ラベル #エアバス の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル #エアバス の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2021年5月30日日曜日

コロナ回復を見込み、エアバスが積極的な増産体制に乗り出した。ただし、A320neoが中心でA220も早期の利益確保を目指す。ボーイング増産案を横目に見ての動きか。

  

 

Credit: Airbus

 

アバスがA320neoファミリーの月産を2025年までに75機に引き上げる案を検討しており、同時にA220では三倍増の14機まで増産する。

 

このまま実現すれば、同社は2020年代半ばにナローボディ機を毎月90機引き渡すことになり、現在の二倍近くとなり、生産記録を更新することになりそうだ。

 

これに対しワイドボディ機には大きな変化はなく、A330/A330neoは現行の月間2機のままで、A350は2022年秋までに月間5機を6機に増やす。

 

「航空機分野でCOVID-19からの回復が始まるところだ」とエアバスCEOギョーム・フォーリは発言している。同社は回復の主動力は単通路機であり、長距離線の弱含みが足を引っ張ると見ている。

 

5月27日発表ではエアバス向けサプライヤー各社に対する今後の生産企画を伝える意義があり、正式決定ではないものの生産機数を上記のように増やすとある。

 

ただし、エアバスは増産方針を正式な形でも表明している。まず、同社は当初A320ファミリー引渡しを現在の40機から2021年第四四半期までに45機とする。これを2023年第二四半期に64機に増やす。同社からサプライヤー各社へは2024年第一四半期には70機を前提に準備開始を求めている。

 

A220では2022年早々に現行の月産5機を6機に増やす。同社は今後数年以内に14機にする予定で、早期に損益分岐点を上回らせるとする。A320neoファミリーがエアバスの商品構成で唯一利益が出ている事業だ。

 

フォーリCEOは「当社のサプライヤー各社へは必要となる供給能力を確保し、市場環境が整えば対応できるよう準備をお願いしています」

 

ロイター記事ではボーイングが737 MAXで月産31機を2022年早々に、さらに2023年秋に42機に増産するとある。

 

エアバスの増産計画は航空輸送需要が回復するとの楽観的な見方が根底にある。「長期的に見れば実はそんなに悪くない」とIATAチーフエコノミストのブライアン・ピアースは述べている。経済全般はV字回復になるとし、「旅行需要に回復が見られ、これまでの貯蓄分が消費に回ってくる」という。

 

IATAでは2021年下半期には中国、米国、ブラジルの大型国内市場で大きな変化が生まれ、実質的な回復が見られるはずとする。「回復が強含みなる」とピアースは述べている。

 

世界規模では旅行客は2022年に2019年実績の88パーセントに、さらに2023年にはCOVID前実績の105パーセントに回復する予測がある。有償旅客キロ(RPK)の増加ぶりが緩やかになるのは運航路線の平均距離が短くなっているためだ。IATA予測では旅客数はRPKで2030年まで年率3.9パーセント増とあり、このとおりならCOVID-19パンデミックの与えた悪影響で2年が犠牲となる。

 

エアバスは前例ない水準の月産数に向け準備を進めている。ハンブルグに第四番目のナローボディ機組み立てラインを2018年に稼働させており、A321neoの受注急増に備える。ツールーズではA320/321neoラインがもう一本2022年末までに完成し、旧式化した現行ラインと交代する。エアバスのナローボディー機はハンブルグ、ツールーズ、アラバマ州モービル、中国天津で製造しており、A220組立てラインはモービルとカナダのミラベルにある。

 

エアバスでは生産システムの追加整備を進めており、2025年までの完成を目指し、組織面技術面での変更を想定している。宇宙分野事業の再構築として2021年までに関連会社プレミアムエアロテックステリアエアロスペースを拡充する一方で、社内手続きを簡略化しメイン事業への集中度を高める。次に、自動化率を高め、最終組み立て部門以外に機体製造部門にも広げる。エアバスではデジタルデザイン・製造・サービス(DDMS)も段階的に取り入れ、生産のみならず機体運用のライフサイクル全般に可能な場面で採用する。■

 

Airbus Anticipates 89 Single-Aisle Deliveries Per Month In 2025

Jens Flottau May 27, 2021

https://aviationweek.com/air-transport/aircraft-propulsion/airbus-anticipates-89-single-aisle-deliveries-month-2025

 


2021年4月30日金曜日

エアバスは単通路機増産を強気で進める一方、地域別のリスクも意識。次世代機開発を視野に入れたグループ再編とともに内製化テコ入れをする模様。

 


 

 

 

