2021年4月29日木曜日

2020年世界の空港利用実績ランキング発表。国内路線網の規模から中国、米国が上位を占める。貨物は堅調とはいえ大きく成長しているとはいいがたい。では2021年はどうなる?

 


China flag

Source: Markus Mainka/Shutterstock

利用客数で広州白雲空港が前年の11位から今回は第一位に躍進した。

州白雲空港がアトランタ・ハーツフィールドを抜き、2020年に世界で最も利用客の多い空港になった。中国の空港がトップ10で中心になっているとACI ワールドが発表した。


最新ランキングでの変化の理由として要因が二つある。2020年は航空旅行が世界各地で低迷したこと。中国米国という二大国内路線市場はパンデミック中も運行が削減されなかったこと。渡航制限のあおりを受けた巨大ハブ空港は国際路線中心で従来はランキング上位にあらわれていた。

Airports ranked by 2020 passenger numbers

2020 rank

2019 rank

Airport

2020 passengers

2019 passengers

Change

1

11

Guangzhou (CAN)

43,767,558

73,394,810

-40.4%

2

1

Atlanta (ATL)

42,918,685

110,531,300

-61.2%

3

24

Chengdu (CTU)

40,741,509

55,858,552

-27.1%

4

10

Dallas/Fort Worth (DFW)

39,364,990

75,066,956

-47.6%

5

26

Shenzhen (SZX)

37,916,054

52,931,925

-28.4%

6

2

Beijing (PEK)

34,513,827

100,013,642

-65.5%

7

16

Denver (DEN)

33,741,129

69,015,703

-51.1%

8

37

Kunming (KMG)

32,990,805

48,076,238

-31.4%

9

46

Shanghai (SHA)

31,165,641

45,637,882

-31.7%

10

40

Xi’an (XIY)

31,073,924

47,220,745

-34.2%

Source: ACI World. Note: Total passengers enplaned and deplaned. Passengers in transit counted once


中国南方航空がハブとする広州は2020年に世界最大の旅客利用空港となり、2019年のトップ10圏外からいきなり最上位に躍り出た。成都、深センもトップ5入りし、それぞれ20以上の空港を抜き去った。


アトランタのハーツフィールドも巨大国内需要に支えられているが、今回は二位に後退し、リストには米国は二か所、中国は7か所が入っている。


ただし、パンデミックの影響を受けなかった空港は皆無で、利用客は通年で27パーセントから66パーセントの幅で減少しているとACIワールドのデータが示している。


「今回判明したのはパンデミックの影響は一律ではなく、地域により程度がちがうこと、必要とされる対策が異なること、政府支援が回復の基盤形成に欠かせないことだ」とACIワールドは見ている。


上海虹橋Hongqiao が2019年の46位から2020年は9位へと最大の躍進ぶりを示しており、同じ上海の浦東Pudongを抜き去った。米国内で最大のランク変化は16位から7位になったデンバー。


危機前の米中両国の国内線需要の大きさはIATA統計でも明らかで、米国国内線だけで2019年は世界の利用客の14パーセント相当で、同じく中国国内路線は10パーセントだった。


トップ10圏外になった空港は7つ、すべて既存の国際線ハブ空港だった。ロサンジェルス国際空港、ドバイ国際空港、羽田、上海浦東、シカゴ・オヘア国際空港、ロンドン・ヒースロー、パリ・シャルル・ドゴール。


国際線利用実績のみに限ると2020年はドバイ、アムステルダム・スキポール、ロンドン・ヒースローが上位三大空港となるが、トップ10各空港の利用実績は60から83パーセント減っている。


Airports ranked by 2020 international passenger numbers only

2020 rank

2019 rank

Airport

2020 passengers

2019 passengers

Change

1

1

Dubai (DXB)

25,831,363

86,328,896

-70.1%

2

3

Amsterdam (AMS)

20,880,990

71,679,691

-70.9%

3

2

London (LHR)

20,650,473

76,043,973

-72.8%

4

6

Paris (CDG)

