2020年6月27日土曜日

ボーイングの財務回復はいつ?

When Is Boeing Likely To Recover Financially?

Michael Bruno June 24, 2020

aircraft in flight

ボーイングの財務状態は極めて厳しい。回復はいつになるのか。
最近のボーイングでは機体より金融支援の話題が多い。同社は3月に連邦政府支援600億ドルを求め、自社のみならずサプライヤー対象としていた。だが4月に連邦準備制度が社債買い入れ方針を示し大型社債発行を保証すると、同社も史上最大規模の企業負債となる250億ドルを市場で入手した。
背景には民間航空部門の今後の見通しがある。業界は投資機関と同様に長期のビジネス環境をこう見ている。アジアで中産階級が増え、数百万単位の新しい旅行需要が生まれる。大型機製造は難しいが、多くの規制に守られた市場はエアバス、ボーイングが支配している。両社は最低でも十年は市場規模の拡大効果を享受するはずだ。
とはいえ全てそう簡単ではない。ボーイングのCEO兼社長デイヴィッド・キャルホーンには同社による負債返済は可能とはいうものの、回復がいつになるかが問題だという。投資機関への印象悪化を避けるため同社はエンブラエルの商用機部門を42億ドルで80%を買収する案を中止し、従業員の1割を一時解雇した。またボーイングは今後に影響を与えそうな選択もしている。新型中型機の立ち上げを延期し、空軍向けの地上配備戦略抑止事業への参加も断念した。
一方で株主対策は低調なままだ。配当支払いはあるだろうが、株買い戻しは737 MAX事業が再開されるまで見送りになりそうだ。これには時間がかかる。同社は遅れているMAX引き渡しの再開まで一年かかると見ている。また同社は現金を保持し、投資機関格付けを維持したいとする。
「市場ではボーイングが資金調達に向かうとは今後12ヶ月で発生すると問われると、そうならないとも見ていないし、むしろその恐れはあると見ている。ボーイングが入手した250億ドルや銀行が設定した借入限度まで使い果たせば、航空事業市場の問題がもっと深刻だと示すことになる」とバンク・オブ・アメリカの社債アナリスト、ダグラス・カーソンが述べている。

MAXが危機になったのは2019年だったが、当時のボーイングは民生、軍用双方で前例のない規模の受注を享受していた。今や、民間航空部門の不況は3から5年続く様相を示しており、政府がCOVID-19関連の各種救済策で債務増となる中で国防支出増加は難しい。ボーイングの完全復活を機関投資家が判断するにはこの双方が必要となる。■

0 件のコメント:

コメントを投稿

お知らせ

 2022年以降こちらでは新しい投稿はしておりません。引越し先は 「航空宇宙ビジネス短信T1(新)」です。 こちらへお越しください。 https://aviationspacebusiness-civilaviation.blogspot.com/ お待ちしております。