2020年12月13日日曜日

航空不況、米旅客エアライン業界の雇用総数が30年で最低水準にまで低下している

 San Francisco International airport

Source: Pilar Wolfsteller/FlightGlobal

Covid-19大量流行でほぼ無人になったサンフランシスコ国際空港。2020年12月8日撮影。

 

US passenger airlines’ employment dips to lowest level in at least 30 years

By Jon Hemmerdinger12 December 2020

https://www.flightglobal.com/networks/us-passenger-airlines-employment-dips-to-lowest-level-in-at-least-30-years/141578.article



米定期旅客エアライン全体で10月中旬までの一か月で37千名近くの雇用が削減され、雇用規模は過去三十年で最低水準になった。


給与支払いに充てていた米政府の資金支援策が9月末に終わったことによる削減だ。


10月中旬時点で米系エアライン22社で368,162名が正社員で、9月中旬の404,869名から9%が削減された。(米運輸省調べ)10月の前年同期の雇用総数は454,070名だった。


運輸省が数字を公表開始した1990年1月以来でここまで少ない雇用規模はない。


9月から10月にかけての雇用削減は米大手エアラインが32千名を削減した効果が表れている格好だ。


LCC各社で同時期に1,400名分の雇用が消えており、リージョナルエアライン各社では3,100名が削減された。


連邦政府によるパンデミック救済策は3月に成立し、290億ドルをエアライン各社の給与支払いに投入していたが、9月末日をもって失効した。■


2020年12月12日土曜日

777Xと787の失速で737に期待せざるを得ないボーイングの苦しい事情、敵失でエアバスがますます優位になるのか

 Widebody Softness Triggers Boeing 787 Production Cut, Adds More Pressure To 737

 

Sean Broderick December 04, 2020

 

777X wingSource: Boeing

 

ーイングのワイドボディ機二型式が厳しい逆風にさらされており、787の製造数は2021年にさらに削減され、777X型式証明は時間をかけて進みそうだ。

 

787生産はサウスカロライナへ移転中で、2021年央に月産5機と以前の発表より少なくなり、現在のペースの半分となる。同社CFOグレッグ・スミスが12月4日明らかにした。

 

「冬季は厳しい状況で[COVID-19の] 感染が世界各地に広がっています。今後さらに増えれば旅行制限も変更となり、回復への道はさらに遠のき、状況は各地で異なるだろう」とスミスはクレディスイス主催イベントで述べた。「その結果、787減産も妥当な範囲で調整する」

 

長距離路線需要が低下しており、787納入に生産関連の問題が影を落としている。11月の納入はゼロだったとスミスは述べ、今年の累計は53機だという。787は5月にも納入ゼロとなったが、その際はCOVID-19のためチャールストン、エヴァレット両工場が数週間閉鎖されていた。スミスは11月の納入ゼロは品質問題も原因と認めた。

 

「追加点検で納入前機材の状況を確認していますが予想以上に時間がかかっているのです」「その結果、11月は787納入が皆無になり、12月も納入はスローペースになると見ています」

 

777Xについてスミスは「規制当局と型式証明で連携しており、737再審査の結果も反映している」と述べ、ボーイングの最新EIS(路線就航)タイミングは納入一号機を2022年目標にしているが、スミスはこれについて追加コメントしなかった。

 

「開発中のためリスクがあり、日程に影響が出ます」「EISのタイミングは最終的に型式証明に規制当局により左右されます」

 

 

FAAが777Xを厳しく見ているのは737MAXの飛行停止措置が大きい。FAAは技術諮問委員会を設け777Xの設計内容を点検している。

 

777X型式証明は2019年に数か月遅延している。これはGEエイビエーションGE90エンジンの問題が原因だった。MAX騒動で規制当局が追加措置をとっており、同機がめざす市場の状況もあり今後目が離せない。

 

「今後規制当局と作業を進め状況が見えてくると期待している」「同時に当社は777Xの顧客各社と連携し各社のフリート構成案と納入タイミングを照らし合わせ検討しているところ」

 

ウィアドボディ二型式で不確実性があるため737MAXファミリーにもプレッシャーとなっている。ボーイングは20か月に及ぶ飛行停止を終え、納入開始の承認を得て、まず駐機中の機材と新規生産の450機の引き渡しに入る。

 

