で、J.F.ケネディがトップ入りした一方でバンコクとアムステルダムが脱落した。


空港名
定時運航率
1
Mosco Sheremetyevo
86.87
2
Tokyo Haneda
86.6
3
Changi
84.03
4
Atlanta
83.74
5
Seattle
80.27
6
Madrid
79.92
7
Los Angeles
79.62
8
John F. Kennedy
77.87
9
Denver
76.93
10
Dallas/Fort Worth
76.78
定時運行実績のトップ10エアポート(年間30百万席以上の実績がある空港に限定)
Source: OAG Aviation Worldwide Ltd.

この記事は以下から作成しました。
These Are the World’s Safest and Most Punctual Airlines
By Kyunghee Park
2020年1月3日 11:31 JST

2020年1月4日土曜日

ガルフ・エア、ロイヤルジョーダニアンがイラク定期便運行を停止

バーレイン王国のフラッグキャリア、ガルフ・エア、ヨルダンのロイヤルジョーダニアンエアラインズの2社が緊張状態の激化を受けイラク路線の運行を停止した。
このうちガルフ・エアはデイリーでバーレイン・ナジャフ線、バグダッドは週5便を運行していた。
「ガルフ・エアから乗客の皆様にお知らせします。バグダッド、ナジャフの両空港を離発着する全便は追って通告あるまで運行停止させていただきます。イラク国内の安全状況が理由です」と同社は1月3日通告した。「当社はイラクの安全状況を今後も注視し、乗客乗員の安全を最優先にします」
ロイヤルジョーダニアンはアンマン・バクダッド線を週18便運行するがはやり全便運行停止する。ただし、その他のイラク都市ナジャフ、イルビル、バスラへは通常通り運行する。
royal jordanian
Source: Royal Jordanian Airlines
Royal Jordanian cancels flights to Iraq

ドバイに本拠を置くエミレイツクウェイトエアウェイズカタールエアウェイズの三社もバクダッド初め中東各地を結んでいるがコメントを得られていない。
1月2日に米国がイランの軍事トップ、カセム・ソレイマニをバグダッド国際空港近郊で空爆により殺害し、一気に生きにあの政治的緊張が高まっている。米政府は自国国民にイラクから即時退去を勧めている。■

2020年1月3日金曜日

737 Maxの補償金交渉の一方、飛行再開はめど立たないまま

American Airlines expects to share 737 Max compensation with employees

By Pilar Wolfsteller3 January 2020
メリカンエアラインズは10ヶ月に入った737 Max運行停止で発生した損害でボーイングと協議を継続中で、補償金の一部は従業員に還元する。
昨年10月に同社CEOダグ・パーカーは同社保有のMax24機の運行停止措置で税前利益540百万ドルが消えたと発言した。アメリカンは76機の発注残をそのままにしている。
「ボーイングと補償の交渉中」とアメリカン広報はFlightGlobalに1月2日述べている。「当社が受け取る補償はチームとして共有すべきものと考えています。ボーイングとの交渉は決着次第、詳細をお伝えできると思います」
今週早くにはターキッシュエアラインズからボーイングと交渉が決着し地上待機と納入未実施による「損失分の補償」で「合意形成」できたと発表があった。同社はMax75機を導入予定だったが12機を受領したところで3月になり運行停止措置が始まった。ターキッシュから補償内容の詳細発表はなく、合意が最終なのか中間措置かも不明だ。
ボーイングはサウスウェストエアラインズにも飛行停止にともなう財務損失の一部補償で合意しており、サウスウェストは補償金のうち125百万ドルを利益分配金として従業員へ還元する。
737 Maxの運行再開はめどが立っておらず、連邦航空局は精査を終えていない。同局は型式証明再発行の予定を発表しておらず、安全が確認されるまで再発行はないとの発言を繰り返している。
アメリカンエアラインズは同機運行を4月6日まで停止しており、ボーイングは見通しがつくことを条件に1月に生産再開の準備に入っている。■

2019年12月31日火曜日

アシアナ航空が新しいオーナーのもと再建へ

Hyundai-led acquisition of Asiana Airlines closes


シアナエアラインズは所有企業をまもなく変更する。ヒュンデ開発(HDC)とMirae Asset Daewooが中心の共同事業体が2.5兆ウォン(22億米ドル)で買収を決めた。
共同事業体はアシアナ株式の31%を保有するKumho工業持ち株を3228億ウォンで取得する。一株あたり4,700ウォンで合計68.69百万株の取得をめざす。
Asiana Airlines Airbus A350
Source: Airbus
またアシアナ傘下のAir Busan、Air Seoul、Kumho Resort、Asiana IDTの株式をアシアナに発行させるべく共同事業体が2.21兆ウォンを出資する。
出資の大部分はHDCによるものでアシアナ株式の61.5%取得を目指す。
共同事業体の目論見は4月までにアシアナを傘下に収めることだ。
HDC会長Chung Mong-gyuは「同社取得の手順をすぐにでも開始し、アシアナエアラインズの運行を安定させ、安全第一の運行体制にしたい」とし、アシアナに2.18兆ウォンの資金が入れば、他社に対し見劣りがする同社の財務状況が改善できるとする。
「航空業界というより運輸業界全体にも前向きな効果が出る一歩となる」とも述べている。

