2021年4月23日金曜日

Covid-19時代の客室にどんな変化が生まれるのか。シートメーカー等から活発な新構想発表が出ていますが、投資とワクチン普及をにらみエアラインの腰は重いようです。CNN記事からのご紹介です。


 

 

席を隔てるプレキシグラス、ジグザグ配置、透明バブルを乗客頭部に置く、店舗やレストランにあるような新型分離スクリーンがCovid-19大流行に合わせ出現しているが、エアラインの座席配置でも同じ傾向が出てきた。

 

マスク、手指洗浄用ジェル、消毒クロスなどエアラインで必携のアイテムとなり、機内の様相は一変している。

 

それにあわせウィルスへの科学・医療知識がひろまり、飛沫による空気感染が主要経路であることがわかり、効果の高い防護策の選択にも影響している。

 

最も効果が高い防護策は乗客のマスクだ。このため、エアライン各社がマスク着用を乗客に求めており、マスク着用しない乗客の搭乗を拒んでいる。

 

機内環境が感染リスクが高いとは思えない。世界各地で旅客運行は続いているが、クラスター発生の報告はほとんどない。

 

マスク着用と合わせ高機能微粒子空気清浄機が多数の機材に搭載されており、飛行中の環境を保っていることも理由だろう。

 

「飛行中に感染例が極めて低い理由はよくわかっていない」と国際航空運輸協会(IATA)が解説している。「顔を突き合わせる密接がないこと、座席が物理的バリヤーになっていること、客室内空気が循環していることなどの複合効果かもしれない。研究をさらに進める」

 

"Janus," by Italian firm Aviointeriors, proposes seats made up of a row of three, with the seat in the middle facing the opposite direction.

イタリア企業アヴィオインテリアの「ジャヌス」では3列座席のうち、真ん中の座席だけ反対方向になっている。

Courtesy Aviointeriors

 

機内シートで新しい構想が出てきた


2020年上半期に各社から客室内改修案が出ており、Covid-19流行に対応できるとアピールしている。座席後部に透明バリヤー、発泡スチロールを座席上部に追加する、ヘッドレストの工夫などだ。

 

世界の客室内装品メーカー各社がエアライン側が採用すると見て一斉に動き出している。

 

これまでの座席配置を変える動きもあり、そのうちアヴィオインテリアAviointeriorsが提唱するジャヌスは乗客を入れ違いに座らせる構想だ。

 

The Janus proposal features seats fitted with a three-sided shield.

ジャヌス構想では三方をシールドしたシートが特徴だ。Aviointeriors

 

座席にバリヤーを付ける提案もあり、乗客が機内に乗り込む際に支障も生まれそうだ。

 

ただし、新しく機内に搭載する前には各種の安全要素を確認の上、型式証明を得る必要がある。

 

難燃性とともに乗客に有害な発煙を発生させないことも必要だ。過大な力に耐える必要もある。緊急脱出時に乗客の身体に害を与えるような鋭角が出ない必要もある。

 

シート装着の場合はすべて墜落衝撃テストに合格する必要があり、規制当局が一層の安全を求める中でテストは厳しくなる一方だ。

 

「型式証明の取得は大きな課題」とレカロ航空機シート製造Recaro Aircraft SeatingのCEOマーク・ヒラーが語る。「シートに追加して重量が増えると、シートは再度の型式証明取得が必要となります。簡単な手順とはいきませんが、長期間耐久性のある製品とするため当社は集中して対応しています」

 

レカロからはバリヤー式の追加装備の提案が出ており、微生物対応技術をシート素材に組み入れる製造も提案している。

 

すべて、スーパーでの支払いカウンターについたアクリル板間仕切りより複雑なのだ。

 

Recaro has proposed a number of side-on barrier options.