駐機中機材の点検に通常より大量の人員を投入する必要があるが、スミスはあくまでも顧客ニーズを中心に進めると述べた。「制約は当社の納入状況ではなく、むしろ顧客の側の受け入れ体制だ」

 

エアライン各社は国内規制当局の了承を得ないとMAX運航ができず、これに数か月かかる国もある。一方で需要低下でナロウボディ機運航も影響を受けている。ただし、ワイドボディ機への影響と比べれば軽い。

 

納入日程を遅らせるエアラインが多いが、新型機の導入は速まっている。ライアンエアは737-8200を75機発注していたが、12月3日に前倒し受領を発表した。同社は2025年までに新型ボーイング機210機を運航するとしている。スミスは納入先送りなど変更は増えると見ている。

 

「受注の動きが出てくると見ています」「ただし、顧客で事情が異なります。ライアンエアが発注していますよね。これから同じ動きが増えると思いますよ」(スミス)

 

MAXの受注残を解消し、引き渡しを進めることがボーイングのキャッシュフローに最大の影響を与える。787、777Xがともに失速するなか、737生産が一層重要になっている。ボーイングは737生産を「超低速」で進めており、2022年初めに月産31機に持っていきたいとスミスは語った。

 

「737生産を元に戻すことが最大の原動力になります。ただし、状況は20年21年ともに変わりません」とし、787納入の復帰もキャッシュフロー上で重要だとする。「2022年に737が元通りになっていれば、つまり在庫一掃し生産数を増加させていればということですが、その先は市場の状況次第ですが、生産数も呼応して変更していきます」■


2020年12月9日水曜日

2021年パリ航空ショー中止へ。COVID-19で揺れる航空宇宙産業界

 

Organizers Cancel Paris Air Show 2021 On COVID-19 Uncertainty

Helen Massy-Beresford December 07, 2020

https://aviationweek.com/air-transport/aircraft-propulsion/organizers-cancel-paris-air-show-2021-covid-19-uncertainty

 

Paris

Credit: Paris Air Show

 

界最大の航空展示会パリ航空ショーは2021年は開催されないことになった。COVID-19大量流行の関連で先が見通せないのが理由と主催者が発表した。

パリ航空ショーおよびフランス航空工業団体GIFASの理事会は全会一致でこの決定を12月7日に下した。

「前例のない事態の中で航空宇宙産業への影響が予測つかない中では、妥当として理事会で全会一致決断した。今回の危機的状況では避けがたい」との声明が出ている。

コロナウィルスの影響で旅行産業が大打撃を受け、エアライン各社で機材を地上待機させ、政府支援で生き残りを図る状況だ。IATA予測では2019年実績水準に戻るのは2024年以降とある。

パリ航空ショーはルブールジェ空港を会場としてきた。前回2019年の来場者は316千名を超え、民間軍用双方の業界関係者、一般観客が集まり、世界最大の航空ショーとなった。同年に会場での受注総額は1400億ドルだった。

第一回は1909年に開かれ、隔年開催だが、世界大戦で中断されている。2021年ショーは第54回になるはずだった。

「2021年ショーが開催できず残念。ここにきて展示会多数が世界各地で中止されており、国際航空宇宙防衛産業界として次回開催に期待したい」とパリ航空ショー会頭のパトリック・ダヘル(ダヘルグループ会長)が声明発表した。「2023年ショーで航空宇宙産業の復活を国際レベルで祝えるよう準備作業を開始した」

中止となったショーは2021年6月21日から27日に開催予定だった。主催者側は2023年6月の次回ショー日程をのちほど発表するという。■

 


2020年12月8日火曜日

ボーイングのシェア低下を見てエアバス取引に走るべきか、サプライヤー各社の判断は....

 

Should Boeing Suppliers Shift Toward Airbus?