アバスCEOジローム・フォーリは航空業界の回復の中で各地に見られる「確実性の欠如」に警戒している。ただし、2021年の第一四半期業績は比較的堅調に推移した。

 

「一部地方で国内需要の回復が期待できる兆しが見えてきた」とフォーリは第一四半期業績発表の席上で述べた。

 

ただ、渡航制限解除が一律でなく、COVID-19パンデミックが残ったままのヨーロッパは「他地区より状況は悪い」と見ている。そのため、ヨーロッパはエアバスにとって「懸念地区」であり、インドも大幅な感染増加がここ数週間連続し、心配な地区だという。ただし、インドの危機状況から直接の影響は同社にまだ出ていない。

 

発注元との関係は「かなり差がある」と述べ、中国は「かなり改善した」が、米国は「強気市場」と表現した。一部の米エアラインでは機材引き取りを2023年2024年に先送りする傾向があるという。

 

エアバス収益は105億ユーロ(127億ドル)を第一四半期に計上したが、昨年同期は106億ユーロだった。民生機材は72億ユーロ、エアバスへリコプターが11億ユーロ、エアバスディフェンスアンドスペースが21億ユーロだった。グループとして営業利益462百万ユーロを計上し、純利益は362百万ユーロだった。12億ユーロのキャッシュフローが生まれ、2020年同期の80億ユーロ赤字から大きく反転した。昨年はCOVID-19パンデミックの影響をもろに受けたことに加え、贈賄事件解決へ36億ユーロで処理していた。これに対し2021年Q1は財務最高責任者ドミニク・アサムも「一歩抜きんでた」と評する業績になった。民生機材の収益は4パーセント減となったが、事業部として営業利益は57百万ユーロから343百万ユーロへと大きく伸びた。

 

同期の納入は125機で、昨年同期比で3機増えた。内訳はA220が9機、A320ファミリーが105機、A330neo1機、A350が10機だった。同期中の受注は39機にとどまり、昨年同期の356機から大幅減となった。今年の受注は38機が単通路機だった。ただし正味の受注規模がマイナス61機となったのは同期中に予約取り消し100機が発生したためだ。

 

フォーリによれば、エアバスは単通路機の増産を続けるのは、「マーケットの準備が加速化しそう」なためとする。単通路機は第三四半期に現行の40機を月産43機に増やす。第四四半期に45機にするのは以前の計画通りだ。新型A321XLRの投入時期に変更はなく、2023年だ。

 

またフォーリは単通路機の納入ペースが2022年に急増すると明らかにしている。「サプライチェーンで対応が完了している兆候がある」としたが、正確な数字はまだ発表できないとした。

 

単通路機とは対照的にワイドボディ機生産は「相当長期にわたり低迷する」とみており、長距離機需要は「なるべく早く損益分岐点までもっていきたい」とする。エアバスはA350で月産5機未満、A330neoは月産2-3機程度と半減させており、A380生産は今年終了する。

 

また、エアバスは「将来の産業システムの準備に入った」とし、新型大型案件向け企業をドイツ、フランスに設立し、新システムの中核に据えたいとする。新規立ち上げ企業は「現在の機材と異なる構造を有する次世代航空機」の実現で核となる。エアバス内で組織再編が進行中で、デジタルデザイン製造サービシズ(DDMS)のデジタル体制で次期製品は各面で「見える化」を進めるとする。生産水準を一新し「変革を加速する機会」を生みたいとフォーリは述べた。

 

また外注作業で内製化を進めると明らかにしたが、現行体制の再編とは無関係とフォーリは解説した。内製あるいは外注の方針変更なのかとの問いにフォーリは「内製化を相当進めるが購入も続ける」と述べた。結局、各製品別に変更は決まるのだろう。

 

パンデミック発生後のリスクが発注側に残るが、エアバスは状況は変化しつつあると見る。「今後の大きなリスクはサプライチェーンだ」とフォーリは発言。「ローラーコースターのような状況は管理が非常に厄介」とし、エンジンが増産のボトルネックと指摘している。そこで、エアバスは生産計画で慎重な姿勢を崩さず、特定企業の動向を監視する専門部隊を配している。「サプライ側に課題が見えてきた。危機が増大する前に解決が必要だ」

 

フォーリは貨物機需要に「もっと積極的に」対応すると発言し、ワイドボディ機での対応を想定している。「貨物機で消極的なままでいたくない。対応するのが一社だけという状況は望ましくない」とし、エアバスがA350貨物型の検討に入っていることが知られているが、フォーリは最終決定は時期尚早とした。■

 

Airbus Prepares Single-Aisle Ramp Up Despite ‘Lack Of Predictability’

Jens Flottau April 29, 2021

https://aviationweek.com/air-transport/aircraft-propulsion/airbus-prepares-single-aisle-ramp-despite-lack-predictability

 


2020年12月8日火曜日

ボーイングのシェア低下を見てエアバス取引に走るべきか、サプライヤー各社の判断は....

