2020年5月16日土曜日

原子力推進航空機は実用化される? 


aircraft in flight
Credit: U.S. Air Force


Aviation Week Networkでは読者からの質問を随時受け付けており、編集者アナリストが回答している。更に回答が困難な場合には専門家ネットワークにアドバイスを求めている。
「原子力推進航空機の可能性はあるのか。実現すれば航続距離無制限の無人機が生まれるのではないか。」
技術担当の主幹グラハム・ウォーウィックが回答しました。
ロシアが原子力推進式巡航ミサイルのブレヴェスニクの試射に成功したと主張している。NASAも無人回転翼機を土星の衛星タイタンの探査用に開発中だが、放射性同位体の応用で熱電素子発電を使う構想だ。このように原子力推進は現実になっている。
米空軍は核分裂反応炉を改修したコンベアB-36爆撃機のNB-36Hに搭載し、1955年に飛行させている。(上写真参照) この事業は打ち切りとなったが、研究者間では繰り返し原子力推進による無限大飛行距離と炭化水素排出ゼロのフライト構想が取り沙汰されている。
2014年にNASAは低出力原子炉を搭載した航空機構想を発表している。この原子炉は常温核融合炉でロッキード・マーティンのスカンクワークスでは小型融合炉を開発中でC-5程度の航空機で必要な電源を確保するのが目標だ。
航空機に核出力を応用する方法は他にもある。ひとつが高性能小型モジュラー反応炉(SMR)で開発中だが空軍基地や空港単位で必要な電源が確保できる。移動式の小型炉は電気飛行機の充電にも応用できよう。それとは別にSMRで水から水素を取り出し、大気中の二酸化炭素と結合させ液体燃料を生成する方法がある。この電力で液体燃料を作る技術があればジェット燃料のかわりになる。

読者のコメントです


EDWARDFRANCIS
Thu, 05/14/2020 - 13:32

原子力発電所には相当の抵抗感があるので「はいそうですか」と行かない話だ。原子炉が頭上を飛び、広大な立ち入り禁止区域ができるのを一般社会が受け入れる可能性はない。この構想は取り下げてもらいたい。

他方で民間航空分野でもカーボン・オフセットの導入を組織的に始めるべきときに来ている。全世界の温暖化効果ガス排出の3%が航空業界によるものだ。この費用は航空運賃に転嫁しつつ、オフセットの努力を目に見える形で航空業界は進めるべきだ。

航空運賃が上がれば太陽光発電のマイクロ配電網がアフリカに生まれ、大量の森林喪失も防止できる。樹木はCO2吸収効果があるがアフリカで樹木が消失しつつあるのは調理や暖房のため伐採されているからだ。カーボン・オフセットを協調実施すれば森林消失に歯止めがかかり、森林再生の費用を拠出する新規企業も生まれる。であればアフリカ女性も薪集めから解放される。浮いた時間は教育や家族計画に使える。 

民間航空には明るい将来があるが、現在の危機を今後進むべき道に反映させるべきであり、その道がカーボンニュートラルにあることは自明の理だ。

JGODSTON
Thu, 05/14/2020 - 14:42

プラット&ホイットニー社員です。当社では1960年代から1970年代初期に『原子力推進機」を検討したものの、意味がないと判断しました。あまりにも複雑で、大重量で、高価格となるとためです。今回はどこが違うのでしょうか。

この記事は以下を再構成したものです。

What Are Prospects For Nuclear-Propelled Aircraft?


Graham Warwick May 14, 2020

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