 

レカロはシート側部につけるバリヤーの提案が出ている

 

 

追加コストと時間が制約条件だ


エアライン側にはこうした追加装備を維持しつつつ、消耗や破損さらに乗客が誤った方法で使用した場合に新品と交換を続ける必要が生まれる。

 

長年をかけて客室内は工夫され洗練された結果、驚くほど長く使用に耐えるようになったえいる。あるシートメーカーではトレイテーブルの耐久性をとりあげ、実際に乗客に上で立たせているほどだ。今回提案の各種趣向も搭載後に手を入れる必要が生まれるだろう。

 

その意味で機内搭載後が重要で、一時的あるいは恒久的に導入するにせよ、清掃、維持を定期的に行うからだ。今でさえ余裕がない機内清掃に追加作業の時間を計上すれば作業が複雑になりコストも増える。

 

確かにコストは大きな要素で、世界各地のエアラインが財務面で危機的状況に陥っている中で無視できない。

 

「エアライン側のキャッシュが厳しい状況なのはわかっています。解決方法が乗客に安心感を与えることで投資回収が可能になると証明しなければなりません」(レカロのヒラー)

 

レカロの新提案を採用するエアラインはまだない。

 

時間も不利だ。ワクチンが広く利用可能となるのは2021年中ごろの予想だが、新型シートあるいはバリヤー追加の設計、型式証明、製造には一定の時間が必要だ。

 

つまり、ワクチンが広く投入される前の数カ月に過大な投資へまあまり期待できないのだ。

 

シートバリヤー以外にも対策はある


とりあえず、Covid-19対策で一番いいのは乗客乗員の接触を最小限にすることだ。

 

機内サービスの基準が変更され、乗務員が機内を歩き回るのも最小限になったため、機内食でも調理から食事まで空気にさらす時間を最小限にしようと見直しが進んでいる。ただし、機内食は伝染経路とはみなされてない。

 

ではどんな変化になるのか。最大の作業となるのが微生物あるいはウイルス対策の素材をシートや客室内に採用することだ。

 

Adjustments to meal service to minimize contact are already in place.

機内食でも接触を極力避ける工夫が始まっている。British Airways

 

航空機内装用の布地革製品メーカーのタピスTapisは昨年8月にウルトラレザーに「微生物対策の銀イオン技術組み込みの表面を実現し安全を実現した」とし、「空気感染対策として有効なシールドとなり、機内の微生物対策でリスクを下げ安全な環境を作ります」

 

この素材の機能としてウィルス含む微生物の生体機能を阻害することがあり、テストでコロナウィルスにも有効だと実証されている。

 

エアライン各社がこれに期待するのは確実だ。ただし、Covid-19ワクチン接種が広まり危機状況が緩和されれば、機内衛生状況を乗客が意識しなくなる可能性は同社も認めている。■

 

 

Is the great Covid-19 airplane seat overhaul happening?

John Walton, CNN • Published 14th September 2020

 

John Walton is an international transportation and aviation journalist based in France, specializing in airlines, commercial aircraft and the passenger experience.


2021年4月20日火曜日

無人ヘリコプター、インジェヌイティの火星初飛行はライト兄弟につながる航空宇宙史上の1ページになった。ICAOは正式に飛行場として火星に命名。機体にはフライヤー1の一部を取り付けていた。

 

  • 今回はT1・T2共通記事です。ここまで細かく報道がされていないようなので。宇宙ヘリコプターと伝えているメディアがありましたが、大気がない場所では飛翔できないので、火星ヘリコプターとすべきでしょう。ライト兄弟に並ぶ偉業というなら、せめてロマンのあふれるエピソードにしてもらいたいですね。

Helicopter Mars first flight

NASA

 無人機には小さな一歩、でも人類には大きな一歩

NASAは無人ヘリコプター、インジェヌイティの火星での初飛行に成功した。パーシヴィアランスローバー宇宙機に搭載し2月に火星へ到着していた。飛翔は1分間たらずだったが、地球以外で初の動力飛行になった。

太陽光電池で作動する重量4ポンドのヘリコプターにはライト兄弟のフライヤー1号から採取した小さな布をつけた。フライヤー1号は地球の大気中で初の動力飛行に成功した機体で、1903年ノースカロライナのキティホークでのことだった。ライト兄弟が地球上での航空機の可能性を実証したのに対し、今回のインジェヌイティ無人ヘリコプターが火星で同じ画期的な技術実証機の役割を果たす期待がある。