19,057,856

69,841,276

-72.7%

5

8

Frankfurt (FRA)

16,837,104

63,067,739

-73.3%

6

14

Istanbul (IST)

15,945,340

39,580,735

-59.7%

7

15

Doha (DOH)

12,522,288

38,786,566

-67.7%

8

5

Seoul (ICN)

11,955,756

70,578,050

-83.1%

9

7

Singapore (SIN)

11,635,000

67,601,000

-82.8%

10

11

Madrid (MAD)

11,052,157

44,919,124

-75.4%

Source: ACI World. Note: International passengers enplaned and deplaned


2020年は国際線貨物輸送が比較的堅調とはいえ、年間比較での伸びは高くなく、トップ10空港リストは危機前と大して変わらない。貨物取扱量トンでの比較では香港国際空港が突出している。


Airports ranked by 2020 international freight in metric tonnes

2020 rank

2019 rank

Airport

2020 tonnage

2019 tonnage

Change

1

1

Hong Kong (HKG)

4,420,312

4,703,589

-6.0%

2

2

Shanghai (PVG)

2,952,602

2,825,009

+4.5%

3

3

Seoul (ICN)

2,759,467

2,664,005

+3.6%

4

6

Taipei (TPE)

2,323,412

2,165,216

+7.3%

5

10

Anchorage (ANC)

2,221,804

1,942,554

+14.4%

6

5

Doha (DOH)

2,145,076

2,173,371

-1.3%

7

7

Tokyo (NRT)

1,958,505

2,039,905

-4.0%

8

4

Dubai (DXB)

1,932,022

2,514,918

-23.2%

9

9

Frankfurt (FRA)

1,818,748

1,961,460

-7.3%

10

12

Miami (MIA)

1,730,859

1,706,064

1.5%

Source: ACI World. Note: International freight loaded and unloaded in metric tonnes


ここに国内貨物便を加えると、メンフィス空港、香港空港が最上位になる。

Airports ranked by 2020 freight in metric tonnes

2020 rank

2019 rank

Airport

2020 tonnage

2019 tonnage

Change

1

2

Memphis (MEM)

4,613,431

4,322,740

+6.7%

2

1

Hong Kong (HKG)

4,468,089

4,809,485

-7.1%

3

3

Shanghai (PVG)

3,686,627

3,634,230

+1.4%

4

6

Anchorage (ANC)

3,157,682

2,745,348

+15.0%

5

4

Louisville (SDF)

2,917,243

2,790,109

+4.6%

6

5

Seoul (ICN)

2,822,370

2,764,369

+2.1%

7

9

Taipei (TPE)

2,342,714

2,182,342

+7.4%

8

13

Los Angeles (LAX)

2,229,476

2,092,003

+6.6%

9

8

Doha (DOH)

2,175,292

2,215,804

-1.8%

10

12

Miami (MIA)

2,137,699

2,092,472

+2.2%

Source: ACI World. Note: Total loaded and unloaded freight and mail in metric tonnes


ACIワールドの集計を見ると、世界全体の旅客利用は2020年に前年比64.6%の減となり、貨物輸送量は8.9%減になった。■


Guangzhou displaces Atlanta as Chinese airports dominate latest ranking

By Lewis Harper27 April 2021



2021年4月23日金曜日

Covid-19時代の客室にどんな変化が生まれるのか。シートメーカー等から活発な新構想発表が出ていますが、投資とワクチン普及をにらみエアラインの腰は重いようです。CNN記事からのご紹介です。


 

 

席を隔てるプレキシグラス、ジグザグ配置、透明バブルを乗客頭部に置く、店舗やレストランにあるような新型分離スクリーンがCovid-19大流行に合わせ出現しているが、エアラインの座席配置でも同じ傾向が出てきた。

 

マスク、手指洗浄用ジェル、消毒クロスなどエアラインで必携のアイテムとなり、機内の様相は一変している。

 

それにあわせウィルスへの科学・医療知識がひろまり、飛沫による空気感染が主要経路であることがわかり、効果の高い防護策の選択にも影響している。

 