2019年12月29日日曜日

ボーイングの危機状況でもエアバスの商機につながっていない事情とは


Airbus Not Benefiting From Boeing’s MAX Crisis, Exec Says


Helen Massy-Beresford December 18, 2019

ーイングが737 MAXの苦境から脱しない中、状況はエアバスにとって有利ではないと同社の民生部門最高責任者クリスティアン・シュレアChristian Schererが語っている。 
「ボーイングの苦戦でエアバスが有利になっているのかとの質問ですが、あきらかに否です。当社は成長産業の一角ですが、2社独占状態の中で一方が傾くと業界全体に極めて大きな影響が生まれるのです」とシュレアは12月18日フランスの航空宇宙報道記者会合で語った。
シュレアによればA320ファミリーの受注状況が好調とはいえ、エアバスはボーイング発注分を「棚ぼた」で獲得できていないという。またボーイングの苦境で業界全体が利益を増やしているともいえず、逆にこれだけ売れている機種で問題が起こると業界全体に悪影響が出ていると社会は受け止めるという。
エアバス自身もA320neoファミリーで納期遅れの問題に直面中だが、シュレアは同社が 最終組立ライン(FAL)一本の追加を検討中と明らかにした。「とくにA321で若干の納期遅れが発生しており、新型ACFキャビン搭載のA321で顕著だ。現在遅れを最小限にすべく全力をあげている。(A321での)FAL追加の噂があるが現実に検討はしているものの決定はまだだ」
エアバスはA320ファミリーの生産問題は2年間以内に解決したいと考えているという。
また今年の業績見込みとして11月末で940機受注となっており、いよいよ1,000機が視野に入り、好調だったと総括。2019年のエアバスは創業以来総計2万機という大台も達成している。
シュレアによれば輸入関税引き上げが業界に悪いニュースだという。「米国の輸入税が深刻な問題で当社の顧客各社に影響が大きい。極度に競争が激しい業界で10%の関税引き上げは大きな障害だし、破滅的効果となる」
関税戦争が進んで保護主義の動きが強まると業界に何もよい話にならないとエアバスは見ているという。「米国欧州双方に関税戦争がこれ以上進まないよう求めたい。双方の当局には協議の上合意に進んでもらいたいものです」。■