下に示した写真はインジェヌイテイ搭載の航法カメラで撮影したもので、火星表面上を飛翔する同機の影が映っている。本日送信してきた。飛翔は完全自律式で行った。ただし、火星から地球への送信には11分間かかるため、同機はカメラ二台を搭載し、航法カメラは白黒で地表を向き、もう一つ高解像度カラーカメラで地平線をスキャンしている。

NASA

 

「人類の手で別の惑星上で回転翼機を飛翔させた」とNASAジェット推進研究所(JPL)デインジェヌイティを主管するミミ・オンが高らかに宣言した。同ヘリコプターはJPLが製造した。「ライト兄弟の偉業を火星で実現した」

NASAの科学技術担当トーマス・ザーブヘンは「ライト兄弟の地球上での初飛行から117年後にNASAのインジェヌイティヘリコプターが別世界で同じ偉業を達成した。航空史上でそれぞれ大きな出来事になったが、その間には年月とともに173百万マイルの宇宙空間の差があるが、これで永遠に双方がつながった」と述べた。

インジェヌイティには失敗も現実の可能性だった。火星の重力は地球の38%程度で、大気密度は地球の1パーセントだ。これは地球でいえば海抜50千フィート地点での飛翔に等しく、この環境で飛行可能な回転翼機はない。つまり、ヘリコプターの回転翼で揚力を発生するのが大変だということだ。このため、インジェヌイティでは軽量構造を目指し、回転翼は毎分2,500回転させた。

地上の制御部門はインジェヌイティが10フィートまで上昇する様子を見守り、同機は約40秒後に着地した。

NASA

NASA’s Ingenuity Mars helicopter seen in a close-up taken by one of the cameras aboard the Perseverance Rover.

今のところ実際の飛行の様子は多くわからないままだ。帯域に制限があるためパーシヴィアランスから送信できたのは短いビデオクリップに限定されている。なお、宇宙機本体はヘリコプターから200フィートほど離れた地点にあり、受信まで数時間かかった。追加映像画像が今後数日で入手できるはずだ。

インジェヌイティはあと5回の飛行が予定されており、高度、距離をふやしていく。これを30火星日(31地球日)以内に実施する。ライト兄弟になぞらえ、インジェヌイティの飛行場所はライトブラザーズフィールドと命名された。場所はジェゼロインパクトクレーター付近でかつては湖だった場所だ。国際民間航空機関ICAOはIGYのコールサインを地球上の飛行場同様に命名している。

 

NASA

A low-resolution view of the floor of the Jezero Crater and a portion of two wheels of the Perseverance Mars rover, captured by the color imager aboard the Ingenuity helicopter, on April 3, 2021. At this point, the rotorcraft was still beneath the rover.

 

パーシヴィアランスではそのほかにも古代の微生物の痕跡をさがしたり、ロボット応用の可能性を実証する任務が期待される。同宇宙機は地質調査も行い、過去の天候状態を推定するため火星の岩石・チリを収集し地球に持ち帰る初のミッションとなる。これ自体が遠大な目標の標本回収ミッション(MSR)となる。今後は「フェッチローバー」を軌道に打ち上げ、別の軌道宇宙機と火星軌道でランデブーののち地球に帰還させる。最終的に有人火星飛行へ道を開く。

こうした宇宙機があれば、インジェヌイティのように広大な対象範囲でデータを集めることが可能となる。無人ヘリコプター利用で次の企画としてNASAは土星最大の衛星タイタンを想定して、2030年代中ごろの実施を想定している。ほぼ同時期に火星に人類が着陸するはずで、あるいは月に再び有人飛行がおこなわるはずだ。一方で火星での固定翼機運用の評価が始まっており、全翼機形状を想定している。

今回はヘリコプターが火星上で飛行し第一歩を記したが、ほかの惑星や衛星で展開される航空新時代がこれからはじまりそうだ。■

 

One Small Leap For A Drone Helicopter On Mars, One Giant Step For Mankind


Delivered by the Perseverance Rover, NASA’s Ingenuity helicopter drone is the first aircraft to make a powered, lift-borne flight on another planet.

