2020年12月12日土曜日

777Xと787の失速で737に期待せざるを得ないボーイングの苦しい事情、敵失でエアバスがますます優位になるのか

 Widebody Softness Triggers Boeing 787 Production Cut, Adds More Pressure To 737

 

Sean Broderick December 04, 2020

 

777X wingSource: Boeing

 

ーイングのワイドボディ機二型式が厳しい逆風にさらされており、787の製造数は2021年にさらに削減され、777X型式証明は時間をかけて進みそうだ。

 

787生産はサウスカロライナへ移転中で、2021年央に月産5機と以前の発表より少なくなり、現在のペースの半分となる。同社CFOグレッグ・スミスが12月4日明らかにした。

 

「冬季は厳しい状況で[COVID-19の] 感染が世界各地に広がっています。今後さらに増えれば旅行制限も変更となり、回復への道はさらに遠のき、状況は各地で異なるだろう」とスミスはクレディスイス主催イベントで述べた。「その結果、787減産も妥当な範囲で調整する」

 

長距離路線需要が低下しており、787納入に生産関連の問題が影を落としている。11月の納入はゼロだったとスミスは述べ、今年の累計は53機だという。787は5月にも納入ゼロとなったが、その際はCOVID-19のためチャールストン、エヴァレット両工場が数週間閉鎖されていた。スミスは11月の納入ゼロは品質問題も原因と認めた。

 

「追加点検で納入前機材の状況を確認していますが予想以上に時間がかかっているのです」「その結果、11月は787納入が皆無になり、12月も納入はスローペースになると見ています」

 

777Xについてスミスは「規制当局と型式証明で連携しており、737再審査の結果も反映している」と述べ、ボーイングの最新EIS(路線就航)タイミングは納入一号機を2022年目標にしているが、スミスはこれについて追加コメントしなかった。

 

「開発中のためリスクがあり、日程に影響が出ます」「EISのタイミングは最終的に型式証明に規制当局により左右されます」

 

 

FAAが777Xを厳しく見ているのは737MAXの飛行停止措置が大きい。FAAは技術諮問委員会を設け777Xの設計内容を点検している。

 

777X型式証明は2019年に数か月遅延している。これはGEエイビエーションGE90エンジンの問題が原因だった。MAX騒動で規制当局が追加措置をとっており、同機がめざす市場の状況もあり今後目が離せない。

 

「今後規制当局と作業を進め状況が見えてくると期待している」「同時に当社は777Xの顧客各社と連携し各社のフリート構成案と納入タイミングを照らし合わせ検討しているところ」

 

ウィアドボディ二型式で不確実性があるため737MAXファミリーにもプレッシャーとなっている。ボーイングは20か月に及ぶ飛行停止を終え、納入開始の承認を得て、まず駐機中の機材と新規生産の450機の引き渡しに入る。

 

駐機中機材の点検に通常より大量の人員を投入する必要があるが、スミスはあくまでも顧客ニーズを中心に進めると述べた。「制約は当社の納入状況ではなく、むしろ顧客の側の受け入れ体制だ」

 

エアライン各社は国内規制当局の了承を得ないとMAX運航ができず、これに数か月かかる国もある。一方で需要低下でナロウボディ機運航も影響を受けている。ただし、ワイドボディ機への影響と比べれば軽い。

 

納入日程を遅らせるエアラインが多いが、新型機の導入は速まっている。ライアンエアは737-8200を75機発注していたが、12月3日に前倒し受領を発表した。同社は2025年までに新型ボーイング機210機を運航するとしている。スミスは納入先送りなど変更は増えると見ている。

 

「受注の動きが出てくると見ています」「ただし、顧客で事情が異なります。ライアンエアが発注していますよね。これから同じ動きが増えると思いますよ」(スミス)

 

MAXの受注残を解消し、引き渡しを進めることがボーイングのキャッシュフローに最大の影響を与える。787、777Xがともに失速するなか、737生産が一層重要になっている。ボーイングは737生産を「超低速」で進めており、2022年初めに月産31機に持っていきたいとスミスは語った。

 

「737生産を元に戻すことが最大の原動力になります。ただし、状況は20年21年ともに変わりません」とし、787納入の復帰もキャッシュフロー上で重要だとする。「2022年に737が元通りになっていれば、つまり在庫一掃し生産数を増加させていればということですが、その先は市場の状況次第ですが、生産数も呼応して変更していきます」■


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