COVID-19は世界各地のエアライン各社に等しく大きな影響を与えましたが、対応は各社それぞれでした。日本のエアライン各社が機材をどこまで整理したのか定かではありませんが、一過性の事態なので需要もそのうち再開するとみていたのではないでしょうか。再開はいつ化すると思いますが、採算性を冷徹に見て大胆な手を打ったエアライン他社とは業績の差が広がりそうです。この二年の決断の差が大きな意味をもってきそうですね。空運株は買うべきではないでしょう。
国際航空運送協会(IATA)が二年ぶりに対面方式の年次総会を開催するが、米国外からの参加者にとっては移動自体が複雑な作業となる。ヨーロッパは米国からの渡航者に今年早々に門戸を開き、同様の措置が米国で生まれるよう期待したものの、米国は扉を閉ざしたままコロナの新規感染を封じ込めようとしている。
中国からの渡航者がCOVID-19を初めて拡げた事実とは別に、包括的な旅行制限を各国政府が実施してきたもののウイルス封じ込めに効果があったのかは疑問だ。節度ある行動(マスク着用、ソーシャルディスタンス等)が各地で鍵を握っているとの証拠がある。旅行を制限したままにしていいのか、各地でワクチン接種が普及してきた今、根拠はさらに弱くなっている。
米国と欧州間の航空移動はもっと早く再開できたはずだ。ワクチン接種の義務化がその根拠だ。ワクチン接種を入国条件とする国はこれまでもあった。COVID-19の渡航措置も早晩その他の措置と同様になろう。
包括的渡航禁止はもっと早く撤廃されていておかしくない。パンデミックで業界にはあまりにも経済的損害が大きかった。米国の新展開でワクチン接種済み旅行者(同時にテストも受けていることが条件)に入国を認める発表が出たが、業績回復への道はまだ遠い。
9月19日に措置が発表されると、エアライン各社や旅行代理店から需要急増が伝えられ、その他旅行関連サービス等へも一気に注文が入った。処理できないほどの照会があったといわれる。嬉しい大変さではないか。
大西洋横断路線では朗報のようだが、その他長距離路線特にアジア向けは再開されておらず、需要は低いままだ。18カ月も旅行できないままの旅行客がしびれを切らしている状況は想像に難くない。
旅行需要がコロナ前水準に復帰するか疑問に思う向きが多い。戻るとして問題はいつになるかだ。だがこの疑問自体が愚問だろう。業界は2019年水準の業務への復帰をめざすべきではない。むしろそれは不可能であり、高機齢機材多数が運航を終了し、すでに売却されるかその途中にある。こうした機体が運航再開することはない。一部にはマーケットシェアのため運航されるものがあろうが、利益が出ない。またエアラインの多くでダウンサイズが進み、元に戻ることは容易ではない。また環境政策もある。業界は責任を理解している状況を示す必要に迫られている。旅行需要がエアラインの業務を後押しするだろうが、エアライン側は以前よりきびしく行動を律し、サステナビリティ目標の達成をめざすべきだ。
そこでIATA総会だが、IATAが示すべきメッセージとは業界が直面する危機状況が従来になく深刻な中、業界をリセットする機会とすべきだろう。機材は新しくなり、路線網も見直し、環境経営双方でサステナビリティへの姿勢を示し、強化すべきだ。
IATA事務局長 Willie Walsh
Credit: IATA
次の段階へ進むべき時が来た。ボストンが出発点となる。またウィリー・ウォルシュがIATA事務局長に就任し初の総会となる。適任の人物といえよう。ウォルシュは International Consolidated Airlines Group (IAG)のCEOとしてエアライン関連企業多数の利益水準を前例ないレベルに引き上げるにとどまらず、これまでにない環境目標も設定した。その姿勢を新たに示すのが本人の課題だ。
勢いがついてきた。世界経済フォーラムのClean Skies for Tomorrow構想では航空業界の燃料消費の10%を2030年までにサステナブル燃料に切り替える目標を発表している。従来よりも大胆な目標設定であり、欧州委員会の想定をも上回る。エアライン企業部会としては良好な目標設定といえよう。IATAが業界全体での実施を働きかけるべき時が来た。■
Commentary: Airlines Must Use Crisis To Reset Fundamentally
Jens Flottau September 24, 2021
Based in Frankfurt, Germany, Jens leads Aviation Week’s global commercial coverage. He covers program updates and developments at Airbus, and as a frequent long-haul traveler, he often writes in-depth airline profiles worldwide.
0 件のコメント:
コメントを投稿