BY THOMAS NEWDICK APRIL 19, 2021



2021年4月18日日曜日

デルタの今年第1四半期赤字は12億ドル、第3四半期に黒字回復を目指す原動力は国内線の需要回復だ。

 Delta A350

Source: Delta Air Lines

Delta says it will return to profitability in the third quarter of 2021


内需要がコロナウィルスによる減少を脱し増加に転じる中、デルタエアラインズ(本社アトランタ)は今年第3四半期の黒字復帰をめざす。同社は2021年第1四半期で12億ドルの赤字だったとCEOエド・バスティアンが4月15日発表した。


第1四半期は当初こそ「2020年の延長のように感じた」ものの、Covid-19症例が減少し、ワクチン注射が加速すると需要が上向き、最後の数週間は変化の「感触を得た」という。


2019年の第1四半期にデルタは730百万ドルの黒字を計上し、2020年の同期はコロナウィルスが航空業界に影響を与え始めており、534百万ドルの赤字だった。2020年の通年では120億ドルの赤字だった。「大流行開始後一年で利用客は自信を取り戻している」とバスティアンは評した。


「3月はキャッシュフローがプラスになり、三席中真ん中シートを使用不可にしておりビジネス需要国際線利用が低迷する中でこれが実現できた意義は大きい」(バスティアン)

「回復がこのまま続けば、第2四半期も着実にキャッシュが残り、第3四半期の黒字回復にめどがつく」


第1四半期のデルタ実績では毎日11百万ドルのキャッシュが減少していた。この数字がプラスに転じたのは3月で、毎日4百万ドルが残るようになった。


第1四半期の収益は42億ドルと2019年同期の104億ドルと比べ6割減になった。なお、2020年の同期収益は86億ドルだった。


デルタは第1四半期で「通常の予約が増えてきた」とし、「3月の1日当たりキャッシュセールスは1月の2倍になった」(バスティアン)という。


同社社長グレン・ハウエンステインは平均利用客数は5月に75%に上昇するとみており、その時点で中間座席の販売を開始するという。


パンデミックを受けて中間座席を使用不可とする措置を取る米エアラインではデルタが一番遅い実施になった。同社はまず5月1日に同措置を停止し、6月にはロードファクターが70パーセント台から80パーセント台へ増えるとみる。


国内実績は2019年の85%ほどに回復しているとデルタは発表したが、利用客はパンデミック前と異なる目的地に移動している。ハブ空港を回避し直行便を増やし、大型空港を避けたい傾向の観光客需要を取りこもうとしているエアラインは多い。


国際路線回復は遅れる


第1四半期のビジネス需要は2019年比で8割減だが、デルタは期待できるトレンドを注視している。


「企業業績の回復で需要回復の兆候が示されており、3月は2月より通常の月間変化の二倍で増えている」とデルタは分析。業界でも国際線、ビジネス需要の回復には国内線観光需要より長時間かかるとの見方が強い。


医療専門家の中には今年初夏に米国でいわゆる集団免疫が形成されるとの見方がある。人口の大部分がワクチン接種をうけ、あるいは免疫を確立し、通常に近い形に復帰する期待がある。ただ海外諸国では回復の道どりが異なり、米国からの国際路線需要が回復するかで不確定要素が残る。


「国際線ルート再開に取り組んでいる」とバスティアンは述べ、米英路線を皮切りに展開するという。「ただし疑問点が多く残ったままだ」


地中海路線がその後続くが、米国で夏季需要が高いヨーロッパ大陸線は旅行の高需要期後に再開に向かうとバスティアンは述べた。


「ヨーロッパ大陸各地への運行回復は今年後半以降になるのではないか。今夏はヨーロッパ各地向け需要に対応できない」(バスティアン)


アジア太平洋路線で意味のある回復が実現するには「一年以上」かかるという。「南アメリカが中間となる。すべてはウイルス制圧にかかってくるが」とバスティアンは述べる。南米で人気のブラジルでは症例が急増しており、ワクチン入手でトラブルが続く中死亡数も増えている。■


コメント 規模こそ違いますが、米中ともに国内路線がまず回復を示しています。国際線の回復には異なる事情が働きますが、やはり遅れそうですね。




2021年4月10日土曜日

貨物輸送強化とチャーター運航でコロナ不況を乗り切るチャイナエアラインズの大胆な生き残り策

 

