Aviaion Weekに気になるニュースが入りましたので早速お伝えします。
スペースジェットで手痛い経験となった三菱重工業が慎重な態度を捨てるのか、その他重工業とコンソーシアムを組んで対応するのか、日本政府がどこまで支援するのか、いずれにせよ完全国産旅客機の夢よりも現実的な解決策を模索するべき時が来たと思います。
ボーイングの新型旅客機事業に期待があるが、同社内部に必要な資金がない。
だが同社が外部と提携し。例えばスーパーティアー1と呼ばれるメーカー、あるいは他国企業と共同事業となればどうなるか。
737 MAXとCOVID-19のダブル危機で、ボーイングは二年連続で記録的な赤字決算となった。ただ、第2四半期の赤字幅が予想を下回りウォールストリートが驚いた。CEOディブ・カルホーンは「峠は越した。回復に勢いがついてきた」と述べている。
ただ同社は6月末現在で420億ドルの負債を抱え、105年の同社史上で前例のない規模となり、2018年末から8倍増に増えた。ボーイング独自の予測では民間航空部門の発注は今後10年間で11%減となる。業界ではエアバスに対抗するボーイングは現状のシェア40-50%は維持できず、30-40%になるとの見方がある。
そこで業界内部には新型ボーイング機の投入を期待する声が高い。中型機、737後継機などが取りざたされており、運航会社の購買意欲を刺激し、ボーイングのシェア奪回につながる。だが完全新型機では200億ドル以上が必要とみる筋もある。
同社の支出には二つ優先事項がある。負債の整理と株主還元がある。バンクオブアメリカのアナリスト、ロン・エプスタインはウォールストリート関係者の56%はボーイングが新型機を立ち上げると予想しているが、34%はそのためにはボーイングは投資機関への姿勢を変えるべきだとみていると紹介。
「新型機開発の資金集めが課題でしょう」というのが航空業界に特化するコンサルタント企業Avascentの意見だ。「当社分析ではボーイングには完全新型機開発をしつつ配当金を支払うキャッシュフローがありません」
だが可能性が高いのはボーイングが他社と提携し、リスクを減らしつつ利益を共有する事業形態に走ることだろう。Acascentのジェイ・カーメル、スティーブ・ガニヤードはこの構想を深堀し、太平洋の向こう側、日本の「重工業」数社との提携だろうとのメモを8月に出した。
同上メモでは日本政府は国産旅客機開発を模索してきたと指摘。ボーイングは共同事業の可能性を数回にわたり探ってきたが、一度も成立していない。そこで、三菱スペースジェットの自壊に注目が集まっている。
「日本とボーイングが共同事業体を立ち上げれば、共同出資、共同生産で新世代旅客機が生まれる」と両名は記している。「興味深いのは今回はエンブラエルとの共同事業検討と異なることで、ボーイングはエンブラエルの技術力を高く買っていたものの共同出資は二の次だった」
日本の国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構には航空機DXコンソーシアムの新規事業があり、「スーパーティア1」として日本国内企業にボーイングとの技術共有、リスク共有を進めさせる構想があるとAvascentは紹介。日本の労働コストは高いといっても北米、ヨーロッパの水準に比べれば低いと主張する。
両名は共同事業が成立すればウィンウィンとなるが、まずは日本側に今度はうまくいくと信じさせ、作業分担は日本航空宇宙産業のグローバルでの地位を高めるものにする必要があると主張する。エアバスの独走状態、さらに中国が実力をつけてきたことから、共同事業は以前よりも実現しやすくなっているのではないか。
「明確に言う。ボーイングには日本が必要だ。日本にはボーイングが必要だ。日本は財務、技術両面でリスクを共有する相手になれる。ボーイングが完全新型旅客機を投入できれば、『失われた十年』を回避できる」とカーメル=ガニヤードは指摘している。■
Will Boeing’s Next Airliner Be Built In Japan?
Michael Bruno September 01, 2021
https://aviationweek.com/aerospace/aircraft-propulsion/will-boeings-next-airliner-be-built-japan
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