 

Should Boeing Suppliers Shift Toward Airbus?

Michael Bruno November 26, 2020

https://aviationweek.com/aerospace/manufacturing-supply-chain/should-boeing-suppliers-shift-toward-airbus

 

Spirit AeroSystems's composite center fuselage sectionスピリットエアロシステムズではエアバス取引の拡大の一環でA350XWBの胴体中央部を複合材で製作している。

Credit: Spirit AeroSystems

 

ささか遅い観はあるが、ボーイングCEOデイヴ・キャルホーンが10月に同社が民間航空機市場でヨーロッパのライバルに差をつけられていると認めた。

COVID-19の大量流行の前から737 MAXの飛行停止措置並びに生産中断があり、業界の中にはこのままだと6対4いやもっと差がつくとエアバス、ボーイング両社のナローボディー機の動向で警句を出す向きがあった。

これまでの5対5の互角勝負から大幅な推移だが、背後に大きな変化がある。「ボーイングが737 MAXで足踏みしている状況はエアバスに千歳一隅のチャンスでナローボディー分野でシェアを一気にふやせる」とモーガンスタンレーのクリスティン・リワグ、マシュー・シャープが11月9日に記していた。「サイクルが長くかつ競争相手や新規事業が限られているのが航空宇宙産業で...マーケットシェアを戦略的にふやした効果は今後長く残る」

航空宇宙産業のサプライヤー各社も歴史的な不況に直面する中、マーケットシェアの大変動を見てエアバスに切り替えるべきか疑問に思っているはずだ。

確かに誘惑は強い。「ここ18か月でエアバスが完全にリードを奪い、ボーイングは抵抗できなくなるほどの勢いだ」とエージェンシー・パートナーズのアナリスト、サッシュ・ツーサがAviation Week 主催のウェビナーで11月に発言していた。「エアバス関連サプライヤー各社のほうがボーイングと取引中の各社より企業価値が増えている。これは収益でも明らかで受注の6割がエアバスだ」

事情はサプライヤーにより異なるが、考えていることは同じだ。もしエアバスがA320ファミリー機材の引き渡しを順調に進めれば、MAXを注文した顧客は先送りあるいは取り消しに走るのではないか。とくにMAXの飛行停止措置は注文変更の絶好のチャンスだ。

モーガンスタンレーのデータを見てみよう。ボーイングのMAX受注は2,717機あり、2025年までの分だ。うち29%はA320発注もしているリース会社あるいはエアラインによる発注だ。

COVID-19とMAX飛行停止措置前はサプライチェーンがボトルネックで両社合わせ月産120機の生産計画構想が強いプレッシャーだった。

専門家には両社のうち先に月産60機以上のペースをサプライヤーベースで維持できる方が勝者となるとの見方がある。エアバスは各サプライヤーに47機体制を2021年10月までに整備するよう求めているが、ボーイングはわずか31機しかも2022年「早期」までとあり、それでもサプライヤー側にはこの目標を怪しむ向きがある。

ボーイングのティア1サプライヤーで少なくとも一社、スピリットエアロシステムズがエアバス陣営に移行しようとしており、その背景にはMAX問題やCOVID-19以前の戦略企画がある。737ファミリーがスピリットの売り上げ50%を2019年まで占めており、ボーイング全部合わせると8割近くになる。

スピリットがエアバス向け取引で多角化を図るのは理に適っているといえるのか、アナリスト、コンサルタントには間違いとみる向きがある。

「正しい判断ではないでしょう」とバーンステインのアナリスト、ダグ・ハーネッドがAviation Week 主催ウェビナーで述べていた。「シェアは変動するもので、一般の皆さんが考えるより大きく動いています」

PwCのコンサルタント、スコット・トンプソンは「二社寡占状態で市場は50-50の互角勝負に戻るはず」という。だがもちろんバランスをどう回復できるかが問題と本人もいう。

ハーネッドも下位のサプライヤー企業でボーイング依存が高すぎる会社に影響が出ると見ており、あるいはボーイングがシェア回復を狙いサプライヤーに圧力をかけてくるかもしれないという。だが実際にはそうならないと本人はみている。「小規模サプライヤーに影響が出ても、大方でこれ以上悪化する可能性は少なく、よい方向になるのではないか」