最も効果が高い防護策は乗客のマスクだ。このため、エアライン各社がマスク着用を乗客に求めており、マスク着用しない乗客の搭乗を拒んでいる。

 

機内環境が感染リスクが高いとは思えない。世界各地で旅客運行は続いているが、クラスター発生の報告はほとんどない。

 

マスク着用と合わせ高機能微粒子空気清浄機が多数の機材に搭載されており、飛行中の環境を保っていることも理由だろう。

 

「飛行中に感染例が極めて低い理由はよくわかっていない」と国際航空運輸協会(IATA)が解説している。「顔を突き合わせる密接がないこと、座席が物理的バリヤーになっていること、客室内空気が循環していることなどの複合効果かもしれない。研究をさらに進める」

 

"Janus," by Italian firm Aviointeriors, proposes seats made up of a row of three, with the seat in the middle facing the opposite direction.

イタリア企業アヴィオインテリアの「ジャヌス」では3列座席のうち、真ん中の座席だけ反対方向になっている。

Courtesy Aviointeriors

 

機内シートで新しい構想が出てきた


2020年上半期に各社から客室内改修案が出ており、Covid-19流行に対応できるとアピールしている。座席後部に透明バリヤー、発泡スチロールを座席上部に追加する、ヘッドレストの工夫などだ。

 

世界の客室内装品メーカー各社がエアライン側が採用すると見て一斉に動き出している。

 

これまでの座席配置を変える動きもあり、そのうちアヴィオインテリアAviointeriorsが提唱するジャヌスは乗客を入れ違いに座らせる構想だ。

 

The Janus proposal features seats fitted with a three-sided shield.

ジャヌス構想では三方をシールドしたシートが特徴だ。Aviointeriors

 

座席にバリヤーを付ける提案もあり、乗客が機内に乗り込む際に支障も生まれそうだ。

 

ただし、新しく機内に搭載する前には各種の安全要素を確認の上、型式証明を得る必要がある。

 

難燃性とともに乗客に有害な発煙を発生させないことも必要だ。過大な力に耐える必要もある。緊急脱出時に乗客の身体に害を与えるような鋭角が出ない必要もある。

 

シート装着の場合はすべて墜落衝撃テストに合格する必要があり、規制当局が一層の安全を求める中でテストは厳しくなる一方だ。

 

「型式証明の取得は大きな課題」とレカロ航空機シート製造Recaro Aircraft SeatingのCEOマーク・ヒラーが語る。「シートに追加して重量が増えると、シートは再度の型式証明取得が必要となります。簡単な手順とはいきませんが、長期間耐久性のある製品とするため当社は集中して対応しています」

 

レカロからはバリヤー式の追加装備の提案が出ており、微生物対応技術をシート素材に組み入れる製造も提案している。

 

すべて、スーパーでの支払いカウンターについたアクリル板間仕切りより複雑なのだ。

 

Recaro has proposed a number of side-on barrier options.

 

レカロはシート側部につけるバリヤーの提案が出ている

 

 

追加コストと時間が制約条件だ


エアライン側にはこうした追加装備を維持しつつつ、消耗や破損さらに乗客が誤った方法で使用した場合に新品と交換を続ける必要が生まれる。

 

長年をかけて客室内は工夫され洗練された結果、驚くほど長く使用に耐えるようになったえいる。あるシートメーカーではトレイテーブルの耐久性をとりあげ、実際に乗客に上で立たせているほどだ。今回提案の各種趣向も搭載後に手を入れる必要が生まれるだろう。

 

その意味で機内搭載後が重要で、一時的あるいは恒久的に導入するにせよ、清掃、維持を定期的に行うからだ。今でさえ余裕がない機内清掃に追加作業の時間を計上すれば作業が複雑になりコストも増える。

 

確かにコストは大きな要素で、世界各地のエアラインが財務面で危機的状況に陥っている中で無視できない。

 

「エアライン側のキャッシュが厳しい状況なのはわかっています。解決方法が乗客に安心感を与えることで投資回収が可能になると証明しなければなりません」(レカロのヒラー)