China Airlines eyes continued growth in profitable cargo market

By Alfred Chua8 April 2021



ロナウィルスの大量流行が世界各地のエアラインに混乱を巻き起こしていた2020年3月ごろ、チャイナエアラインズは生き残りをかけ迅速な行動を開始していた。


台湾のフラッグキャリアとして同社は貨物輸送需要での強みを生かし、18機保有するボーイング747-400貨物型でマーケットシェアを高め、燃料価格の下降の中で収益を確保しようとした。


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Source: Wikimedia Commons

China Airlines operates a fleet of 18 747-400 freighters.


旅客輸送は壊滅的な減少となったが、これにより同社は2020年6月末までの三カ月間の収益の9割近くを貨物輸送で確保できた。


このことから同社はさらに貨物部門に特化することで存続をかけ、旅客部門は鳴かず飛ばずでも利益を確保でき、アジア太平洋地区で年間で黒字業績を記録した数少ないエアラインとなった。


チャイナエアラインの2020年12月末日締めの年間営業利益は21.8億台湾ドル(76.3百万ドル)で、対前年比18パーセント減となった。旅客収入は年率77%減だが、貨物売り上げは87%増で、総収益の1,150億台湾ドルに貢献した。


同社は貨物部門の実績により救われたことを認識している。「貨物優先の運営により当社は黒字を確保し、業績で新たな一歩を示せた」と Su-Chien Hsieh会長が総括している。


同社の広報担当副社長Marian Lu は貨物便運航を「正しく計画し、実行したこと」を成功の秘訣とFlightGlobalのオンライン取材に答えた。「パンデミックがはじまるや当社は貨物運航中心の方針をうちたて、段階的に運航スケジュールを調整し、各地で柔軟に対応し、専用チャーター便、特別優先便、eコマース、郵便輸送、温度管理貨物などの需要に対応しました」


素早い対応として、通常の貨物スペース以外に客室も貨物輸送に使用した。2020年4月以降の同社は旅客仕様機材の毎月1千便を貨物便として運行した。


今年も貨物重視の姿勢は変わっておらず、同社は動きが取れない貨物需要の取り込みを狙う。


LuはFlightGlobalに対し、「ヨーロッパ、北米では港湾が混雑しており、急ぐ貨物が航空便に切り替わる状況が2021年にあらわれており、貨物便は市場の状況から今後も利益を生む」と述べている。


同社はヨーロッパ線で貨物便追加を検討しており、短期間のうちに輸送能力増を時限したいとする。


北米路線の貨物便は適正な水準で、アジア太平洋でもオーストラリア・ニュ-ジーランド向け貨物定期便の運行を検討している。


貨物需要が当面は堅調だが、世界各地で移動制限がかかっている間は旅客需要は今後も低迷のままとチャイナエアラインは見ている。Luは2020年第二四半期の旅客輸送実績はパンデミック前の4-6パーセント程度だったと述べた。


Luはパンデミック以前の水準に戻るのは2024年以降とみている。


スカイチーム加盟の同社はほかの収益源を求める一方で、経費節減に目を配り、流動性と安定性の維持を狙う。


「チャイナエアラインズは積極的にチャーター需要を模索しており、留学生の帰国便、ビジネス再開、自国民退避などをのがさないようにしております。企業向け専用便やキャビンチャーター、短期貸出などで収益確保しています」


Luは「コロナ後はチャーター運航が大きな収益源になりました」と述べた。また他社同様にeコマース売上の強化をめざしている。


その一環でeメールによるeコマース基盤を拡大し、商品開発で「ステイホームの中での小売り需要をつかみたい」とする。これによりeコマース売上は2020年に5倍増になった。


コロナウィルス流行の中で同社は画期的なイノベーションを行うことで生き残りを狙う。


LuはFlightGlobalに「さらに多角化したモデルで付加価値を増やしたいし、サービス内容も多様にそろえて収益を拡大したい」と述べ、「チャイナエアラインズは今後も台湾のユニークなイメージを前面に、お客様にやさしいエアラインとしてローカルブランドを打ち立て、よき企業市民となりたい。旅客業務で市場の動向と外交政策を注視し、適正な時期に主要路線運航を再開したい」と述べた。■