Michael Bruno November 26, 2020

https://aviationweek.com/aerospace/manufacturing-supply-chain/should-boeing-suppliers-shift-toward-airbus

 

Spirit AeroSystems's composite center fuselage sectionスピリットエアロシステムズではエアバス取引の拡大の一環でA350XWBの胴体中央部を複合材で製作している。

Credit: Spirit AeroSystems

 

ささか遅い観はあるが、ボーイングCEOデイヴ・キャルホーンが10月に同社が民間航空機市場でヨーロッパのライバルに差をつけられていると認めた。

COVID-19の大量流行の前から737 MAXの飛行停止措置並びに生産中断があり、業界の中にはこのままだと6対4いやもっと差がつくとエアバス、ボーイング両社のナローボディー機の動向で警句を出す向きがあった。

これまでの5対5の互角勝負から大幅な推移だが、背後に大きな変化がある。「ボーイングが737 MAXで足踏みしている状況はエアバスに千歳一隅のチャンスでナローボディー分野でシェアを一気にふやせる」とモーガンスタンレーのクリスティン・リワグ、マシュー・シャープが11月9日に記していた。「サイクルが長くかつ競争相手や新規事業が限られているのが航空宇宙産業で...マーケットシェアを戦略的にふやした効果は今後長く残る」

航空宇宙産業のサプライヤー各社も歴史的な不況に直面する中、マーケットシェアの大変動を見てエアバスに切り替えるべきか疑問に思っているはずだ。

確かに誘惑は強い。「ここ18か月でエアバスが完全にリードを奪い、ボーイングは抵抗できなくなるほどの勢いだ」とエージェンシー・パートナーズのアナリスト、サッシュ・ツーサがAviation Week 主催のウェビナーで11月に発言していた。「エアバス関連サプライヤー各社のほうがボーイングと取引中の各社より企業価値が増えている。これは収益でも明らかで受注の6割がエアバスだ」

事情はサプライヤーにより異なるが、考えていることは同じだ。もしエアバスがA320ファミリー機材の引き渡しを順調に進めれば、MAXを注文した顧客は先送りあるいは取り消しに走るのではないか。とくにMAXの飛行停止措置は注文変更の絶好のチャンスだ。

モーガンスタンレーのデータを見てみよう。ボーイングのMAX受注は2,717機あり、2025年までの分だ。うち29%はA320発注もしているリース会社あるいはエアラインによる発注だ。

COVID-19とMAX飛行停止措置前はサプライチェーンがボトルネックで両社合わせ月産120機の生産計画構想が強いプレッシャーだった。

専門家には両社のうち先に月産60機以上のペースをサプライヤーベースで維持できる方が勝者となるとの見方がある。エアバスは各サプライヤーに47機体制を2021年10月までに整備するよう求めているが、ボーイングはわずか31機しかも2022年「早期」までとあり、それでもサプライヤー側にはこの目標を怪しむ向きがある。

ボーイングのティア1サプライヤーで少なくとも一社、スピリットエアロシステムズがエアバス陣営に移行しようとしており、その背景にはMAX問題やCOVID-19以前の戦略企画がある。737ファミリーがスピリットの売り上げ50%を2019年まで占めており、ボーイング全部合わせると8割近くになる。

スピリットがエアバス向け取引で多角化を図るのは理に適っているといえるのか、アナリスト、コンサルタントには間違いとみる向きがある。

「正しい判断ではないでしょう」とバーンステインのアナリスト、ダグ・ハーネッドがAviation Week 主催ウェビナーで述べていた。「シェアは変動するもので、一般の皆さんが考えるより大きく動いています」

PwCのコンサルタント、スコット・トンプソンは「二社寡占状態で市場は50-50の互角勝負に戻るはず」という。だがもちろんバランスをどう回復できるかが問題と本人もいう。

ハーネッドも下位のサプライヤー企業でボーイング依存が高すぎる会社に影響が出ると見ており、あるいはボーイングがシェア回復を狙いサプライヤーに圧力をかけてくるかもしれないという。だが実際にはそうならないと本人はみている。「小規模サプライヤーに影響が出ても、大方でこれ以上悪化する可能性は少なく、よい方向になるのではないか」

乗り換えを無効にするその他の要素もある。「ボーイングとエアバスのシェア争いがどうなるかは不明だが、見ものなのは確かだ。シェア争いで勝者はない」とリワグ-シャープは口をそろえる。

航空宇宙製造業は変化への適応が遅く、動きも鈍い業界といわれる。しかし今回はあえて変化を選択せず、マーケットシェアの混乱を受け流し、サプライヤー構図に手を付けないのが一番と見る外部筋が多い。■

 


2020年12月5日土曜日

ボーイング777X事業は航空不況でどんな影響を受ける?

 日本の航空製造業界にも多大な影響が出そうですね。それにしてもエアバスA350はボーイングにとって面倒な存在になりましたね。

Could The Boeing 777X Program Be Terminated?

