Aviation Week記事からのご紹介です。
エアバスは顧客企業の需要増加傾向、サプライチェーンからの調達増から、増産への環境が整ってきたと判断している。
「一部パートナー企業が増産に抵抗を示しているのは残念」とエアバスCEOジローム・フォーリはアナリスト向け2021年上半期プレゼンテーションで7月29日発言した。「受注残は6千機ある」「月間40機だと15年分の生産になる。60機なら10年分だ。顧客企業側は長く待てない。60機体制に引き上げる必要がある」
フォーリは顧客企業側が引渡し前支払い(PDPs)を予定通り履行していることから機材引き渡しへの高い期待がわかるとした。
エアバスはナローボディ機生産を2021年当初の月産40機を同年第4四半期に45機に増やし、2023年第2四半期に64機にするべく準備を進めている。サプライヤー各社へは2024年第1四半期の70機想定で準備を求めており、さらに2025年の75機体制の調査を始めている。
「当社としてはサプライチェーンには早期増産を期待したい」とフォーリは発言し、パンデミックによる減産以前に生産設備投資を終えていおり、実施は可能と見ている。
エアバスはA321XLRの引き渡しを2023年に開始する。
Credit: Airbus / S. Verger
増産への自信を高めているのがA321neoの好調さで、現在3千機の受注残となっている。エアバスはA321neo生産の比率を「50%超」に引き上げ、好調な需要に応え、さらに60%近くにするのも「間違いとは言えない」とフォーリは含みを持たせた。A321neo各型に加え、A321XLRの引き渡しが2023年から始まる。同社はA321neo用の最終組み立てラインをツールーズに建設中で増産に備える。
エアバスが単通路機生産増加を急ぐ背景には2021年上半期に完成機引き渡しが好調で結果として利益が高まっていることがある。エアバスは昨年同期の196機に対し、今年上半期に297機を引き渡した。商用機の収益は42%増の178億ユーロ(210億ドル)になった。また営業利益は24億ユーロと昨年同期の赤字18億ドルから好転した。
エアバスは今年の通年業績も上方修正した。600機の引き渡しを目指し、以前の予測を34機上乗せする。そのため営業利益は40億ユーロと以前の予測の二倍としている。また20億ユーロのフリーキャッシュフローを想定しているが、以前は収支トントンとの予測だった。
上半期の財務上の業績が強含みだが下半期もそのまま推移するとは思えない。同社CFOドミニク・アサムは直近の実績は「完璧な状態」と表現している。機体引き渡しのペースは増加しているが、エアバスは費用負担を可能な限り先送りしており、下半期中のどこかで処理を迫られる。
また同社は顧客企業が引き渡しを先送りしてもPDPsをそのまま計上している。相当数の引き渡しが近づく中で、相当部分の支払いが終わっているため、今後の収益が減少することに覚悟が必要だ。単通路機の増産体制構築が進むと財務上の負担が下半期に現れる。エアバスは2025年就航をめざすA350貨物型開発にも予算が必要だ。■
As Profits Recover, Airbus Argues For Fast Narrowbody Ramp-Up
Jens Flottau July 29, 2021
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