2021年3月27日土曜日

ボーイングが787引き渡しを5カ月ぶりに再開。一方、先に再開したものの737Maxは400機超が社内に滞留していた。

 

Boeing 787 deliveries restart after five-month pause

By Jon Hemmerdinger27 March 2021

https://www.flightglobal.com/airframers/boeing-787-deliveries-restart-after-five-month-pause/143073.article


United Dreamliner1

Source: United Airlines

United Airlines 787


ーイングは3月26日、787-9をユナイテッドエアラインズに納入し、胴体部分で見つかった問題のため2020年10月以降停止していた機体引き渡しを再開した。


ボーイングは同日に、「787引き渡しを再開した。技術解析と点検作業をこれまで続けていた」と発表した。

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同社は胴体部分の問題を「表面の平坦度」とし、機体後部で見つかったと述べた。


同社は機体点検で許容範囲内にあるか確かめるべく、一部機体では客室部分の分解まで行っていた。


「安全と設計順守への姿勢からあらゆる角度を完全に点検し、機体引き渡しを続けることとし、規制上の要求をすべて満たすとともに最高水準のボーイング品質標準で引き渡しを実現します」


787納入停止はパンデミックの広がりの中でさらに打撃となり、同時にボーイングは787生産をサウスカロライナ州チャールストンに全面移転する途中で発生した。これまでの主力工場、ワシントン州エヴァレットは今年中に生産を終了する。


737 Max未納入分が400機を超える中、ボーイングには引渡し前の787が80機超加わっていた。737 Maxの引き渡しは2020年12月に再開した。


今月初めに連邦航空局は4機分の耐空証明発出に責任を感じ787事業への監督を強化すると発表していた。■


2021年3月7日日曜日

フェデックスは20億ドル超を投じ、20年以内にカーボンニュートラル運行の実現を目指す。

 

FedEx invests $2bn in sustainable technologies

By Pilar Wolfsteller6 March 2021

https://www.flightglobal.com/strategy/fedex-invests-2bn-in-sustainable-technologies/142751.article


貨物航空会社フェデックス(本社テネシー州メンフィス)は20億ドル超を投入しカーボンニュートラルでの運行を20年以内に同社の世界ネットワークで実現する。



3月3日、同社はこの目標達成のため三分野に注力すると発表した。車輛の電動化、代替燃料ならびに炭素隔離carbon sequestrationである。


Fedex 777F

Source: FedEx

FedEx invests $2 billion in sustainable technologies


「当社は気候変動への解決策として大胆なアクションを取る責任があります」と同社CEOフレデリック・スミスが語っている。「この目標のため長期に渡る取り組みとして社の運行全体で持続可能性の実現に取り組みます。同時に長期的投資によりフェデックスの見ならず業界全体の変革を実現していきます」


ゼロエミッションの電動トラックを集荷配達用に追加導入する他、イエール大の炭素隔離研究を支援し、代替ジェット燃料、機材近代化にも投資する。


同社は2040年までにカーボンニュートラル実現を狙い、2005年以来機材の排出ガスを24%削減していると発表。また、2012年以来の合計で54億リットルのジェット燃料消費を減らし、二酸化炭素排出は13.5百万トン減らした。


今年1月、ボーイングは100%「持続可能」燃料で飛ぶ機体を2030年までに完成させると発表し、業界全体で2050年までの削減目標に必須の機材となるとした。


航空宇宙業界全体としてもエアラインの排出量を2050年までに2005年実績の半分に削減する目標を掲げている。持続可能航空燃料(SAF)がこの目標達成には不可欠とされる。■


2021年2月24日水曜日

ユナイテッド328便インシデントを受け、FAAによる新点検手順制定までPW4000エンジン搭載機の運行は停止中。一方でプラット社内の検査工程の妥当性に疑問が発生。

 Engine Failure Prompts Immediate Action For Pratt-Powered 777s

Sean Broderick Guy Norris February 22, 2021

United Airlines 777

Credit: Hayden Smith

 