Jens Flottau November 27, 2020

https://aviationweek.com/aerospace/aircraft-propulsion/could-boeing-777x-program-be-terminated

 

parked aircraft

Credit: David Ryder/Getty Images

 

ボーイング777X事業が中止になる可能性はあるのだろうか。

Aviation Week民間航空部門主筆のジェン・フロトーはこう見ています。

ーイングは現時点でワイドボディで747-8、777X、787と三機種そろえている。このうち747-8は段階的に消えるが、787が活況を呈すのはCOVID-19流行で比較的小型でありながら効率が良いためだ。一方で777Xは面倒な立ち位置にある。とはいえボーイングが同機事業をすぐにでも中止する可能性は極めて低い。

理由として同機の型式証明取得が長期化し相当の経費がかかっているが、開発予算は大部分支出済みだ。747がなくなれば、787-10がボーイング最大のワイドボディ機になるが、エアバスA350とは機体サイズ、航続距離双方で勝負にならない。既存型777の生産継続は選択肢にならない。運航経済性がA350に及ばないし、選定に残らない可能性が高いが、エアバスに価格値下げさせ収益性を損なわせる効果は期待できる。

同じ理屈がA330neoにあてはまり、エアバスは同機発注が低迷中でも7同機を残している。

ただし777Xの見通しは現時点のトラブル続きの航空市場で不安を残す。ボーイングは型式証明工程を小型の777-8で遅らせ、市場回復まで時間稼ぎをねらう。また737 MAXの飛行再開後初のボーイング機となれば当局が厳しく審査するのは当然だろう。

777Xの受注残の大半はエミレイツエアラインズカタールエアウェイズエティハドエアウェイズが350機中240機と大半を占めている。このうちエミレイツ(156機確定発注)が小型の787やA350に関心を移しており、パンデミック後の路線網再編への投入を検討しているようだ。

エティハドも発注したものの湾岸地域のライバル各社と規模の競争を放棄する路線変更をしている。その他の777X発注エアラインのキャセイパシフィックブリティッシュエアウェイズルフトハンザもそれぞれ大変な状況になっており、国際路線が運航停止し運航再開しても回復は国内線より時間がかかりそうだ。

777Xは大型機であり高需要の長距離路線運航に最適化した機体だが、その路線が今は存在しない。観測筋の大部分も時間が経てば特にアジアでこうした路線の復活を予測するが、ヨーロッパ、北米では可能性は低い。大事なのはエアライン各社に地上待機で比較的機齢が低い従来型777多数があることで、新規製造機体の中短期的販売に影響を与えるかもしれない。■


2020年11月28日土曜日

大韓航空がアシアナを吸収すれば韓国にメガキャリアが出現する...のか

 

Korean Air-Asiana Merger Would Create Asia-Pacific Giant

Aviationweek

Adrian Schofield November 24, 2020

Korean Air and Asiana Airlines Airbus A380 aircraft大韓航空とアシアナ合わせA380は16機あるが、ほぼ全機がCOVID-19のため運航停止中だ。Credit: joepriesaviation.net

 

韓航空アシアナエアラインズを買収するとグローバル市場で最上位のキャリアの仲間入りとなる。大韓航空の運航規模が劇的に拡大する可能性が出てきた。

 

韓国政府、アシアナの債権団がともに買収案を了承しており、アシアナの路線運航継続には最良の選択としている。アシアナはcovId-19流行前から業績が悪化しており、さらにパンデミックで苦境に追い込まれていた。両社統合で競争状態が低下するが、これ以外にアシアナの存続策はないのが現状だ。

 

大韓航空役員会は11月16日にアシアナ株式を1.8兆ウォン(16億ドル)で買収する案を承認した。国営の韓国産業銀行(KDB)が8千億ウォンを投入し買収を成立させる。大韓航空も来年に新株発行で2.5兆ウォンを調達し買収に備える。

 

大韓航空CEOのウォルター・チョーは社員の雇用維持が最優先と強調するが、アシアナの現有機材と路線網の処置は未定だ。

 

同社は買収が完了すれば世界トップ10社入りできると期待する。路線網拡大、機材拡充で同社は「世界メガキャリアと競合できる」立場を強化できるとする。韓国にフルサービスキャリア大手が二社あることが「競争面で不利」とし、大手一社体制のドイツ、フランス、シンガポールの例をあげている。

