2021年11月16日火曜日

2021年ドバイ航空ショー: ボーイング777-8の行方に赤信号。大手発注先エミレイツがボーイングの引き渡し遅れに不満。機材計画の変更を強いられていることから。

  

 

777-9が2021年ドバイ航空ショーに展示されている。

Credit: Mark Wagner/Aviation Images


 

ドバイ----エミレイツエアラインボーイングから777-9の型式証明が2023年7月に取得予定だが引き渡しには不確定さが残ると聞き、同社が発注済みの777-8の今後に一層疑念を募らせている。

 

エミレイツエアライン社長ティム・クラークTim Clarkはドバイ航空ショー会場で11月16日に「ボーイングとはやるべき仕事の実効で合意ができていたが、来年なかばまでに日程を再調整する必要がある」と述べた。

 

エミレイツは777X計115機を発注しており、うち16機が-8型とみられる。当初は150機発注でうち35機が-8だったが、下方修正し、代わりに787-9を30機発注した。

 

とはいえ、クラークは同社が777-8の進捗に納得していないと述べており、「さらに遅延の可能性があり、貨物型が先に出るのではないか」

 

クラークは-8をやや大型化し貨物機型の原型に使おうというボーイング構想に懸念を隠せない。「-8が-9に近いサイズなら導入する必要があるのだろうか」

 

エミレイツが777-8発注を取り消せば、同型の将来は暗くなる。同社分を除くと確定発注はわずか10機になる。すべてカタールエアウェイズの発注だ。エミレイツが動けば、同じ湾岸地区のライバルたるカタールにも影響が出よう。-8に発注ゼロとなる事態となれば、ボーイングには777-9と貨物型しか残らないことになる。

 

他方でエミレイツは機材構成の再検討に入っている。「777X引き渡しが3年遅れている影響は大きい」とクラークは述べ、「路線就航を前提にすべてを計画していた」という。検討作業では777-9においても遅延が発生する場合を考慮して、さらに787-9の引き渡しも1年遅れる場合を想定する。クラークによればボーイングにはしっかりした計画を火球的かつ速やかに出すよう求めたという。他方で「黙って座っているわけにはいかない」という。

 

エミレイツはそのため「旧型ER多数」を予定より長く供用し、2030年代としたエアバスA380の順次退役計画も変更を余儀なくされる。同社は機材の運用期間を延長することにした。また777-300ER、A380ではキャビン改修を実施する。53機の777と52機あるA380にはプレミアムエコノミーキャビンが追加される。また777では新しいビジネスクラスキャビンとして1-2-1レイアウトを導入する。こうした改装作業は2022年末から開始し、18カ月以内に完了させる。

 

エミレイツ向けに納期を守れなかったのはボーイングだけではない。エミレイツのA380最終発注機材の二機は10月に引き渡し予定だったが、11月にエミレイツはエアバスに12月10日の最終引き渡し日程を確認させたものの、エアバスCEOジローム・フォーリからクラークに12月16日も実行不可能だと伝えてきたという。■

 

Emirates Casts More Doubt On Future Of Boeing 777-8

Jens Flottau November 16, 2021

https://aviationweek.com/shownews/dubai-airshow/emirates-casts-more-doubt-future-boeing-777-8


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