2019年12月21日土曜日

エアラインの構造変化:ワイドボディ機需要は低下、ナローボディ機の長距離路線投入が主流になる


Widebody Market Weakness Shows Signs Of Permanent Structural Change

ワイドボディ機需要の弱さは恒久的構造変化の印だ
Jens Flottau Michael Bruno December 11, 2019

ーイングからワイドボディ機をドバイ航空ショーで大規模受注したと発表があったが、実は大規模でも新規でもなかったことに注目すべきだ。
以前受注した777Xの150機受注の一部が787-9など小型機に変更された。エアバスユナイテッドエアラインズがA321XLRを50機発注したと発表し、ボーイングにショックを与えたが、同様に手痛い結果も受けた。同じユナイテッドがA350発注を5年間先送りすると発表したのだ。
ふたつの事象から今後の動向悪化につながる兆候を両社は見ている。ワイドボディ機の需要が弱い。影響は両社の最新製品A350、787、777Xに直結する。両社にはこの傾向が一時的と受け止める時間の余裕があるものの、構造的転換を進め、調整期間に備える必要は避けられそうもない。
複数の事態が同時進行中だ。エアライン側はナローボディのA321XLRで小規模設備投資でリスクも低いまま長距離路線の運行が可能と気づいた。エアバスによれば2019年パリ航空ショーでの発表以来の同機受注は予定も含め400機を超えている。これに対しエアバス、ボーイングの合計ワイドボディ機受注は407機、ただしこれは2年間の合計で、エアバス122機、ボーイング285機だ。
湾岸三大キャリアが市場の低調さを補うシェルターの役目を果たしていない。ボーイングは2014年に777X確定受注277機を記録したが以後この規模は超えていない。さらにエミレイツ発注分を除くと127機になり、カタールエティハド両社も除けば42機しかないる。
ここ五年間で航空運輸は大幅な成長をとげたが、拡大基調に減速が現れており、成長分も短距離路線やLCCによるものだ。貿易戦争から国際ビジネス出張に悪影響が出ている。短中期的に見ると不確実性しかない。さらにA330からA330neoへ、777から777Xへの移行はエアバス、ボーイングの予想よりずっと遅い。
エアバスではワイドボディ機の売れ筋のはずのA350-900で純受注は5年間で157機だ。大型の-1000型は同時期でわずか18機が実質受注分だ。エアバスでA330neoがこの五年間でワイドボディ機の最大の売れ筋で2014年1月から2019年11月にかけ299機を受注した。第1世代のA330がこれに続き178機受注。A380は受注が全てキャンセルされており、同機は2021年に生産終了となる。
ボーイングでも事情はさして変わらない。747-8FではUPS発注分で数年間生き延びているに過ぎない。事態を反転させるだけの引き合いも期待できない。一方でベテランの767にまとまった発注があり、ボーイングは同機でエンジン換装の可能性を検討し始めたところだ。
777と787が大口顧客特に湾岸各社の戦略変更の犠牲だ。エティハドは2013年ドバイ航空ショーでの発注分をほぼ全機キャンセルし、キャンセルできなかったA350-1000は長期間保存機材とする。エミレイツは787発注分をやっと確定したが、2013年に発注した777Xの一部をキャンセルしている。同社は受領機数を2割減らす意向でエティハドは発注済み25機をすべてキャンセルしたいとする。すでに同社は787の発注残を51機から20機減らしており、A350では今年はじめに62機だったが今や20機に減らしている。
2019年に発注取り消しが新規受注を上回った。2018年には77新規受注はゼロで2015年から2017年合わせて30機しか無い。777-9の185機、777-8の35機という2014年実績はすべて湾岸キャリア各社の発注だった。
787がボーイングのワイドボディ機の中心だが、よく見ると全体としての成功の中心は787-9だとわかる。787-8では5年間で19機減で、2014年からでは787-10は55機、787-9が371機受注となっている。
不確実性はさらに拡大している。 Agency Partners の試算ではA350受注残の三分の一は不安定で、イランエアやリビアンエアラインズは機体を受領しないかもしれない。「ユナイテッドがA350発注を取り消す可能性が増えてきた」とする。同社の発注は9年前のものでその後数回に渡り内容を変更している。ユナイテッドは長距離路線にナローボディ機を投入する好機がきたと見るエアラインの一画で、A321XLRは757-200の後継機とみなしている。
この結果はメーカー側に厳しく響く。ボーイングは787を月産14機から12機に減らす。777から777Xへの転換は予想以上に時間がかかる見込みなのはエンジン開発などの問題のせいだが、ルフトハンザ、エミレイツへの引き渡し開始は2021年に延期となった。777X採用を決めたのは9社にすぎず、その後が続かないのはエアライン側が大型機の747-8やA380で苦労していることも影響している。
今年の夏に入りボーイングからサプライヤー各社、投資機関その他に対し米中貿易の悪化で航空機販売の行方に悪影響が出るとし、とくに777、787で顕著と伝えるメッセージが出た。
Jefferiesの12月レポートではワイドボデイは中国市場でのシェアは29%で国内長距離路線に投入されているとある。実際にアジア各地では短距離路線にナローボディ、ワイドボディーがともに投入されることが多く、東京札幌線、東京福岡線ではボーイング777と737NGが運行されている。Jefferiesによればワイドボディ機投入のトップ25路線の平均距離は917カイリだという。
だが世界第一位第二位の経済大国が「フェーズ1」の貿易休戦に向かおうと苦戦する中、中国からの発注の復活は未だ先の話のようだ。ボーイングは10月に787月産を12機に減らすと発表したが、その実施は「2020年後半」とし早くとも2021年と見ていたアナリスト予測を裏切った。
エアバスはA350の初期増産体制を月産10機にしたが、市場の不確実性を理由に当面これ以上増やさないとしている。「A350で現れつつあるギャップはボーイング787でも同様で新規発注分の単価が低下しA350の収益性が圧縮される」とAgency Partnersパートナーのサッシュ・チューサが記している。それによるとA350月産規模は2022年末に減産を余儀なくされ、このまま状況に変化が無いと2024年には7機にまで減るという。
A321XLRの成功が現行ワイドボディ機のみならずボーイングが構想中の新型中間規模機(NMA)にも影響を与えている。NMAは小型ワイドボディ機となるといわれる。「A321XLRの販売好調でNMAは実現の芽を奪われそうだ」とBloomberg Intelligenceが12月レポートで記している。
「ナローボディ機は小型のため小規模都市間路線に適す一方、大型機は経費利益ともに不利になる」「また路線組み合わせの柔軟性につながりエアラインの機動性が高まる」(Bloomberg)
今後登場するボーイングのナローボディ機は現在より席数が増え200席程度が中心となり、A321XLRより長い航続距離を実現するだろう。Bloombergはその実現時期を最短で2020年代後半、開発費用は100億ドル規模と見積もる。「NMAはナローボディに変更されMAXの飛行停止で実現時期が先送りになるのではないか」という。
Jefferiesも同じ見方だ。「ボーイングはNMAの最終決断を下していないが、737MAXの飛行停止で決断を先送りしながら目標価格の実現に必要な条件も同時に先送りできる」■

Based in Frankfurt, Germany, Jens leads Aviation Week’s global commercial coverage. He covers program updates and developments at Airbus, and as a frequent long-haul traveler, he often writes in-depth airline profiles worldwide.
Based in Washington, Michael Bruno is Aviation Week Network’s Senior Business Editor and Community and Conference Content Manager. He covers aviation, aerospace and defense businesses, their supply chains and related issues.

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