2020年8月2日日曜日

ボーイングが商用機生産削減を拡大。日本への影響も心配です。

ーイングは民生機材生産数をさらに削減し、一時解雇の追加や777X納入を2022年まで延期する検討に入った。COVID-19による市場減少で同社は第2四半期の赤字が24億ドルになり、737MAXの運航開始のめども立っていない。

Boeing Puget Sound
Credit: Boeing


2020年第2四半期実績を受けて積極対応策を発表した同社は747生産は2022年で終了と同時に発表し、現在は2か所の787生産拠点の統合も検討するとしている。787はワシントン州エヴェレット、サウスカロライナ州チャールストンで生産中。  

同社にとって737の運航再開が順位が高い優先事項であることに変わりないが、完成した450機が納入できず保管されている状態だ。2021年から2022年初期は月産31機に減産するが、市場は軟調なままで型式証明再取得に時間がかかっている。ボーイングは第4四半期から納入再開するとしているが、それまでにMAXの運航資格を得るのが前提となる。

「月産製造数には保管中機材の引き渡しの動向も影響が出ている」とCEOデイヴ・キャルホーンは述べ、完成済み機体の納入が2021年に大方完了すると見ている。ただし、同社はこれから2022年までの製造数の動向には顧客エアライン側との納期交渉や保管機材ならびに製造中機体の完成手順も影響するとしている。

稼ぎ頭の777と787でも大幅減産は避けられない。以前の同社発表では787は2020年に月産10機、2022年までに7機になるとしていた。キャルホーンは「パンデミックの苦境にあるエアライン顧客各社の動向をみて、787の月産10機を2021年に6機にするか検討中」と述べている。

一桁台まで月産が減ると生産拠点の統合案の可能性が出てくる。ボーイングは787生産をエヴェレットとチャールストンに分けているが、最大型の787-10生産は東部チャールストンに限定している。これは機体中央部の長さ寸法のためであり、実際に同部分の製造はサウスカロライナで行われている。物流面からは787生産を全数チャールストンに統合するのが理にかなうが、キャルホーンは検討結果の方向性について言及を避けている。

777では777-300ER/777Fと777X合わせ2021年に月産2機まで減産される。同社は当初3機としていた。777引き渡しは平均で月2.5機のペースを今年中は維持する。だがそのあとはパンデミックの影響から調整するとキャルホーンは公言しており、777Xファミリーの一番手777-9の納入開始は当初の2021年を2022年に先送りする。

777-9開発の減速もCOVID-19に起因する市場需要の減退が原因で、あわせて型式証明取得も遅れているのは737MAXでの型式証明再取得が影響している。「737で得た経験を777Xに取り込んでいることから工程が若干伸びている」とキャルホーンは説明。「一部に時間がかかる要素がありFAAと協力している。さらに深く検討すべき内容もあり以前の想定より時間がかかっています」

747-8生産を2022年に終了させる案を認め、キャルホーンは同機貨物型は年間6機を最後まで維持すると述べ、50年超に渡る同機がいよいよ生産を終了する。予想では2023年終了とみられていたが、7か月前倒しとなった。767ではKC-46軍用型があり、今のところ影響は出ておらず、月産3機を当面維持できる。

ボーイング民生機の第2四半期納入実績はパンデミックと737MAXの飛行停止双方の影響を受けた形で、合計20機と前年同期の90機を大きく下回った。機種別では787が最大の7機で、767、777、737は各4機だった。747-8は1機を納入した。今年これまでの累積は70機で2019年上半期は239機だった。

キャルホーンは雇用の整理にもふれ、民生部門が中心と述べた。社員19千名が離職し、うち6千名が6月末に退職している。「民生部門で15パーセントに相当し、雇用調整は現実問題だ。これで完了したわけではない」とし、「本日の発表内容から将来的に雇用でさらに影響が出てくる」とも述べた。■



Guy Norris July 29, 2020

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