2021年11月1日月曜日

中古旅客機の貨物機転用工事が活況を呈している。世界のエアライン業界の最新動向。コロナパンデミック後のエアライン業界の変化。

 

Credit: IAI

 

こ一年半で旅客機の貨物機転用作業がMRO業界で大きな存在となってきた。余剰旅客機の再利用ではいつまで好況が続くのだろうか。

かなり長く続くと見るのはロバート・コンヴェイAeronautical Engineers Inc. (AEI)の営業担当上席副社長およびジョナサン・マクドナルド(IBAの民間機担当部長)で用途変更についてウェビナーで語った。

AEIには改装センターが五か所あり、さらに二か所追加を2022年央までにめざす。改装ラインも現在の13が来年に15になる。「2023年末までの予約が埋まっている。とくにボーイング737-800が多い」「当社だけの話ではない。競合他社も忙しくなっている」(コンヴェイ)

マクドナルドは根本原因を解説している。世界規模の旅客便運航は9月に回復基調とは言うもののCOVID前の実績の半分にも満たない。だがeコマースの伸びが高く、航空便需要が増えている。コンヴェイはCOVID-19による不況で改装用の機体価格が下がったとし、737、A320のみならず大型機も同様だという。

ボーイング単通路機でみると作業需要は737-800が中心となってきており、2021年に35機、来年には50機の予約が入っているという。ボーイング737クラシックは母体が少なくなってきた。

より大型では757-200は依然人気があり、30機の工事が予定に入っている。だがA321-200がその次に控え、20機が作業待ちだ。「757は貨物機として完璧で今後も人気が続くだろう」(コンヴェイ) ただし、コンヴェイはA321-200が757の代わりとして最適とみる。A330は767の代替だという。これまではボーイング機が転用機材として人気があったが、エアバス機が台頭してきた。

ているとはいうものの、作業費用は安定しており、ナローボディで3-6百万ドル、ワイドボディは16-18百万ドルが相場で、今後入ってくる777-300ERだと34-37百万ドルとIBAは推定している。

同時にIBAでは改装後のボーイングナローボディ機の残存価値を18-20百万ドルとみているので、この工事が人気なのがわかる。

IBAではそのうちに757-200の改造母機がなくなるとみており、A321-220価格も機体年数とともに下るので、今後はエアバスのナローボディ機が増えると見ている。

ワイドボディ部門ではトルクメニスタンがA330-200の改修工事を発注していることにマクドナルドが注目しており、そのほかにも同様の需要を期待している。さらにA330の母体価格が下がっており、COVID危機前の25百万ドルが今や15百万ドルまで下がっている。つまり運航会社は機齢が若い機体を探しやすくなっており、貨物機として運行できれば改装工事経費の回収は容易となる。

MRO各社は改修工事の課題に向け準備を怠っていない。エアバス専用の大規模改修施設が数十か所あり、さらに増える。米国と中国に多くが集まっていたが、今やヨーロッパ、韓国、シンガポール、メキシコ、台湾、南アフリカ、カナダと各地に広がっている。

支線運用の速達運送会社がネットワークを拡充しており、小型機でも同様の改修工事の需要がありそうだ。ATR72-500では32機が貨物機にされており、さらに増えるとマクドナルドは見ている。CRJ200が次に多いが30件に満たない。

だが大きな需要は依然ナローボディ機にある。737-800の転用への関心がこれまで以上に増えているとマクドナルドは強調し、その次がA321-200だという。■

 

Cargo Conversion Boom Expected To Roll On

Henry Canaday October 26, 2021

https://aviationweek.com/mro/cargo-conversion-boom-expected-roll



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