 

レカロの新提案を採用するエアラインはまだない。

 

時間も不利だ。ワクチンが広く利用可能となるのは2021年中ごろの予想だが、新型シートあるいはバリヤー追加の設計、型式証明、製造には一定の時間が必要だ。

 

つまり、ワクチンが広く投入される前の数カ月に過大な投資へまあまり期待できないのだ。

 

シートバリヤー以外にも対策はある


とりあえず、Covid-19対策で一番いいのは乗客乗員の接触を最小限にすることだ。

 

機内サービスの基準が変更され、乗務員が機内を歩き回るのも最小限になったため、機内食でも調理から食事まで空気にさらす時間を最小限にしようと見直しが進んでいる。ただし、機内食は伝染経路とはみなされてない。

 

ではどんな変化になるのか。最大の作業となるのが微生物あるいはウイルス対策の素材をシートや客室内に採用することだ。

 

Adjustments to meal service to minimize contact are already in place.

機内食でも接触を極力避ける工夫が始まっている。British Airways

 

航空機内装用の布地革製品メーカーのタピスTapisは昨年8月にウルトラレザーに「微生物対策の銀イオン技術組み込みの表面を実現し安全を実現した」とし、「空気感染対策として有効なシールドとなり、機内の微生物対策でリスクを下げ安全な環境を作ります」

 

この素材の機能としてウィルス含む微生物の生体機能を阻害することがあり、テストでコロナウィルスにも有効だと実証されている。

 

エアライン各社がこれに期待するのは確実だ。ただし、Covid-19ワクチン接種が広まり危機状況が緩和されれば、機内衛生状況を乗客が意識しなくなる可能性は同社も認めている。■

 

 

Is the great Covid-19 airplane seat overhaul happening?

John Walton, CNN • Published 14th September 2020

 

John Walton is an international transportation and aviation journalist based in France, specializing in airlines, commercial aircraft and the passenger experience.


2021年4月20日火曜日

無人ヘリコプター、インジェヌイティの火星初飛行はライト兄弟につながる航空宇宙史上の1ページになった。ICAOは正式に飛行場として火星に命名。機体にはフライヤー1の一部を取り付けていた。

 

  • 今回はT1・T2共通記事です。ここまで細かく報道がされていないようなので。宇宙ヘリコプターと伝えているメディアがありましたが、大気がない場所では飛翔できないので、火星ヘリコプターとすべきでしょう。ライト兄弟に並ぶ偉業というなら、せめてロマンのあふれるエピソードにしてもらいたいですね。

Helicopter Mars first flight

NASA

 無人機には小さな一歩、でも人類には大きな一歩

NASAは無人ヘリコプター、インジェヌイティの火星での初飛行に成功した。パーシヴィアランスローバー宇宙機に搭載し2月に火星へ到着していた。飛翔は1分間たらずだったが、地球以外で初の動力飛行になった。

太陽光電池で作動する重量4ポンドのヘリコプターにはライト兄弟のフライヤー1号から採取した小さな布をつけた。フライヤー1号は地球の大気中で初の動力飛行に成功した機体で、1903年ノースカロライナのキティホークでのことだった。ライト兄弟が地球上での航空機の可能性を実証したのに対し、今回のインジェヌイティ無人ヘリコプターが火星で同じ画期的な技術実証機の役割を果たす期待がある。

下に示した写真はインジェヌイテイ搭載の航法カメラで撮影したもので、火星表面上を飛翔する同機の影が映っている。本日送信してきた。飛翔は完全自律式で行った。ただし、火星から地球への送信には11分間かかるため、同機はカメラ二台を搭載し、航法カメラは白黒で地表を向き、もう一つ高解像度カラーカメラで地平線をスキャンしている。

NASA

 

「人類の手で別の惑星上で回転翼機を飛翔させた」とNASAジェット推進研究所(JPL)デインジェヌイティを主管するミミ・オンが高らかに宣言した。同ヘリコプターはJPLが製造した。「ライト兄弟の偉業を火星で実現した」