国の規制当局ならびに運行会社がプラット・アンド・ホイットニーエンジンを搭載したボーイング777で再度インシデントが発生したのを受け、迅速にリスク低減策を実行に移し、運行停止命令または自主的運行停止を出し、FAA、ボーイング、プラットは緊急点検手順を作成中だ。

 

2月20日に発生したインシデントはユナイテッドエアラインズ328便でデンバー国際空港を離陸直後に右(第2)エンジンで発生した。同機はPW4077を搭載の 777-200 でデンバー国際空港に緊急着陸を迫られた。米国家運輸安全委員会(NTSB) は翌日にファンブレード二枚の破損を発見したほか、その他の損傷を調査すべく公式調査を開始した。

 

「初期段階の情報から点検間隔を狭め同型エンジン特有の中空構造のファンブレードを点検することにした」とFAA長官スティーブ・ディクソンが発表した。その前に発生した、やはりこれもユナイテッドの777-200のインシデントを受けて点検手順が2019年に改定された。

 

70機ほどの同型機があり、規制当局ならびに運行会社はさっそく対策を展開している。米国で同型機を運行するのはユナイテッドのみだが、ただちに同型機24機の運航を停止した。残る機材を運航するアジア太平洋のエアライン各社も同じ措置をとった。

 

運行停止措置を発した規制当局には日本の国土交通省、英国の民間航空局も含まれる。EASAは同型機はヨーロッパではすでに運航を停止しているか、「一時的に定期運行を中止しており、今後の耐空指示が出るのを待っている」とする。

 

ボーイングもこうした流れに賛成しており、PW4000を搭載した777の-200型、-200ER型、-300型は米当局の次の動きまで路線から外すべきとする。「NTSB調査はまだ終わっていないが、当社は運航中69機、保管中59機のプラット・アンド・ホイットニー4000-112エンジン搭載の777機材の運航は当面中止することを勧奨する。これはFAAが適正な点検手順を発表するまでの措置」と同社は2月21日に発表した。

 

ボーイングの声明文の前に唯一の米運行会社ユナイテッドエアラインズは保有する24機を路線運航から外し、日本の規制当局も国内エアライン各社に運行停止を指示した。

 

今回のインシデントが発生した機材は1994年製造で、インシデントは上昇段階で発生した。第2エンジンのデブリはコロラド州ブルームフィールドに落下した。

 

NTSBは2月21日の追加情報でファンブレード二枚に損傷がみつかったとした。一枚は「根本近く」で破断し、「隣のファンブレードは半ばで破断していた」とある。調査ではブレードの一枚がエンジン格納リングに突き刺さっており、「残りのブレードは先端等に損傷が見つかった」とある。機体の損傷は「軽微」だという。地元テレビ局CBS4 Denverが撮った映像ではウィングボックスや主翼胴体接合部から機体下部右側に損傷が見られる。

 

今回のインシデントはコロラドで発生したが、おどろくほど似通った事例がPW4077のファンブレード関連で見つかっている。2018年2月13日のインシデントでカウリング部分が脱落している。これもユナイテッドの777-200で第2エンジンが着陸30分前で異常となった。

 

2018年事案ではNTSBはプラット社内の熱聴音画像化 (TAI) 点検工程の不備を指摘しており、プラットはPW4000の112インチファンブレード破断が過去二件あったと報告している。2008年10月と2010年4月で、ブレード5枚に亀裂を見つけており、このうち一枚は目視で、残り4枚はTAIで検知した。

 

2018年のインシデントを受けて、FAAは2019年3月の耐空指示で112インチのPW4000ファンブレードの緊急点検とその後継続検査を求めた。PW4000のその他型ではチタン合金の中空構造はなく、同じ112インチサイズのシュラウドレスファンブレードを採用した747、767、エアバスA330に影響はない。今回のユナイテッド328便の機材が同様の検査を受けていたかは不明だ。

 

もっと最近では2020年12月4日に日本航空777-200の第一エンジンでファンブレード一枚が離陸直後に脱落している。同機は沖縄から東京へ向かっていた。日本の運輸安全委員会が本件を調査中である。■

 

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