2019年12月29日日曜日

ボーイングの危機状況でもエアバスの商機につながっていない事情とは


Airbus Not Benefiting From Boeing’s MAX Crisis, Exec Says


Helen Massy-Beresford December 18, 2019

ーイングが737 MAXの苦境から脱しない中、状況はエアバスにとって有利ではないと同社の民生部門最高責任者クリスティアン・シュレアChristian Schererが語っている。 
「ボーイングの苦戦でエアバスが有利になっているのかとの質問ですが、あきらかに否です。当社は成長産業の一角ですが、2社独占状態の中で一方が傾くと業界全体に極めて大きな影響が生まれるのです」とシュレアは12月18日フランスの航空宇宙報道記者会合で語った。
シュレアによればA320ファミリーの受注状況が好調とはいえ、エアバスはボーイング発注分を「棚ぼた」で獲得できていないという。またボーイングの苦境で業界全体が利益を増やしているともいえず、逆にこれだけ売れている機種で問題が起こると業界全体に悪影響が出ていると社会は受け止めるという。
エアバス自身もA320neoファミリーで納期遅れの問題に直面中だが、シュレアは同社が 最終組立ライン(FAL)一本の追加を検討中と明らかにした。「とくにA321で若干の納期遅れが発生しており、新型ACFキャビン搭載のA321で顕著だ。現在遅れを最小限にすべく全力をあげている。(A321での)FAL追加の噂があるが現実に検討はしているものの決定はまだだ」
エアバスはA320ファミリーの生産問題は2年間以内に解決したいと考えているという。
また今年の業績見込みとして11月末で940機受注となっており、いよいよ1,000機が視野に入り、好調だったと総括。2019年のエアバスは創業以来総計2万機という大台も達成している。
シュレアによれば輸入関税引き上げが業界に悪いニュースだという。「米国の輸入税が深刻な問題で当社の顧客各社に影響が大きい。極度に競争が激しい業界で10%の関税引き上げは大きな障害だし、破滅的効果となる」
関税戦争が進んで保護主義の動きが強まると業界に何もよい話にならないとエアバスは見ているという。「米国欧州双方に関税戦争がこれ以上進まないよう求めたい。双方の当局には協議の上合意に進んでもらいたいものです」。■


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