NASAの科学技術担当トーマス・ザーブヘンは「ライト兄弟の地球上での初飛行から117年後にNASAのインジェヌイティヘリコプターが別世界で同じ偉業を達成した。航空史上でそれぞれ大きな出来事になったが、その間には年月とともに173百万マイルの宇宙空間の差があるが、これで永遠に双方がつながった」と述べた。

インジェヌイティには失敗も現実の可能性だった。火星の重力は地球の38%程度で、大気密度は地球の1パーセントだ。これは地球でいえば海抜50千フィート地点での飛翔に等しく、この環境で飛行可能な回転翼機はない。つまり、ヘリコプターの回転翼で揚力を発生するのが大変だということだ。このため、インジェヌイティでは軽量構造を目指し、回転翼は毎分2,500回転させた。

地上の制御部門はインジェヌイティが10フィートまで上昇する様子を見守り、同機は約40秒後に着地した。

NASA

NASA’s Ingenuity Mars helicopter seen in a close-up taken by one of the cameras aboard the Perseverance Rover.

今のところ実際の飛行の様子は多くわからないままだ。帯域に制限があるためパーシヴィアランスから送信できたのは短いビデオクリップに限定されている。なお、宇宙機本体はヘリコプターから200フィートほど離れた地点にあり、受信まで数時間かかった。追加映像画像が今後数日で入手できるはずだ。

インジェヌイティはあと5回の飛行が予定されており、高度、距離をふやしていく。これを30火星日(31地球日)以内に実施する。ライト兄弟になぞらえ、インジェヌイティの飛行場所はライトブラザーズフィールドと命名された。場所はジェゼロインパクトクレーター付近でかつては湖だった場所だ。国際民間航空機関ICAOはIGYのコールサインを地球上の飛行場同様に命名している。

 

NASA

A low-resolution view of the floor of the Jezero Crater and a portion of two wheels of the Perseverance Mars rover, captured by the color imager aboard the Ingenuity helicopter, on April 3, 2021. At this point, the rotorcraft was still beneath the rover.

 

パーシヴィアランスではそのほかにも古代の微生物の痕跡をさがしたり、ロボット応用の可能性を実証する任務が期待される。同宇宙機は地質調査も行い、過去の天候状態を推定するため火星の岩石・チリを収集し地球に持ち帰る初のミッションとなる。これ自体が遠大な目標の標本回収ミッション(MSR)となる。今後は「フェッチローバー」を軌道に打ち上げ、別の軌道宇宙機と火星軌道でランデブーののち地球に帰還させる。最終的に有人火星飛行へ道を開く。

こうした宇宙機があれば、インジェヌイティのように広大な対象範囲でデータを集めることが可能となる。無人ヘリコプター利用で次の企画としてNASAは土星最大の衛星タイタンを想定して、2030年代中ごろの実施を想定している。ほぼ同時期に火星に人類が着陸するはずで、あるいは月に再び有人飛行がおこなわるはずだ。一方で火星での固定翼機運用の評価が始まっており、全翼機形状を想定している。

今回はヘリコプターが火星上で飛行し第一歩を記したが、ほかの惑星や衛星で展開される航空新時代がこれからはじまりそうだ。■

 

One Small Leap For A Drone Helicopter On Mars, One Giant Step For Mankind


Delivered by the Perseverance Rover, NASA’s Ingenuity helicopter drone is the first aircraft to make a powered, lift-borne flight on another planet.

