2019年11月30日土曜日

航空業界を引っ張る737、A320二強体制は強化する一方だ

Aviation Daily

Commercial Aero Suppliers Should Focus on Larger Narrowbodies

Commentary
Nov 25, 2019Michael Bruno | Aviation Daily

昔々と言っても今年2月3月のことだが、ボーイング737MAXが飛行停止措置となる前、米国が中国や欧州と貿易戦争に入る前、Teal グループのコンサルタント、リチャード・アブラフィアが航空宇宙メーカー会合でプレゼンしていた。
その表題に『サラブレッド2頭とロバの群れ』とあった。
アブラフィアのプレゼンは航空機需要全体を包括し、737とエアバスA320に代表されるナローボディー旅客機が航空機製造部門の成長の大部分を占める傾向が続いている。これに対してビジネス機、リージョナル機、ヘリコプターの需要で大きな変化がない。また西側諸国の軍用機需要はあと数年でピークを過ぎそうだ。
「つきつめれば2機の事業が全体を引っ張っている。業界でここまではっきりかつ少数の事業が推進役になった例はない」
今月のドバイ航空ショーでもこの傾向が改めて確認された。メーカー各社にはっきりと見えてきた。航空宇宙ビジネスの成長はナローボディ機を製造する2社が牽引役なのだ。
「ドバイ航空ショーで中規模機材への傾向という見方が強まった」とブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、ジョージ・ファーガソン、フランソワ・ダフロの両名が述べている。「大型ワイドボディの訴求力が減退しているのはエミレイツが777発注を小型長距離期に切り替えたのが象徴的だ。これからのナローボディーは大型化をめざすはずでエアバスのXLRが受注を伸ばしていることでも明らかだ」
これまで航空ショーといえば、湾岸諸国のエアライン各社が競って大型ワイドボディ機を発注する場だったが、アナリスト陣は方向の変化を感じている。
「一番目立つのがMAXに飛行停止措置後初の受注が来たことだ」とジェフリーズのアナリスト、シーラ・カヤオグルも指摘している。「エミレイツの発注変更も小型ワイドボディ機も視野に入れたバランスの取れた機材需要の象徴だ」
カナコード・ジェヌインティのアナリスト、ケン・ハーバートも大型ナローボディ、小型ワイドボディーが今回の航空ショーで中心だったと見ている。「ボーイング737MAXの受注(30機)は積極的な動きです。今年3月の飛行停止措置後で初の確定発注です。ただしエアバスはA320ファミリーで150機超受注していますのでナローボディー機でリードを徐々に広げていますね」
中型機が市場の中心になってきたのが明白だ。エアライン各社は大型ナローボディーあるいはナローボディー機並の経済性を有する小型ワイドボディー機材を求めている。そのこともありボーイングは11月21日に従業員だけで737 MAX 10のロールアウトをレントン(ワシントン州)で行い、エアバスA321neoの勢いを減速させようとしている。同時に苦戦するボーイングでは新型中型機NMAを757後継機として開発すべきか検討中だ。
ドバイ航空ショー後も大型ワイドボディー機の需要は限定的と見るアナリストが多い。「ワイドボディー機ではボーイングが数年かけて787を月産14機に戻すと見る向きは少ない。これは現状の需要傾向を見てのことで、月産規模が再度縮小すれば業界の収益性と現金流動性が悪化スルのは間違いない」とヴァーティカルリサーチパートナーが11月22日解説した。
サプライチェーン内部からはどこまで多様化すべきかで異なる見解が聞こえてくる。トップの中には売上強化がないと事業の持続はままならないとの声がある一方で専門化した生産体制の効果に期待する向きもある。とは言え実際には企業幹部はサプライヤーとして適正な事業に集中すべきであり、誰でも対応可能な汎用部品メーカーのままではだめだとの認識で一致している。

そこでアブラフィアによれば大型旅客機や軍用戦闘機の複数年成長率が問題で、(上表参照)737とA320は問題があるとはいえ、人気機種であり、その他機種との差を広げてく。

「こうした機種相手のビジネスに従事していれば幸せなサプライヤー」とアブラフィアは説明している。「サラブレッド2頭以外は数周遅れといったところでしょう」■

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