 

大韓航空は2019年に国際線旅客数で18位、アシアナは32位であったとIATA統計にある。両社合わせると10位で、アジア太平洋でトップとなる。有償旅客キロでは世界11位になる。

 

両社で共通する貨物の強みが統合でさらに強くなる。大韓航空は国際定期貨物トンキロで世界5位、アシアナは23位だ。統合で3位になる。上にはカタールエアウェイズとエミレイツがあるだけだ。韓国国内路線では大韓航空シェアがさらに高まる。また路線網整備で乗り継ぎの便が向上すればインチョン国際空港はアジアのハブ空港として地位を固めると大韓航空は見ている。

 

2019年12月2日の週時点で大韓航空は韓国国際線販売シェアが22.4%だったとCAPAとOAGデータでわかる。アシアナが第二位で15.4%だった。合計37.8%となり、さらにLCC子会社もあわせると48.1%になる。

 

同時期データでインチョン空港では大韓が25.3%、アシアナが17.9%のシェアでLCC合わせ50%となる。CAPAデータでキャセイパシフィック、SIAグルーぷ、ルフトハンザグループも本拠地で高いシェアがあることがわかる。

 

ソウル-チェジュ線では両社で67%のシェアとなる。同路線は韓国内で最重要の位置づけであり、同時に利用が一番盛んな路線でもある。

 

両社統合の話題は以前からあったが、今回の危機状況で待ったなしとなった。「韓国航空市場はパンデミック以前から飽和状態にあり、COVID-19後の状況が見えにくくなっている」と大韓社長のKee Hong Wooは述べる。「統合後は路線、機材ともに柔軟運用が可能となり、効率運用が可能となる。シナジー効果を最大にでき、貨物ターミナル、訓練センターや整備拠点といったインフラを合理化できる」

 

機材統合が課題となる。大韓航空は170機を主要機材とし、ここに地上保管機材30機を含む。アシアナは総75機で7機を保管中だ。両社機材で共通するのはエアバスA380、A330、ボーイング777、747貨物型だが、ナローボディ機はちがう。大韓航空は737中心でアシアナはA320/321を運用中だ。大韓航空は737MAXを発注しているがA220も10機発注し、両社がA321neoを発注している。

 

ワイドボディ機材更新の動きでも相違点があり、大韓はボーイング787、アシアナはA350を選択した。大韓で787-9の10機が運航中で、-9は10機、-10の20機を発注中。アシアナはA350-900を11機運航中で、-900を10機、-1000を9機発注している。

 

統合後は機材型式が増えるが、大韓航空はこれまでもA380、747-8、MAXやneoのように各メーカーから多数機種を運航してきた。

 

大韓航空は財務面で苦しく多額の借入がある。これだけでも大変だが、さらにコロナウィルスによる大幅減収の回復にも努めなければならない。アシアナもパンデミック前から財務面で苦境にあった。親会社のクムホグループはアシアナ支配権を現代開発に売却すると合意したものの、COVID-19危機で同社価値が下がったため9月に暗礁に乗り上げた。このためアシアナはKDB含む債権団の実質管理下に入っていた。

 

買収は2021年に完了する見込みと大韓航空はみている。政府当局の承認が必要で一定の時間が必要となる。さらにハードルとなるのが法廷判断だ。

 

大韓航空はAviation Weekに当面はアシアナは大韓航空子会社として運行を続けると明らかにしたが、数年かけてアシアナブランドは消滅させる。アシアナがスターアライアンスに残るかは未定だ。大韓航空はスカイチームに加盟している。

 

アシアナ傘下のLCCエアソウル、同社が支配するエアブサンは統合対象だ。ただし、両社がそのまま残るか大韓航空のLCCブランド、ジンエアと統合されるかは未定だ。

 

両社統合にKDBは8千億ウォンを大韓航空の親会社ハンジンKALに貸し付けとして投入する。大韓航空は3千億ウォンをアシアナ取得の前金とする。

 

これでアシアナは年末までの運航費用を手当てでき、財務状況も改善できる。ハンジンKALはKDB資金受け入れで借入にするより新株発行を選んだのは「安定財務構造」の維持を狙ったためと説明している。「KDBは議決権を得て、ハンジンKAL及び大韓航空が企業取得案を予定通り進める野を監督する」と大韓航空は説明している。■