BY THOMAS NEWDICK APRIL 19, 2021



2021年4月18日日曜日

デルタの今年第1四半期赤字は12億ドル、第3四半期に黒字回復を目指す原動力は国内線の需要回復だ。

 Delta A350

Source: Delta Air Lines

Delta says it will return to profitability in the third quarter of 2021


内需要がコロナウィルスによる減少を脱し増加に転じる中、デルタエアラインズ(本社アトランタ)は今年第3四半期の黒字復帰をめざす。同社は2021年第1四半期で12億ドルの赤字だったとCEOエド・バスティアンが4月15日発表した。


第1四半期は当初こそ「2020年の延長のように感じた」ものの、Covid-19症例が減少し、ワクチン注射が加速すると需要が上向き、最後の数週間は変化の「感触を得た」という。


2019年の第1四半期にデルタは730百万ドルの黒字を計上し、2020年の同期はコロナウィルスが航空業界に影響を与え始めており、534百万ドルの赤字だった。2020年の通年では120億ドルの赤字だった。「大流行開始後一年で利用客は自信を取り戻している」とバスティアンは評した。


「3月はキャッシュフローがプラスになり、三席中真ん中シートを使用不可にしておりビジネス需要国際線利用が低迷する中でこれが実現できた意義は大きい」(バスティアン)

「回復がこのまま続けば、第2四半期も着実にキャッシュが残り、第3四半期の黒字回復にめどがつく」


第1四半期のデルタ実績では毎日11百万ドルのキャッシュが減少していた。この数字がプラスに転じたのは3月で、毎日4百万ドルが残るようになった。


第1四半期の収益は42億ドルと2019年同期の104億ドルと比べ6割減になった。なお、2020年の同期収益は86億ドルだった。


デルタは第1四半期で「通常の予約が増えてきた」とし、「3月の1日当たりキャッシュセールスは1月の2倍になった」(バスティアン)という。


同社社長グレン・ハウエンステインは平均利用客数は5月に75%に上昇するとみており、その時点で中間座席の販売を開始するという。


パンデミックを受けて中間座席を使用不可とする措置を取る米エアラインではデルタが一番遅い実施になった。同社はまず5月1日に同措置を停止し、6月にはロードファクターが70パーセント台から80パーセント台へ増えるとみる。


国内実績は2019年の85%ほどに回復しているとデルタは発表したが、利用客はパンデミック前と異なる目的地に移動している。ハブ空港を回避し直行便を増やし、大型空港を避けたい傾向の観光客需要を取りこもうとしているエアラインは多い。


国際路線回復は遅れる


第1四半期のビジネス需要は2019年比で8割減だが、デルタは期待できるトレンドを注視している。


「企業業績の回復で需要回復の兆候が示されており、3月は2月より通常の月間変化の二倍で増えている」とデルタは分析。業界でも国際線、ビジネス需要の回復には国内線観光需要より長時間かかるとの見方が強い。


医療専門家の中には今年初夏に米国でいわゆる集団免疫が形成されるとの見方がある。人口の大部分がワクチン接種をうけ、あるいは免疫を確立し、通常に近い形に復帰する期待がある。ただ海外諸国では回復の道どりが異なり、米国からの国際路線需要が回復するかで不確定要素が残る。


「国際線ルート再開に取り組んでいる」とバスティアンは述べ、米英路線を皮切りに展開するという。「ただし疑問点が多く残ったままだ」


地中海路線がその後続くが、米国で夏季需要が高いヨーロッパ大陸線は旅行の高需要期後に再開に向かうとバスティアンは述べた。


「ヨーロッパ大陸各地への運行回復は今年後半以降になるのではないか。今夏はヨーロッパ各地向け需要に対応できない」(バスティアン)


アジア太平洋路線で意味のある回復が実現するには「一年以上」かかるという。「南アメリカが中間となる。すべてはウイルス制圧にかかってくるが」とバスティアンは述べる。南米で人気のブラジルでは症例が急増しており、ワクチン入手でトラブルが続く中死亡数も増えている。■


コメント 規模こそ違いますが、米中ともに国内路線がまず回復を示しています。国際線の回復には異なる事情が働きますが、やはり遅れそうですね。




2021年4月10日土曜日

貨物輸送強化とチャーター運航でコロナ不況を乗り切るチャイナエアラインズの大胆な生き残り策

 

China Airlines eyes continued growth in profitable cargo market

By Alfred Chua8 April 2021



ロナウィルスの大量流行が世界各地のエアラインに混乱を巻き起こしていた2020年3月ごろ、チャイナエアラインズは生き残りをかけ迅速な行動を開始していた。


台湾のフラッグキャリアとして同社は貨物輸送需要での強みを生かし、18機保有するボーイング747-400貨物型でマーケットシェアを高め、燃料価格の下降の中で収益を確保しようとした。


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Source: Wikimedia Commons

China Airlines operates a fleet of 18 747-400 freighters.