乗り換えを無効にするその他の要素もある。「ボーイングとエアバスのシェア争いがどうなるかは不明だが、見ものなのは確かだ。シェア争いで勝者はない」とリワグ-シャープは口をそろえる。

航空宇宙製造業は変化への適応が遅く、動きも鈍い業界といわれる。しかし今回はあえて変化を選択せず、マーケットシェアの混乱を受け流し、サプライヤー構図に手を付けないのが一番と見る外部筋が多い。■

 


2020年11月22日日曜日

縮むエアラインに長距離ナローボディ機が期待を与える。ボーイングはエアバスに大きく水をあけられている。

 

ANALYSIS: Long-Haul Narrowbodies Will Help Bridge Gaps As Airlines Shrink

Jens Flottau November 17, 2020

https://aviationweek.com/special-topics/crossover-narrowbody-jets/analysis-long-haul-narrowbodies-will-help-bridge-gaps


空業界、主要機材メーカーのエアバスボーイングエンブラエルは生き残りを最重視し、冬がすぎ、COVID-19ワクチンが出回り世界がもとの状況へ復帰するのを待っている。

エアライン各社が運航を大幅に減らす中、一部の機種が注目を集めており、新型コロナウィルス流行が下火になり需要が復活してもこのトレンドは続きそうだ。

業界では小型ワイドボディ機、長距離ナローボディ機が民間航空の再成長段階でいちはやく効果を発揮するとの見方が強い。こうした機材ならリスクを最小にしながら機体価格は訴求力があるというのだ。エアバスのA321XLRは4,700nmの航続距離があり、2023年に路線就航するが、受注はすでに400機を超えている。

だが長期的にはA321XLRのような機体があればエアラインは運航回数を増やすか、座席数を増やすか、あるいは旅客数が少ない路線を思い切ってノンストップ運航し、ワイドボディ機でも最少のエアバスA330-200あるいはボーイング787-8では持て余す路線に投入する選択肢も生まれる。

また機材の大規模更新の時期が近付いており、北米ではボーイング757や767の退役がパンデミックで加速されつつある。

短期的にはエアライン各社の規模縮小は不可避だ。IATA最新予測では有償旅客キロは2020年に前年比で66%減少するとあるが、2019年は737MAXの運航停止などそもそも需要にブレーキがかかった年だった。

パンデミック終息後のエアライン各社はどのように保有機材を活用するだろうか。地域、企業戦略、投入可能な機材構成など各種要素により左右される。ただし、パンデミックにより余剰機材の退役が加速しており、とくにエアバスA380、A340、ボーイング747-400は需要が低下した長距離路線で持て余し気味だ。

そこで長距離路線でナローボディ機が成功すれば機体メーカーにもろ刃の剣になる。ワイドボディ機の需要は弱いまま新鋭機材が長距離路線に投入可能となれば選択肢が広がる。ただし、ワイドボディすべてが悪影響を受けるわけではない。2020年春のパンデミック最高潮時でもエアライン各社はボーイング787、エアバスA350を路線投入しており、小型ワイドボディならではの効率性をとくに787で生かしていた。だがその他の機種は重宝されていない。ボーイング777では9月末時点で合計353機が運航停止となり、前年の58機から急増した。787で運航停止保存状態に入っているのは189機(前年25機)。エアバスではA330で402機(前年56機)で、A350は比較的少なく58機(6機)にとどまっている。

長期的に見れば、機材選択では性能を重視する方向に進むだろう。現在も787、A350が欧州と米東海岸間路線に投入されているが、両機種の航続距離からいえば性能を十分活用しているとは言えない。そこでやや短い長距離路線をねらってボーイングは新型中間市場機(NMA)構想を立てていたが、今年に入りこれを中止してしまった。

A321neoの長距離版LR、XLRが成功すればエアバスはナローボディ機市場でシェアを伸ばせる。現時点の受注残でも同社は60%超のシェアを占めている。ボーイングが競争面で不利な状況を受忍する状況は普段は考えられないが、737MAXの発注取り消しが1,000機を超え運航停止措置が伸びたこと、同社の民生機材部門の赤字が組み合わさる状況では中短期的に新型機開発に乗り出し、ナローボディ機のハイエンド部門で解決策を提示するのは不可能だ。■