2020年11月22日日曜日

縮むエアラインに長距離ナローボディ機が期待を与える。ボーイングはエアバスに大きく水をあけられている。

 

ANALYSIS: Long-Haul Narrowbodies Will Help Bridge Gaps As Airlines Shrink

Jens Flottau November 17, 2020

https://aviationweek.com/special-topics/crossover-narrowbody-jets/analysis-long-haul-narrowbodies-will-help-bridge-gaps


空業界、主要機材メーカーのエアバスボーイングエンブラエルは生き残りを最重視し、冬がすぎ、COVID-19ワクチンが出回り世界がもとの状況へ復帰するのを待っている。

エアライン各社が運航を大幅に減らす中、一部の機種が注目を集めており、新型コロナウィルス流行が下火になり需要が復活してもこのトレンドは続きそうだ。

業界では小型ワイドボディ機、長距離ナローボディ機が民間航空の再成長段階でいちはやく効果を発揮するとの見方が強い。こうした機材ならリスクを最小にしながら機体価格は訴求力があるというのだ。エアバスのA321XLRは4,700nmの航続距離があり、2023年に路線就航するが、受注はすでに400機を超えている。

だが長期的にはA321XLRのような機体があればエアラインは運航回数を増やすか、座席数を増やすか、あるいは旅客数が少ない路線を思い切ってノンストップ運航し、ワイドボディ機でも最少のエアバスA330-200あるいはボーイング787-8では持て余す路線に投入する選択肢も生まれる。

また機材の大規模更新の時期が近付いており、北米ではボーイング757や767の退役がパンデミックで加速されつつある。

短期的にはエアライン各社の規模縮小は不可避だ。IATA最新予測では有償旅客キロは2020年に前年比で66%減少するとあるが、2019年は737MAXの運航停止などそもそも需要にブレーキがかかった年だった。

パンデミック終息後のエアライン各社はどのように保有機材を活用するだろうか。地域、企業戦略、投入可能な機材構成など各種要素により左右される。ただし、パンデミックにより余剰機材の退役が加速しており、とくにエアバスA380、A340、ボーイング747-400は需要が低下した長距離路線で持て余し気味だ。

そこで長距離路線でナローボディ機が成功すれば機体メーカーにもろ刃の剣になる。ワイドボディ機の需要は弱いまま新鋭機材が長距離路線に投入可能となれば選択肢が広がる。ただし、ワイドボディすべてが悪影響を受けるわけではない。2020年春のパンデミック最高潮時でもエアライン各社はボーイング787、エアバスA350を路線投入しており、小型ワイドボディならではの効率性をとくに787で生かしていた。だがその他の機種は重宝されていない。ボーイング777では9月末時点で合計353機が運航停止となり、前年の58機から急増した。787で運航停止保存状態に入っているのは189機(前年25機)。エアバスではA330で402機(前年56機)で、A350は比較的少なく58機(6機)にとどまっている。

長期的に見れば、機材選択では性能を重視する方向に進むだろう。現在も787、A350が欧州と米東海岸間路線に投入されているが、両機種の航続距離からいえば性能を十分活用しているとは言えない。そこでやや短い長距離路線をねらってボーイングは新型中間市場機(NMA)構想を立てていたが、今年に入りこれを中止してしまった。

A321neoの長距離版LR、XLRが成功すればエアバスはナローボディ機市場でシェアを伸ばせる。現時点の受注残でも同社は60%超のシェアを占めている。ボーイングが競争面で不利な状況を受忍する状況は普段は考えられないが、737MAXの発注取り消しが1,000機を超え運航停止措置が伸びたこと、同社の民生機材部門の赤字が組み合わさる状況では中短期的に新型機開発に乗り出し、ナローボディ機のハイエンド部門で解決策を提示するのは不可能だ。■


エアバスがA321XLRの第2生産施設として旧A380組立ラインを転用―320neoファミリーの受注残は1万機で、321neoが中心

  Photo: Photofex_AUT | Shutterstock エ アバスはフランスのトゥールーズにある最終組立ライン(FAL)でA321XLRの組立てを開始した。 フランスでのA321XLRの組み立て トゥールーズを拠点とするLa Dépêche紙記事によると、エアバ...