旅客輸送は壊滅的な減少となったが、これにより同社は2020年6月末までの三カ月間の収益の9割近くを貨物輸送で確保できた。


このことから同社はさらに貨物部門に特化することで存続をかけ、旅客部門は鳴かず飛ばずでも利益を確保でき、アジア太平洋地区で年間で黒字業績を記録した数少ないエアラインとなった。


チャイナエアラインの2020年12月末日締めの年間営業利益は21.8億台湾ドル(76.3百万ドル)で、対前年比18パーセント減となった。旅客収入は年率77%減だが、貨物売り上げは87%増で、総収益の1,150億台湾ドルに貢献した。


同社は貨物部門の実績により救われたことを認識している。「貨物優先の運営により当社は黒字を確保し、業績で新たな一歩を示せた」と Su-Chien Hsieh会長が総括している。


同社の広報担当副社長Marian Lu は貨物便運航を「正しく計画し、実行したこと」を成功の秘訣とFlightGlobalのオンライン取材に答えた。「パンデミックがはじまるや当社は貨物運航中心の方針をうちたて、段階的に運航スケジュールを調整し、各地で柔軟に対応し、専用チャーター便、特別優先便、eコマース、郵便輸送、温度管理貨物などの需要に対応しました」


素早い対応として、通常の貨物スペース以外に客室も貨物輸送に使用した。2020年4月以降の同社は旅客仕様機材の毎月1千便を貨物便として運行した。


今年も貨物重視の姿勢は変わっておらず、同社は動きが取れない貨物需要の取り込みを狙う。


LuはFlightGlobalに対し、「ヨーロッパ、北米では港湾が混雑しており、急ぐ貨物が航空便に切り替わる状況が2021年にあらわれており、貨物便は市場の状況から今後も利益を生む」と述べている。


同社はヨーロッパ線で貨物便追加を検討しており、短期間のうちに輸送能力増を時限したいとする。


北米路線の貨物便は適正な水準で、アジア太平洋でもオーストラリア・ニュ-ジーランド向け貨物定期便の運行を検討している。


貨物需要が当面は堅調だが、世界各地で移動制限がかかっている間は旅客需要は今後も低迷のままとチャイナエアラインは見ている。Luは2020年第二四半期の旅客輸送実績はパンデミック前の4-6パーセント程度だったと述べた。


Luはパンデミック以前の水準に戻るのは2024年以降とみている。


スカイチーム加盟の同社はほかの収益源を求める一方で、経費節減に目を配り、流動性と安定性の維持を狙う。


「チャイナエアラインズは積極的にチャーター需要を模索しており、留学生の帰国便、ビジネス再開、自国民退避などをのがさないようにしております。企業向け専用便やキャビンチャーター、短期貸出などで収益確保しています」


Luは「コロナ後はチャーター運航が大きな収益源になりました」と述べた。また他社同様にeコマース売上の強化をめざしている。


その一環でeメールによるeコマース基盤を拡大し、商品開発で「ステイホームの中での小売り需要をつかみたい」とする。これによりeコマース売上は2020年に5倍増になった。


コロナウィルス流行の中で同社は画期的なイノベーションを行うことで生き残りを狙う。


LuはFlightGlobalに「さらに多角化したモデルで付加価値を増やしたいし、サービス内容も多様にそろえて収益を拡大したい」と述べ、「チャイナエアラインズは今後も台湾のユニークなイメージを前面に、お客様にやさしいエアラインとしてローカルブランドを打ち立て、よき企業市民となりたい。旅客業務で市場の動向と外交政策を注視し、適正な時期に主要路線運航を再開したい」と述べた。■



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