2020年6月6日土曜日

自社生き残りが課題のボーイング、エアバスにサプライヤー支援の余力なし---航空業界の不況は今後数年続く

Airbus And Boeing Focus On Own Survival

June 04, 2020

aircraft
Credit: Next143/Getty Images

COVID-19パンデミックの余波で、今後数年に渡り民間航空部門では苦痛と不安定性が続く。
エアラインの多くが存続の危機に立つ中、メーカー側も同様だ。機体完成メーカーや大手サプライヤーで財務が苦しくなり、自社の存続に集中せざるを得ず、顧客の支払い条件やサプライヤー支援まで配慮する余裕がなくなっている。
エアバスは4月8日に3割減産を発表していた。今度はボーイングで、各種削減策を打ち出した。民間機生産の削減、開発研究の規模縮小だ。ボーイングにはCOVID-19関連の余波とともにMAXの飛行停止措置継続のダブルパンチとなっている。
エアバスは顧客の機体受領先送りに対応しもう一段の削減が必要と見るアナリストがある。ただし、同社はまだ決定を下していない。
ボーイングはボーイングサウスカロライナ(BSC)で787生産を再開し、5月に入り社員多数が職場復帰している。
エアバス、ボーイングの4月引き渡しは合計12機のみで、前年同月比で87%減となった。■

2020年5月4日月曜日

強気のエアバスCEOの需要回復見通しとボーイングとの競合再開への対応



Airbus Mulls 'Smaller Scale' Rate Changes, May Not Need State Aid

Jens Flottau April 29, 2020

Airbus
Credit: Airbus

エアバスは6月まで生産計画の変更は小幅にとどめ、状況に応じ変更したとしても以前の削減規模より「小規模」になるとCEOジローム・フォーリ Guillaume Fauryが4月29日発言した。
同社は顧客各社の事業計画、財務状況を分析し、各社の短期行動と長期戦略双方を理解したいとする。同時に需要回復を予想に応じた財務計画にするという。
同社CFOドミニク・アサムは「予定通りなら政府支援は不要だし、4月はじめの段階で300億ユーロ(325億ドル)の流動資金があり、当面は十分に手当できる」と言い切っている。
同社は4月8日に三分の一程度減産する決定をし、ナローボディは月産40機に(以前は60機)、A330/A330neoは2機、A350は6機となった。アナリストには顧客が納入先送りに走る中、さらなる減産は避けられないとの見方もある。
フォーリは第1四半期の122機納入に対し、第2四半期は「極めて低調」になると見ている。第1四半期は完成済み60機が納入できなかった。
「夏以降は引き渡しは増える」とフォーリは完成機の未引き渡しは第3四半期がピークと見ている。「ただし状況はきわめて動的だ」
短期的にはキャッシュ節約と生産規模削減で乗り切るが、フォーリとしては短期のうちに成長路線に再び乗せたいとする。「競争は再開する。当社は素早く柔軟に立ち回りたい。今回の危機に捕らわれ競争が再開できなくなる恐れもある」が単通路機需要はワイドボディより早く回復すると見ている。ただしその時期は「予測が極めて困難」という。COVID-19危機が収まれば「単通路機の増産は極めて急速」になるという。A321XLR開発は「好調なスピードで」進めるという。
エアライン各社との協議から、フォーリはウィルス危機前より小型機を好む傾向が強まっていると感じている。この点でエアバスは有利な立場で、A220を最小のナローボディ機として、A321XLRを一部ワイドボディ機を食う形で品揃えしているとする。
ワイドボディ需要の回復は2023年ないし2035年以降とフォーリは見る。だがナローボディの見通しは「そこまで暗くない」という。このためエアバスは以前の生産規模へ復帰する力を温存する。新規設備投資としてツールーズの単通路機生産ライン追加などは需要が月産60機ラインを超えたと判断するまで凍結する。
ボーイングがコロナウィルスに加えMAXの飛行停止で苦境にあることを受け、フォーリはエアバスの「競争力は向上しており、製品揃えは適切」と主張。また今回の危機は「機材更新が早まるチャンスになる可能性がある」とし、ボーイングとエンブラエルの民生機共同事業構想が潰れたのは「付随的損害を生み、競争面で当社によい結果をもたらす」と見ている。
エアバスの第1四半期売上は106億ユーロで4.8億ユーロの純損だった。前年同時期は125億ユーロ売上で4千万ユーロの純利益を計上していた。調整後の営業利益は49%減の2.8億ユーロだ。自由に使えるキャシュフローは第1四半期はマイナス80億ユーロと前年同期の2倍になっている。エアバスは未納入の60機を在庫算入に迫られ、36億ユーロを贈賄騒動の解決に支払っている。■

お知らせ

 2022年以降こちらでは新しい投稿はしておりません。引越し先は 「航空宇宙ビジネス短信T1(新)」です。 こちらへお越しください。 https://aviationspacebusiness-civilaviation.blogspot.com/ お待ちしております。