2020年12月27日日曜日

航空不況に巨大ハブ空港は生き残れるのか。課題はあるがまだ有効なモデル。予想外に早く観光需要が回復すれば....Aviation Weekの記事を御覧ください。

 

Adrian Schofield Jens Flottau December 16, 2020

Frankfurt hubsフランクフルトはじめ各地のハブ空港で乗継便画大幅に減少している。Credit: joepriesaviation.net

 

大ハブ空港は緻密な路線網をつなぐ中心に君臨してきた。しかし、COVID-19の世界的流行で路線網が運行停止しており、ハブ中心の路線網に厳しい状況が続いている。

エアラインビジネス全般が大きな圧力を受けているが、世界をつなぐハブ空港がとくに脆弱に映る。各国の渡航制限を受け、路線そのものが消え、路線ネットワークがいつ、果たして再開できるのか、さらに今までのハブモデルを支えた水準に復帰するかが問われている。

背景に都市間路線の大幅減があり、IATAまとめでは2020年は国際線の減少が目立つ年になったとある。

IATAは2019年までの5年間で全地域で接続性が大きく向上し、ヨーロッパ、アジア太平洋では40%、北米でも26%増えたとする。

一方でコロナウィルスの2020年で大きく逆転した。アジア太平洋では対前年比で76%、北米でも73%それぞれ低下し、その他地域では90%減になった。アジア太平洋と北米の落ち込みが比較的低いのは国内路線網が充実した国が含まれ、渡航制限の影響がやや少ないためだ。

パンデミック前のアジア太平洋では都市間路線が6,270本あった。これはどちらか一方あるいは両方とも同地域内にある国際路線と国内路線を含む数字だ。だが4月は4,020本に急減した。中国国内線を除くと、パンデミック前の4,070本が4月に1,880本になった。

アジア太平洋地区には航空業界でも有数のハブ空港があり、そこを本拠とするエアラインに極めて重要な拠点となっている。その例がキャセイパシフィック航空シンガポール航空だ。

シンガポールのチャンギ国際空港では週あたり提供座席数は12月7日時点で年率87.5%減とCAPAとOAGのデータでわかる。シンガポール航空は大幅な運行縮小のためCOVID-19以前同様の路線接続はできないと同認めている。

乗り継ぎ需要も規制にくわえ利便性低下で大きく影響を受けているとIATAは分析。

多数国で空港内トランジット区域内にとどまるなどの条件で乗り継ぎ需要に対応してきた。香港、シンガポールはともに一部の目的地向け乗り継ぎを再開したが、これは各政府が乗り継ぎ対応が現地エアラインに大きな需要と認識しているためだ。

一方で乗り継ぎ旅客に厳しい制限を課したままの国もあり、IATAはエアライン側とこの解消をめざしている。

ハブ空港での接続便を旅客が歓迎しなくなっている理由は他にもある。

ハブを使うフライトがここまで減っているため、「利便性の高い接続便が十分確保できず」2-3時間以内の接続便運行ができないという。さらに空港多数を経由する旅客が各国で異なる規制にうんざりしていることもある。

マッキンゼーの調査では乗り継ぎハブ空港の役割、パンデミックでハブ空港が影響を受けている中で興味深い考察が見られる。

接続便ハブモデルは実はパンデミック前から課題に直面していた。グローバルレベルで2019年の接続便利用実績は17%に低下しており、2005年は20%だった。これは主にLCCの短距離線で直行便が増えたのが理由だ。

ただし長距離国際路線では逆の現象もある。ヨーロッパと北米間路線は2019年までの14年間は安定しており、アジア北米路線は同期間に大きく成長している。これといわゆるメガハブ空港の成長が一致している。

レポートでは乗り継ぎ需要がパンデミックで特に大きな影響を受けたとある。直行便需要は8月の対前年比で61%減となったが、乗継便はさらにひどく81%減だった。

原因に需給両面の変換がある。需要では単純に渡航制限で長距離路線利用客が減っただけだ。利用客もできるなら直行便を選択する傾向があるとレポートは指摘。供給面では運行削減で「多くのエアラインで接続便の提供が不可能となった」とある。

マッキンゼーはフランクフルト国際空港の例をあげている。2019年8月の到着便は1-4時間以内に35本に乗り継ぎが可能だったが、一年経過しこれが11本に減った。

接続便運行モデルには長期的な課題が残る。利用客が直行便を希望するのは自然なことでノンストップ便と乗り継ぎ便の料金差はCOVID-19後に消滅するとマッキンゼーは指摘する。

ハブ空港の大きな課題は今後登場する新型機だ。ボーイング787、エアバス350に加え長距離ナローボディのA321LRが直行便を増やす。この傾向をパンデミックが後押しし、旧型特に大型機が予定より早く運行停止となる。

今後登場する長距離高効率機材がハブ空港にプラス効果をもたらすとする。ボーイング787の2019年実績ではハブ間路線が40%だったが49%がハブ・非ハブ空港路線だった。11%はハブを通らない路線だった。

「大型小型のワイドボディ機の投入で違いがあるが、大多数は今もハブを経由している」とある。

マッキンゼーのいわんとすることは国内需要が大きい国のハブ空港は「短期的には苦労する」が運行を適合させなないと「厳しい時期を生き残れなくなることが真のリスク」という点だ。

「短期的には各ハブ空港にプレッシャーとなり、長期的にはごくわずかのハブ空港のみにプレッシャーとなる」乗り継ぎハブモデルは今後も有効だとレポートはまとめている。「経済効果がありエアライン側には効率の良く、利用客に魅力的な料金を実現するモデルが大方として有効なまま残る」とする。ハブ空港は予想される意外に早い観光需要の回復に助けられるという。■


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